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秋の夜に、廃墟にて
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【3】
呉井 陽太
は、野外音楽堂の地下にある控室にいた。
一人ではない。彼が師と仰ぐ、
木原 一颯
も一緒だ。
訊きたいことがあって、陽太が誘ったのだ。答えてもらえるかどうかは、わからなかったけれども。
控室の入口近くには、ピアノが一つ置かれている。
秋用のジャケットをまとい、そのポケットにデジカメを入れた陽太は、手にした懐中電灯でピアノを照らしていた。
「あの……木原さん。もしかして、このピアノは木原さんの作品なんでしょうか?」
傍に佇む一颯をふり返り、陽太は幾分ためらい気味に尋ねる。
「最近、木原さんが製作したピアノの持ち主の人が、同じ製作者だと思うって話してたのを耳にして、ずっと気になってて……」
その問いを聞きながら、一颯はピアノの方へとゆっくりと歩み寄った。
そっと、朽ちかけたピアノに触れる。
寝子島イリュージョンランドには、思い入れがあった。長らく海外にいた彼は、ここの閉鎖を知らず、二十年ぶりに帰国してこのありさまに驚いたものだった。
陽太がじっとこちらを見ているのを感じる。彼はピアノから手を引くと、陽太をふり返った。
「ああ、そうさ。このピアノは、僕の初期作品。胸が苦しくなるほどに、思い出が詰まってる」
「そうですか。やっぱりこのピアノは、木原さんが……」
軽く目を見張り、陽太はうなずく。
答えが返ったことへの驚きと、ピアノの製作者が彼だったことへの驚き。二重のそれに包まれながら、陽太は小さく笑った。
「思い出がたくさん詰まったピアノなら、なおのこと、大切に直さないとですね」
実はこのピアノ、彼が修理しているのだった。むろん、専門家ではないのでそう簡単ではない。しかも学校が終わったあとや休みの日に、少しづつやっているため、修理はまだ終わっていない。
が、一颯は何も答えず、踵を返した。
「案内を頼む。今のイリュージョンランドについては、君の方が詳しいだろう」
言われて陽太はうなずく。
「任せて下さい。こっちですよぅ♪」
普段の軽い調子を取り戻し、陽太は先に立って通路を階段へと向かった。
その後ろに続きながら、一颯は半ば独り言のように口を開く。
「ここへは、昔、弟を連れて来たことがある。……僕は早くに両親を亡くしてね。年の離れた弟を育てるために、意に添わぬことにも手を染めた。裏社会の依頼で、贋作造りを請け負った前科もある」
「木原さんは、弟さんのために辛い依頼もがんばっていたんですね」
先を歩きながら、陽太はどことなくしんみりと言った。
「オレも、弟のためにとがんばったことがあったけど、ソレは弟にとって枷にしかならなくて……そーいうのもあって、なかなか仲直りが上手く行かなかったりで……」
言いかけて、彼は言葉を途切れさせる。
胸にこみ上げて来た感情と、弟とのことをどう口にしたらいいかわからず、彼が唇を噛みしめた時、ちょうど彼らは階段を昇り切り、音楽堂へと出た。
夜の空気は冷たく澄んで、熱くなった頭を一気に冷やしてくれるかのようだ。
陽太は小さくかぶりをふった。
「いけないいけない。……もやもやして、すみません。では、ミラーメイズへ行きましょう♪」
言って彼は、音楽堂の外に向かって歩き出す。一颯は軽く空をふり仰ぎ、そのあとに続いた。
ミラーメイズ前では、計都が写真撮影の最中だった。
「お疲れー。ここ撮ってるんだー」
それを見て、陽太が声をかける。
「あ、こんばんわ。あなたも、ここで撮影ですか?」
尋ねる計都に、陽太は笑ってかぶりをふった。
「一応、カメラは持って来てるけどねー。今は、中を見るだけだよぅ」
言って、そちらへ小さく手をふると、中に入って行く。そのあとに続きながら、一颯は目顔で軽く計都に挨拶した。
中は四方を鏡の壁に囲まれた通路になっている。とはいえ、鏡の表面は埃にまみれ、すっかりくもってしまっていた。蜘蛛の巣が白く張り巡らされている部分があったり、鏡の表面が剥がれ落ちてしまっている部分もある。それでも、前を照らすと鈍く反射してまぶしいため、陽太はなるべく地面を照らすようにして歩き出した。
その後ろを歩きながら、一颯は口を開く。
「陽太君……君に、話しておかねばならないことがある。僕はかつて、罪を犯した。――真実を知れば、きっと君は軽蔑するだろう」
「木原さんにどんな過去があったか、詳しくはわかりませんけど……」
歩きながら、黙って聞いていた陽太は、つと口を挟んだ。
「新しい道へと灯りを灯してくれた人のことを、軽蔑したりしません」
それを聞いた一颯の口元に、「それはどうかな」と言いたげな皮肉な笑みが浮かぶ。が、彼はそれについては何も言わず、話を続けた。
「その罪ゆえ、僕は世間から隠れて生きて来たが、心の底では後継者を欲している。なので、一つ試験を行おう。君が僕の残したピアノをみごと復元したら……否、君が甦らせたピアノが、僕の記憶を越える演奏を遂げたら、正式に弟子として迎え入れよう。イエスかノーか、選択は委ねたい。アルティジャーノからの挑戦だ」
「え……」
陽太は思わず足を止め、目を見張る。
「それって……」
あまりに思いがけなくて、今の一颯の言葉を頭の中で何度も反芻した。そして、満面の笑みと共にふり返る。
「ソレはもちろん、答えは『イエス!』に決まってますよぅ。ずーっと弟子入りしたいって思ってたし」
言って、常にのんびり、軽い風情の彼にはめずらしく、片手でガッツポーズを作って続けた。
「今以上に修理も演奏も、がんばりまっす!」
その彼を、一颯は苦笑と共に見やる。
「思えば、鏡の迷宮を彷徨うような人生だった」
小さく肩をすくめると、自嘲気味に呟く。
「過去に囚われ、罪の意識に苦しみ、死者の面影ばかりを追い求め――。だが、君や陶芸家を目指す少女と出会い、考えを改めた」
言葉を切って、一颯は正面から陽太に視線を向けた。
「だから……しばらくは仮弟子として、僕の店に通ってみるかね?」
「ハイ! 仮弟子からスタートでお願いしまっす!」
陽太は、力一杯うなずいたのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
織人文
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月21日
参加申し込みの期限
2015年04月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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