悠久の時の彼方へ～牢獄の聖女｜リアクション

悠久の時の彼方へ～牢獄の聖女

Epilogue.

「不思議な夢だったな……」
　月曜日の朝、間宮芽瑠は普段通り学校に向かっていた。
「おはよう」
「うん、おはよう」
　同学年の日暮ねむるが軽く手を振り、友人と話しながら通り過ぎていく。
「あれ……？」
　ねむるの手に、夢と同じように絆創膏が貼られている。よみがえる昨夜の夢の記憶―――
「ありえない……」
　芽瑠はそういいながらも、夢の中の不思議なできごとを思い返していた。

　その日の放課後、灯斗南は高校の図書館にいた。自分たちの行動は、歴史を変えたんだろうか。今のところ、フツウは守られたように見えるが。少しためらったが、斗南は書棚にある「ジャンヌ・ダルク」という古びた本に手を伸ばす。
「偶然だな。君も気になるのか」
　振り向くと、あの日同じように過去に行った鷹城空が立っている。
「ああ、ちょっと歴史の本を確認したくて」

　斗南と空が確認したジャンヌ・ダルクの生涯は、すでに知られているものと変わりなかった。ジャンヌはルーアンの地で、19歳の若さで火刑台に消えたとされていた。
　だが、少し気になる記述はあった。その本には最後の方に、おまけのようにこう書いてあった。
「ジャンヌと共闘したジャン・ド・デュノワは1468年、66歳で病没した。その時、嫡子に対し、2人の庶民の女性とその家族を子孫代々にわたって守るように、という奇妙な遺言を残している。……オルレアン近郊の小さな村には、『ジャンヌ・ダルクとその友人の子孫』を名乗る人々が現在も住んでいる。真偽は定かでないが、その村は良質な小麦の産地として知られている」

「これが僕たちの導いた歴史の結末か」
　斗南はそれだけつぶやくと、そっと本を閉じた。

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あとがき

担当マスター：三城俊一
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皆様、ご参加ありがとうございました。
ジャンヌ・ダルクを火刑台から救う物語は、いかがでしたでしょうか。

正直なところ、「１ジャンヌ救出」「３ジャンヌ護送」のミッションはともかく、「２マルグリット救出」についてはどういう筋道で解決するのか、非常に楽しみにしておりました。ほとんどプレイヤーの皆様への挑戦と言っていいと思います。
結果は、マスターの貧困な想像力の上をゆく見事なGAでした。今回の大団円のMVPは、参加PCさん全てです。

考えることも多く楽な執筆ではありませんでしたが、こうしたシナリオを完成させることができ、マスター冥利に尽きます。
本当に、ありがとうございました。

いつかの時代、どこかの場所でまた、再会できるといいですね。
それでは、また。

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