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秋の夜に、廃墟にて
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【2】
音楽堂をあとにする参加者たちの中、春香に声をかけて来たのは、
近石 簾
だった。
「俺、ずっと五代先輩のこと、気になってたんっすよね!」
キラキラした目で言われて、春香は一瞬、固まる。それにはかまわず、簾は続けた。
「だってほら、廃墟好きすぎて猫鳴館来たってやつ。俺もそうですもん!」
それを聞いて、春香はホッと息を吐き出す。そして、ニッと笑った。
「そっか、あなたも同士か。もしかして、中学の時から猫鳴館に目をつけてたとか?」
「もちろんっすよ! 休みの日とか、こっそり見に行ったりして、ぜってー寝子高入ってここに住むんだーって考えてたっす!」
問われて簾は、更に目を輝かせながらうなずく。
「親にはすげー呆れられたっすけど、でもやっぱ、猫鳴館の廃墟一歩手前の良さって、やべーですよね! ほらぁあの、ボロボロの建物と生活感の暖かさのコラボ? ってゆーか、愛された建物の空気感ってか、妖怪雰囲気ってか……!」
「そうそう。廃墟って、フツーは人がいないところがまた風情があるんだけど、あそこは人が住んでてなおかつ、廃墟の良さというか風情を醸し出しているのがまた、なんとも言えないのよ」
まくしたてる簾に、春香は大きくうなずいて言う。そして、笑った。
「にしてもあなた、そこまでわかってるなんて、ほんとに廃墟好きなのね。こういう会を催したら、廃墟好きが集まるだろうって想像してたけど、本当にあなたのような人が来てくれてうれしいわ。それで、今夜はどこで撮るの?」
「あ、そだそだ。今日、写真撮りに来たんですよね」
問われて簾は、はたと我に返った。軽く頭を掻いて言う。
「俺実は全然写真、詳しくなくて。一応デジカメは持って来たんですけど。……俺、今までなんか、廃墟って見て満足してたっつーか。写真集みたいなこう、すげーきれえな写真とか自分で撮れると思ってなかったっつか」
そしていきなり、頭を下げた。
「先輩、ちょっとでいいんで、教えて下さい! コツとか!!」
春香はちょっと驚いた顔でそんな彼を見やっていたが、ふいに笑い出す。
「あなたって、いい子ねぇ。頭上げて。いいわよ、今夜は一緒に撮りましょう」
「いいんっすか?!」
笑い止んで言う彼女に、簾は思わず顔を上げて問う。
「ええ、もちろん。そうと決まったら、行きましょう」
「は、はい!」
笑って答える春香に、簾は大きくうなずいた。
春香が撮影場所として簾を誘ったのは、ミラーメイズ前だった。
ミラーメイズは音楽堂からは一番離れた場所にあり、月明かりの中にポツンと建っていた。
看板の一部や屋根など色が剥がれたり錆びたりした部分はあるものの、閉園から二十年も過ぎているわりには、しっかりと大地に建っているふうだ。
その前で、
桐生 計都
が撮影準備をしていた。
彼がこの遊園地跡に来たのは、まだあたりが明るいころだった。
事前に撮影場所を決めようと、夕日に包まれる遊園地の中を、彼は歩き回った。
(なんだか、不思議な感じです……)
錆びついて途中が草に埋もれてしまっているジェットコースターや、動かない回転木馬、色褪せ泥にまみれたコーヒーカップなどを目にして、彼はふと思う。
(きっとここも、昔はいろいろな人が訪れて、笑顔があふれていた場所だったんでしょうに。それが……)
二十年前といえば、自分が生まれるより前なのだと、彼は改めて考える。そんな昔に閉鎖された建物が、今もまだこうして残っていることそのものに、彼は奇妙な感慨めいたものを覚えた。
(そういえば、こういう廃墟を撮影するのは、初めてです。……少しでもいい写真を撮りたいですね)
胸に呟き、彼は歩き回った。
そして、決めたのがこのミラーメイズだった。
四角垂の屋根と、ゆるくうねるような屋根飾り、扉の上の斜めに傾いた看板とそこに描かれた色褪せたイラストが、暗くなり始めた空の下で、異彩を放っている。
日が落ちる前に、どこから撮るか、アングルも決めた。
そうして、一旦は音楽堂に向かった彼は、今またここに戻って、持参のランタン型ライトを足元に置き、撮影準備を進めていたのだった。
(きっと、このミラーメイズも、多くの人で賑わっていたんでしょうね。親子連れやカップルや……小学校の遠足とかで、来ることもあったかもしれませんね。それが今は……)
ふと準備の手を止めて、彼はしんと静まり返った中、闇に埋もれた建物を見やる。
(少しでもこの場所の寂しさと個性を、表現したいです)
胸に呟き、彼は作業を再開した。
その彼に、春香が声をかける。
「桐生くん、あなたもここで撮るの?」
「先輩」
「よう!」
顔を上げた計都に、簾が軽く手を上げて挨拶する。そのまま彼はミラーメイズをふり返り、目を見張った。
「こりゃまた、いい寂れ具合だぜ」
「でしょ? 中もちょっとしたものよ」
春香が笑って言うと、計都をふり返る。
「桐生くんは、中には入らないの?」
「中も撮るつもりです。ただ、先に外を撮ろうかと……。外観に惹かれて、ここを撮ることに決めたので……」
答える計都に、春香は少し考え、簾に視線を巡らせた。
「じゃあ、私たちは、先に中を撮りましょう。三人一緒だと、かえってお互いに撮影の邪魔になるかもしれないし」
「了解っす!」
簾はうなずき、来る途中で彼女にレクチャーしてもらった撮影のコツを試すチャンスだとばかりに、彼女に続いて建物の中へと入って行くのだった。
一方、音楽堂にはまだ、
桜 月
と
北条 冬華
の二人が残っていた。
冬華は舞台の上でカメラを手にあたりを撮影しているが、月が手にしているのはノートと鉛筆だった。描いているのは、服のデザインだ。
彼女は、服のデザインをするのが好きで、今夜もその参考になるかもしれないと、参加を決めたのだ。
冬華の方は、彼女の家でメイドとして働いている。
その仕事が終わるのを待って、月は冬華を誘ってここに来た。ちなみに月は外出用の服、冬華は私服の上からコートを羽織っている。
二人で、散歩がてらおしゃべりしながら、ここまでやって来た。
「冬華さんは、どこへ行きたい?」
月明かりに遠く、観覧車の黒い影が見え始めたあたりで、月は冬華に訊いたものだ。
「……集合場所の、野外音楽堂を見てみたいです。古代の神殿みたいだと、聞いたことがあるので、どんなふうなのか興味があります」
少し考え答える冬華に、月は笑う。
「わかった。行こう」
そうしてやって来た遊園地跡は、二人の想像以上に退廃的で寂しい風情に満ちていた。
音楽堂に佇む冬華は、月に妖精のイメージを抱かせる。蔦のからまる柱と柱の間から射し込む月の光が、更に冬華をそんなふうに見せた。
(今の彼女に着せるなら……)
月の頭に、イメージが水のように湧き出して来る。彼女はそれを、ノートに描いて行く。
その時だった。
「きゃっ!」
写真を撮っていた冬華が、ふいに声を上げた。
「冬華さん?」
ノートから顔を上げた月も、そのまま目を見張る。
いつの間に現れたのか、冬華のすぐ傍に、女の子が一人立っていたのだ。長いふわふわの銀の髪に白いワンピース、白い肌――懐中電灯の光に照らし出された女の子は、まるで人ではないかのように見える。
「君は……」
小さく息を飲んだまま口を開きかけ、月は参加者が全員ここに集まった時、小学生ぐらいの女の子がいたことを思い出した。
そう、女の子は今日の参加者の一人、
ゼロ・シーアールシー
だった。手には、妙に玩具めいたカメラを持っている。
「ゼロは、聞いたことがあるのですー。この雰囲気をわびさびと言うのだそうなのです」
小首をかしげて、彼女は二人のどちらにともなく言う。
月と冬華は、顔を見合わせた。
「わびさびとは、ちょっと違うんじゃないでしょうか」
苦笑して冬華が言うと、彼女はきょとんとしてそちらを見やる。
「そうだな。わびさびと言うのはもっと、人為的なものというか……」
月もうなずいて言ったが、イマイチどう違うのかは説明し難く、言葉に詰まった。
そんな彼女を見やり、ゼロは考え込む様子だったが、すぐに顔を上げた。
「ゼロには、難しいことはわからないのです」
言って、彼女は踵を返す。舞台から降りて立ち止まり、空をふり仰いだ。
「あの星の光は、何百年も何千年も何万年も前のものなのですー」
両手を広げるようにして彼女が指し示す星々に、月と冬華も思わず空を見上げる。十月の夜空は、驚くほどに澄み渡り、星々が降って来そうに見えた。
「綺麗です……」
「ああ……」
二人は、声なくそれを見つめる。
その傍で、ゼロが続けた。
「でもそのころ、ゼロはまだ寝子島には来ていなかったのですー。あの星の光が星をでたころゼロは……で……だったのですー」
途中の言葉は、よく聞き取れなかったものの、それはまるで、何万年も前から自分は存在していたのだと言いたげだった。
二人は思わず顔を見合わせ、どちらからともなく苦笑を浮かべる。
相手は、小学生ぐらいの女の子だ。きっと想像の中で、自分は何万年も前から生きている、人間とは違う存在ということになっているのだろう。
「……冬華さん、そろそろ他の所へも言ってみないか?」
苦笑をおさめ、月は冬華に声をかける。
「はい」
冬華がうなずき、二人はゼロに軽く手をふり、そのまま歩き出した。
途中で月がふり返って見ると、音楽堂に人影はなく、まるでゼロは最初からいなかったかのようだった。
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担当ゲームマスター
織人文
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月21日
参加申し込みの期限
2015年04月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月28日 11時00分
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