【ハロウィン】和風ハロウィンはいかが？｜リアクション

【ハロウィン】和風ハロウィンはいかが？

　時子はその頃、偶然美術担当教師の若林沙穂と写真・映像担当教師の小日向つばめと遭遇していた。２人とも明るい色合で、裾にコスモスの花が描かれた着物を纏っていた。互いに挨拶すれば、つばめは「笑って～」と写真をパシャリ。
「沙穂先生も、つばめ先生も、似合っています……」
「ホント？　ありがとう！　嬉しいなぁ」
「久しぶりに着てみたんだけれども、違和感はないかしら？」
　つばめが喜ぶ傍らで、照れたのか沙穂が少しもじもじする。こんな事は無い、と時子は首を振った。
　時子が一緒にいてもよいか問うと、２人は快く応じてくれた。こうして３人仲良くハロウィンの催し物について語らう事に。

　刀は襟を正すと、席に案内してもらう。メニューを開くと、しっかりと見……、どれから食べようか考える。ふと、時子を見ると先生である沙穂とつばめと会話しつつ、和風カボチャパフェを食べながら暖かいお茶を飲んでいた。
「とても美味しいですよ……。御剣さんも、どうですか……？」
「パフェは、最後にしようと思っているんだ。とっても美味しそうだからな」
　刀はそう言って笑うと、「よし」とメニューを閉ざし、早速カボチャのパイ饅頭やカボチャの団子などを注文するのだった。ふと備え付けのプログラムをみれば、そろそろ和楽器の演奏が始まるという。席が近い時子と刀は先生がたとどんな演奏だろうか、など楽しく話しながら過ごすのだった。

（仮装して表を堂々と歩けるのが、ハロウィンのいいトコだよね）
　愛らしい片折れウサ耳に、肩のラインが出ている、胸までの着物。その丈は短めでまるでミニスカートのようにも見える。着物の上には袖口が広くなってる上にもふもふがついたウサ耳パーカーを羽織っていた。足元はニーソックスくらいまでの長さの足袋とぽっくり下駄で固めている。
　黒兎都は自分の仮装に「いい感じ」と自然と笑みを浮かべ、外に出かけてみようかな……、と考えて、はた、と思い出す。
「そういえば、和風カフェでちょっとしたイベントやってるって聞いた気がするね。うん、このコスも若干和よりだし、ちょうどいいのかもしれんねぇ」
　都は、早速外に出る。コスで楽しみ、甘味や出し物系でも楽しめる。こんなハロウィンはもしかしたら初めてかもしれない。都はちょっとドキドキしながら店へと向かった。
「都ちゃん先輩、すっごく可愛いのだ！　『こよみ草紙』のイベントにぴったりなのだ！」
「うん、うちは今からそこに向かうトコなんだ」
　途中ですれ違った真央とそんな会話を交わし、店の前へ。そこで出くわしたのは、お店を覗いてた鉄時尾だった。
（和装や仮装をしてる人がいっぱい……。衣装の貸し出ししてるんだ）
　どきどきしながら興味津々に見ているうちに都に気が付いた。思わず恥ずかしくなって「すみません」と頭を下げてしまう。
「ううん、大丈夫。うち、ここに来ただけだから。君も、でしょ？」
　そう都に聞かれ、こくんと肯く時尾。彼女は一緒にいこう、と都に誘われ、共に店内へ。合言葉を唱えれば笑顔で出迎えてくれる。
（わたしも、この雰囲気に少しでも馴染めるかな……）
　そんな不安があったものの、傍らの都は気にした様子もなく瞳を細める。
（これはいい雰囲気だの）
　和楽器の演奏が行われているのだろう？　綺麗な三味線の音色が聞こえる。秋風を思わせる曲に耳を傾けつつも、彼女は時尾にぽつり。
「仮装衣装は、あっち」
「ありがとうございます」
　時尾は頭を下げて衣装コーナーへ向かった。

　久雨はカボチャの蒸しプリンを、華菜子は和風カボチャパフェを注文し、２人でまったりおしゃべりしながら待っていた。因みに飲み物は２人とも温かい緑茶を選んでいた。
「おいしい……」
「このしっとり感がいいな」
　早速来たスイーツを楽しんでいると、華菜子が楽しそうに聞いてきた。着物は着慣れなくて動きはややぎこちないものの、笑顔は普段どおりである。
「そういえば、彼とはどこで遊んだりするアルか？」
「えっ？」
　久雨には想いを寄せている相手がいる。その事を知っている華菜子はそれとなく問いかけてきた。久雨は少し頬が赤くなっていくのを感じた。
「そう、だな……。浜辺で、遊んだ事があるな……」
「！　なんだかかわいいアル♪」
　華菜子はその恥ずかしそうな答え方と内容に思わずきゅん、としてしまった。恋がどんな物かまだ理解できていない彼女ではあるが、なんとなく感じる物があったらしい。

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