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秋の夜に、廃墟にて
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【10】
ミラーメイズをほうほうの体で逃げ出した征一郎たち三人は、野外音楽堂の地下にいた。
控室のドア近くに置かれたピアノの傍だ。
征一郎が、軽くピアノの鍵盤に触れる。が、音は出ない。
「きちんと整備すれば、音が出そうな気がするがな」
言って肩をすくめる彼に、武諭もピアノを見やって呟いた。
「場所のせいか、なぜだか絵になるな」
「閉園になった二十年前から、ずっと誰かが弾いてくれるのを、待ってるとか……かな」
ロベルトも、しみじみと言う。
「ところで、走ったら、小腹が空かないか?」
しばしの沈黙のあと、訊いたのは武諭だった。
言われてみれば……と、征一郎とロベルトがうなずく。
「実は、お茶と食べ物を持って来てる。……と言っても、せんべいだけどな」
それへ言って、武諭は体に斜め掛けしていたメッセンジャーバックの中から、せんべいの袋と中ぐらいのペットボトル入りお茶三本を取り出した。
「用意がいいな」
軽く目を見張る征一郎に、「実は僕もお茶を持って来たんだ」と、ロベルトもカバンの中から水筒と紙コップを取り出す。
そこで、それらを飲み食いするかということになり、三人は階段の一番下の段に並んで腰を下ろした。
「そのお茶、あったかいのか?」
せんべいを片手に、征一郎がロベルトに尋ねる。
「ああ。夜は冷えるかもと思って、熱いのを入れて来たんだ。多めに持って来たから、どうぞ」
「なら、自分はそれをもらおう」
答えるロベルトに、征一郎は言った。
ロベルトがうなずき、紙コップに水筒のお茶を注いで差し出す。そのあと、武諭をふり返った。
「内藤は?」
「俺は、こっちでいい」
すでに口を開けているペットボトルのお茶を示して、武諭が返す。
やがてあたりに、せんべいを噛み砕く音と、お茶をすする音が響く。
「このせんべい、美味いな」
二枚目を食べながら、ロベルトが言った。
「だろ? そう思って持って来た」
うなずく武諭に、征一郎はずずっとお茶をすすって、吐息をつく。
「せんべいには、やっぱり熱いお茶だぜ」
彼はすっかりくつろいで、階段にもたれかかりながら、二人を見回した。
「今日は案外、楽しめた。てめぇらに付き合ってやるのも悪く……ねぇ」
高いプライドに邪魔されて、幾分か歯切れ悪く言う彼に、武諭もうなずいた。
「ああ。面白かったぞ、今日は」
「そう言われると、誘った甲斐があったよ」
ロベルトが、うれしそうに笑って返す。
その時だった。
階上から、かすかに音楽が流れて来るのが聞こえた。
「なんの音だ?」
「ヴァイオリン……じゃないかな」
顔をしかめて問う征一郎に、ロベルトが返す。
「上からだ」
「……行ってみようぜ」
階段をふり返り呟く武諭に、征一郎が言って、立ち上がった。武諭とロベルトも立ち上がる。
懐中電灯を持っているロベルトが先頭に立ち、階段を昇って行った。
階段の出入口は、舞台袖の通路へと通じている。三人は通路を進んで行ったが、舞台袖で立ち止まった。
音楽堂の舞台の上には、千聖が立っていたのだ。
持参したヴァイオリンを弾いている。
柱の間から射し込む月光と、足元に置いたランタンの光が、彼女の姿をどこか神秘的に浮き上がらせていた。
そんな中、ヴァイオリンからあふれ出て来るのは、やわらかで優しい、まるでこの廃墟とそこにいる人々を慰撫するかのような音色だった。
ただ、千聖にとって『ヴァイオリンを弾く』という行為は、ろっこんを発動させることにもつながっている。
発動したろっこん『Augen Auf』は、音色の届く範囲内にいる者の士気を高める効果を持っていた。
もっとも、ろっこんを自覚していない彼女は、それが自分の演奏が見事なゆえだと思っていたけれども。
ともあれ。
音楽堂には、征一郎たちの他にも、ヴァイオリンの音色を聞きつけた今日の参加者たち――と、さゆるが、まるでそれに引き寄せられるかのように、集まって来ていた。
ヴァイオリンから流れ出るのは、穏やかな曲調だったが、誰もが頬をほてらせ、目を輝かせてその曲を聞いていた。
(なんだろう。何かドキドキして来たよ?)
胸に呟き、すばるは隣に並ぶ美野梨の手を、強く握りしめた。
(不思議ね。……この曲を聞いていると、なんだか、なんでもできるような気になって来るわ……)
すばるの手の強さを感じながら、美野梨は、まるで目の前に星の海が開けて行くような、不思議な感覚を味わっていた。
(彼女が死んでしまったのは悲しいけれど……でも、過ごした日々は幸せでした。思い出は、失われることなく、私の中にあるのです)
その近くに立って、紀伸は思う。彼の中で、二十年前の思い出は、更に輝きを増したかのようだった。
(どうしてだろう……。家に戻ったら、ぐっすり眠れそうな気がするわ)
ふと胸に呟いたのは、さゆるだ。
千聖の演奏を聞くうちに、どうしてだか、枯れた噴水の傍で一人、星座を探していた時のような、いや、それ以上の強い解放感を覚えたのだ。彼女の胸の底から、ずっと忘れていた日々を生きることの楽しさ、喜びのようなものが、むくむくと湧き上がり始めていた。
「ピアノが直ったら、ヴァイオリンと合わせて演奏というのも、悪くないですね」
陽太は、隣に立つ一颯に、そっと囁いた。
彼ら二人はあのあと、ミラーメイズを出て廃墟内をぐるりと一回りしていたのだった。
「そうだな。……だがまずは、伴奏よりもピアノのみの演奏を聞かせてもらわないとね」
言って、一颯は小さく笑って陽太を見やる。
彼の胸には、仮の弟子となったこの少年が、どんな腕を見せてくれるのかといった期待と共に、未来への希望のようなものが、わずかに湧き上がっていた。
やがて、千聖の演奏が終わった。
聴衆は、曲の余韻を楽しむかのように、しばしじっとしたままだった。
だがほどなく。あたりに大きな拍手が響く。
「あ……!」
夢中になって弾き続けていた千聖は、その音でようやく我に返った。そして、参加者たちが全員集まり、自分の演奏を聞いていたことに、初めて気づく。
「み、みなさん、聞いていたんですの?」
思わずうわずった声を上げ、あたりを見回す彼女に、真央が声援を飛ばす。
「千聖ちゃん、すごい演奏だったのだ!」
「聞いてて、俺はやるぞ~って気になったぜ!」
簾も声を上げた。
それに賛同するように、再び拍手が沸き起こる。
「みなさん……」
千聖は感激して、言葉をなくす。が、やがて。
「聞いていただいて、感謝ですわ」
言うと、深々と頭を下げた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
織人文
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月21日
参加申し込みの期限
2015年04月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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