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時間を切り取るカプセル
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【赫薔薇葬】
ロープウェイの“展望台前”に、そっと一人の少女が降りた。
ベルベッドの生地をふんだんに使用した、一瞬場違いを思わせる程の深い真紅と黒のドレス。
僅かに黒掛かったヘッドドレスに、同じく僅かな起毛仕立てのシックなパンプスには黒のリボンがあしらえられていた。
レースも使用されているが、ロリータとは一線を離れたその装いをした少女の雰囲気は、どこか静か過ぎる哀しみにも諦観にも似た様子に満ちていた。
瞳を伏せて、心ここにあらずといった様子で。
胸元に抱えていた紅色で編み上げられた手提げバッグを一旦胸から離し、代わりに何も塗装がされていない、並び置かれているタイムカプセルの中から一つを選んで、そっとその胸に抱いた。
ゆっくりと、埋める為の穴が掘られている段差の傍まで向かう。
その途中で、
緋紅朱 赫乃
は人々の間に学校内での見知った存在を見出した。
「あ…八神さん、だよね?」
「ああ、緋紅朱じゃないか」
赫乃は、まだ自分から彼に名乗った事は無い。
しかし、
八神 修
は名前を覚えていた様子で、そちらに笑顔を向けた。
──実は、修は彼女が降り立った時から、その服装から彼女の存在を特定していた。
ただ、その雰囲気が余りに切なげで、声を掛けるには余りに躊躇われただけで。
「緋紅朱は何を埋めに来たんだ?」
「……おわった、思い出を、うめにきた、よ」
タイムカプセルを軽く抱き締めるように告げたその一言だけで、彼女に何が起こったのか修は何となくではあったが静かにそれを理解した。
「八神さん、は、何を、埋めるの、かな?」
まだ、空のタイムカプセルを胸に抱えたまま赫乃が問い掛ける。
「俺?」
尋ねられて、修がバッグから取り出したものは、何かの写真帳とメモリーカードだった。
「俺が埋めたいのは友達達との写真と、それを格納したメモリーカードだ。
数十年以上経てば経年劣化が気になるから、メモリーカードごと入れようと思ったんだ」
そう言いながら、修はタイムカプセルに収めようとしていた写真帳から、その中の一枚を抜き出す。
その幸せそうに2人での写真に、赫乃の瞳が僅かにかすんだ。
「恋人、さん?」
「違うよ。恋人じゃない。
でも凄く大切な存在だよ」
柔らかく笑う彼の言葉に、偽りは無いように思われた。
ただ、写真の中でお互いにここまでの表情を浮かべる存在が「恋人ではないとしたら」それは彼にとって、どの様な存在が大切となり得るのか、それが赫乃には気になった。
「大切、な、存在?」
「そう。
何て説明すればいいのか分からないが──」
赫乃が不思議がっているのを見ながら、上手く説明できるかを心配しながら修は言葉を紡ぐ。
「俺が居る家は裕福で、物質的には恵まれている。
俺個人としても、成績は自覚がある位には問題ないし、運動もある程度なら平気になった。
だから、恵まれていて欲しい物はない、……と思っていた」
「思って、いた?」
「……ただ、人との繋がりは、欲しかった」
身にしみるように思いの丈を言葉にしていく。
──子供の頃に味わった、絶対的な孤独。
今尚完全に癒えた訳ではない思いは、説明の形容としてすら、未だに出す事はできないけれども。
「今でも欲しい。人との繋がりは得がたく大切だ。
そして、大切な人には幸せになって欲しい。
命とか、安全とか、豊かな暮らしとか……笑顔とか……
自分の手の届く範囲で、守りたい。良くして行きたい」
そこで修は静かに残っていた息を吐き出して、写真集の中の何とはなしに開いたページを見せる。
そこには、様々な人々の眩しい位の表情豊かな様子がたくさん写っていた。
それだけで、今までの言葉の意味を赫乃は理解する。
「だから、大切、なんだ、ね……」
「そんな、想い願いを未来へ送る。
写真に込めた思い出ごと。
学校で、街で、山で……
新聞部な俺がいつも持っているカメラは、彼らとの思い出をたくさん切り取っていた。
──それを纏めて、未来の自分に向かって贈るんだ。
彼らとの関係や、俺の理想が変わらない事を心から願ってさ」
写真に受け答えてから、赫乃は辛そうに瞳を閉じた。
「タイム、カプセル、だから……ふつう、なら、いろんな……みらい、に、開ける……思い出……つめるんだ……
──私、も……タイム、カプセル、埋めてきちゃう、ね……」
話を聞いてまるで居た堪れなくなったかの様子で、修に背中を見せて、小走りに穴のある方向へ走っていく赫乃。
修はその思いつめた様子に、放っておく事が出来ずに、後についていった。
赫乃は長机ではなく、穴の傍で直接、紅色のバッグの中身を慎重に手を伸ばして地面の上に汚れないようにと、受付でもらって来た紙の上に置いていく。
その中で、赤のが混じったピンク色の薔薇が置かれた時に、修の気配を感じて、赫乃は小さく呟いた。
「この、薔薇は、私の、初恋に、気づいたときの、子。
これを、見るたびに、あの人の、こと、思い出す、んだ。
あの日々、は、……とっても、輝いて、いて。
今でも、キラキラ、輝いている、幸せな、思い出」
修の姿は赫乃には見えない。しかし、聞いている気配はする。
次に置かれたのは、今をもってして尚、光に煌きを放つ透明な真紅の香水瓶。
「けど、もう、あの人は、遠い人に、なっちゃった。
だから、これは、私の、けじめ。
あの人の、枷に、なりたくない、んだ」
それらを順番にタイムカプセルに沈めて、最後に残ったのは一通の手紙。
それを脇に差し込むように一番下においてカプセルを閉めた。
当日に決まったのか、受付でハンディタイプの小型のスコップが貸し出されているのも見ていたが。
赫乃は敢えて手で山となっていた土を掬い上げては埋めていく。
しゃがみこんだ紅のスカートは一気に土にまみれたが、全く気にする様子も無く埋めていく。
「……私の、初恋を、おいていくね」
言葉と共に、地面に涙の雫が、ぽたりぽたりと落ちていく。
「あれ、おかしいな、涙が、でる、よ……。
泣かない、って、きめた、のに……」
柔らかい土は、滲み込むように次々と落ちるその涙の跡を吸っていく。
赫乃は、呟き涙を零しながら一心にタイムカプセルを土に埋め続けて、涙と土を交えたそのタイムカプセルの先まで、土を両手で固く体重を掛けて押し見えない位置まで埋め切った。
「……さようなら」
ドレスの袖も裾も、半分近くが泥まみれになってしまった。
その顔は手で拭くことも出来ずに涙の跡で一杯だった。
作業を終えてその一言を言い終えた時、ゆっくりと振り返れば、修が少し離れたところから、ハンカチとカメラを片手に彼女を待っていた。
「水道が向こうにあるから、手をすっきり洗ったら──
写真の中に、緋紅朱も…一枚良いかな? 後、温かいココアを買ってきたからもし良かったら、一緒に飲まないか」
「ありがとう……
……写真……うん、いいよ……お友達、だね」
そう言って、赫乃は小さな身体で、水道の方へ歩き始めた。
土に埋められた時間を止めるタイムカプセル。
ドライ加工されて永久の過去とされた、赤の差したピンクの薔薇の花言葉は余りに多いけれども、ただ一つ言えるのは、それらの言葉のどれもが全て温かかった事と。
そして、地中に埋められた手紙には、
──【夢をありがとう。そしてさようなら、私の初恋の人】
その一言が、地中へと、静かに静かに遺された。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月15日
参加申し込みの期限
2015年04月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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