【ハロウィン】和風ハロウィンはいかが？｜リアクション

【ハロウィン】和風ハロウィンはいかが？

序：よき万聖節を！　和風ハロウィン！！

　ハロウィンまっさかりなシーサイドタウン。その一角にあるカフェ『こよみ草紙』は四季にあわせたイベントを提供する事で有名である。
　今回もハロウィンという事でイベントが組まれ、多くの人たちがここを訪れていた。

「よき万聖節を！」　「よ、良き万聖節を」
　畑中華菜子と浮舟久雨がそういえば、店員はにっこり笑って出迎える。本当は一緒に言いたかった久雨だが、うまく言えず顔を赤くした。華菜子はそんな久雨を励ますと、手を引いて衣装コーナーへと連れて行く。
（久雨ちゃんと一緒にハロウィンを楽しむアル！　普段着ない服を着て美味しいもの食べて楽しくお喋りするアルヨ～！）
　互いに衣装を提案しあう約束だったので、久雨がどんな服を選んでくれるのか楽しみな華菜子。久雨も気を取り直して楽しもうと微笑んだ。
（久雨ちゃんの恋がどうなってるのか、気になるアル！　ちょっとでも話を聞けたらいいアルけど……）
　ちらりとそんなことを思いながらも足を進める彼女。久雨はハロウィンになにかするのが初めてなので、ドキドキし、華菜子の脳裏によぎったことに気付かなかった。

　華菜子と久雨が衣装を選んでいると、同じ学校の生徒たちの姿をいくつも見つける。
「うーん、怖くなくて、かっこいい妖怪さんが良いのだ。でも、なかなか難しいのだ……」
　妖怪辞典を片手に悩む後木真央。彼女は目を輝かせて華菜子と久雨に笑いかける。
「よき万聖節を、なのだ。久雨ちゃんと華菜子ちゃんも和風ハロウィン満喫しに来たのだ？」
「そんな所だ」
「真央ちゃん、悩んでいるみたいアルけど……」
　華菜子の言葉に、真央が肯くと妖怪辞典がぱらり、と捲れる。そこに書かれていたのは烏天狗。真央はクローネの手先は嫌なのだ、と少し考えた。
「そうなのだ！　こうすればいいのだー」
　結局は山伏衣装に天狗の羽、葉団扇、一本足の高下駄で愛らしい小天狗に変身。久雨と華菜子に「可愛い」と褒められれば嬉しくってぴょんっ、と跳ねる真央。
　その流れて衣装を探した久雨は、華菜子へ愛らしい着物を進めた。薄桃色の着物で、ディフォルメされた白兎が色とりどりの花の中を遊んでいる模様が可愛い。そして、それに合わせたのは紺色の女袴。色を華菜子に当てつつ、ふむ、と一言。
「笑顔が映えるな。あぁ、そうそう。髪型もお団子を小さめに作り、シニヨン付きのツインテールにしてみるのはどうかな？」
「嬉しいアル！　今日はそうしてみるアルヨ」
　華菜子は手伝ってもらいながら着物と袴を身に着け、髪を結い直す。そうすれば愛らしい女学生の完成だ。
「久雨ちゃんはカッコイイ男装姿が似合うと思うアル。これなんかどうアルか？」
　と華菜子が久雨に提案したのは、大正時代の男子学生の衣装。黒い学生帽と学生服、外套がとても凛々しい。
「ありがとう。着心地が良さそうだな」
　男装でありがたい、と思いながら袖を通せば、彼女のためにあしらえたようにしっくり来る。真央はかっこよく着こなした２人の姿に素敵なのだ、と笑顔になった。
　店員さんにお願いして、華菜子と久雨は写真を取ってもらう。真央も許可を貰って写真を撮らせてもらい、最後に真央も一緒にぱちり。
「ありがと、なのだ。真央ちゃんはちょっと外にでてみるのだ～」
　真央はそういうとぺこり、と頭を下げて店を出る。今日は一日ここで過ごしてメニューを制覇する、と言い残して。２人は元気な真央を見送ると自分たちも食事を取る事にした。

（このチラシを貰ったときから、楽しみにしていました……）
　趣のある着物を纏い、御巫時子はスズメと己のろっこん『鳥の囀り』で会話しつつ『こよみ草紙』へと向かっていた。その途中で出くわした御剣刀も和風ハロウィンに興味津々の様子で、２人は互いに楽しみだと言い合いながら店へと歩く。
「ここか……」
　２人の目の前に現れたカフェは、瓦屋根がすてきな和風の作りになっていた。時子が「素敵な佇まいですね……」と微笑む。
（三味線や琴、日本舞踊を生で見られるなんて機会あまり無いからな）
　今日は楽しもう、と顔が綻んでいると、時子と目があって笑いあう。２人は早速店内へと入り、一緒に合言葉である「よき万聖節を」と言った。
　時子が席へと案内され、刀は衣装コーナーへ。そこで真央とすれ違い、何気なくハイタッチ。
（ん、これなんかいい感じだな）
　刀が選んだのは書生スタイル。渋い色合の袴がしっくりとし、鏡の前で表情を正すとなかなか様になった。近くを通った久雨と華菜子も似合っている、と言ってくれた。

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