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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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沈黙の恋人たち
「よろしくお願いしまーす」
「今日もお世話になりまーす、だよー」
ボリュームを抑えつつ、御剣 刀、千鳥 雅人、そして小淋の３人は頭を下げる。
気迫がみなぎっている。
小淋は笑う。刀、雅人ともに、それなりに頑張ってきたみたいだ。
『それでは、明日のテストに向けて始めましょうか』
小淋の走り書きを見て、雅人と刀が頷く。
支援部の３人、テスト大詰めを迎え、ラストスパートを図書館でかける。
『明日の教科に、重点を置いてやっていきましょう』
「最終日の科目は、世界史・生物・古文・地理だったね……」時間割を確認しながら雅人がつぶやく。「この中だと、世界史と地理を重点的にしておきたいなぁ……」
『古文と世界史くらいなら教えられそうですが』しゃっと小淋がスケッチっブックにペンを走らせる。『生物には、私も不安が残ります』
「俺が苦手な教科？」刀がつぶやく。「体育と料理以外全部」
断言する彼に、雅人と小淋が力弱い笑みを浮かべる。
今回あらゆる方法で、中間テスト対策を試みてきた彼。熱意は伝わってきたし、頑張らねばという気持ちにもなった。
でもやっぱり、勉強の優先順位はあがらない。
「特にひどいのは地理！ 古文はましな方」
点数を上げることを目標に、一同は古文から仕上げていくことに決めた。
小淋が古文の教科書を引き寄せ、雅人が古語辞典と資料集を取り出す。
一字一句丁寧に解釈し、心情読み取りまで踏み込んでいく。
静謐な時間が流れる。淀みなくシャープペンシルが流れる。
アンチョコの雑な解説に雅人が苦笑し、刀がノートを参照して、永田先生の古文は一級品だと頷く。小淋が古語辞典で、解説をフォローする。
支援部の３名を知る者なら、この光景にわが目を疑うかもしれない。
小淋はともかく、英語アウトの雅人に、期末テスト４教科０点の刀。
しかし、集中して勉強を進める３名の姿は、優等生のそれ。
じつは支援部の３名、古文だけは共通して得意科目！
読書家の小淋はもとより、寺育ちで古書を枕に寝ていた雅人、このところ奇怪な事件続きで、否応なく故事を調査せざるを得なくなり、古文に触れる機会の多かった刀。
高校教科書程度の古文なら、あらまし意味は取れる。
さらに、各人が知恵を持ち寄って、完璧に磨き上げる。
「ふふーっ、家に古い本とか結構あったからねー！」雅人がアホ毛をピンとそそり立たせる。
「古文は、なんとなく読めるんだよ。生物と、古典だったら力になれるかもっ！」
「浅山は無論だが、千鳥もやるな……」刀が目を細める。「俺も負けてられない」
やればできる支援部。ついに秘めたる力が発動したか。
この絶対領域、侵せる者など存在しない！！
……数分後。
「うん、分かんない」あっさり言い放つ刀。
問題集とにらめっこしつつ、アホ毛をふわふわさせる雅人。
いつもの支援部だった。
小淋以外の二人、大苦戦。
最大の難敵、地理。
「地理とか、普段の生活で使わないだろう！
ここまで一生懸命やる必要は、ないと思うんだ！
テストだから、やるけどさ」
周囲を慮っても、多少テンション高めの声であった。
だが、まわりは黙っていた。
むしろ「よく言った」みたいな空気も漂っていた。
刀の叫びは、地理嫌い学生すべての、心の叫びであった。
アルゼンチンの天気と、昭和基地の降水量の比較。
アルプスの土地の組成と、アメリカの岩盤の比較。
なぜそんなものを覚えなければいけないのか。
様々な地図を、用途別に使い分ける。
時差を正確にとらえ、正しい時間を算出する。
すべて、アプリをインストールすれば事足りる。
溶岩流と、気圧の変動を予測する。
テラフォーミングでもするつもりなのか。
興味があって覚えるのなら、楽しいのだろう。
教科書は、テスト勉強は、なぜこうも面白そうなものを面白くなく提供するのか。
ノートを見ながらでもわからないの？ という問いに、刀は、うんわからないとあっさり答える。
開かれるのは緻密なノート。しかしところどころ、大胆な空白がとられている。
「ノートに黒板の内容は書いてあるけど、時々授業サボっているから内容ぬけてるんだよ」
サボりという言葉に眉をひそめる二人。
「仕方ないじゃないか。神魂とか妖怪とかの調査をする為には、日中に動くしかないんだ」
ぐっと力説する刀。「勉強は後でもできる！ だが、この調査は今しかできないんだ！」
沈黙と、困ったような笑顔が、刀に対する何よりの返答だった。
「はい、勉強します」
早くも窮地だった。
……。
……。
離れた机では、二人組の片方が、灰になったり蘇生したりしていた。
「今日もお世話になりまーす、だよー」
ボリュームを抑えつつ、御剣 刀、千鳥 雅人、そして小淋の３人は頭を下げる。
気迫がみなぎっている。
小淋は笑う。刀、雅人ともに、それなりに頑張ってきたみたいだ。
『それでは、明日のテストに向けて始めましょうか』
小淋の走り書きを見て、雅人と刀が頷く。
支援部の３人、テスト大詰めを迎え、ラストスパートを図書館でかける。
『明日の教科に、重点を置いてやっていきましょう』
「最終日の科目は、世界史・生物・古文・地理だったね……」時間割を確認しながら雅人がつぶやく。「この中だと、世界史と地理を重点的にしておきたいなぁ……」
『古文と世界史くらいなら教えられそうですが』しゃっと小淋がスケッチっブックにペンを走らせる。『生物には、私も不安が残ります』
「俺が苦手な教科？」刀がつぶやく。「体育と料理以外全部」
断言する彼に、雅人と小淋が力弱い笑みを浮かべる。
今回あらゆる方法で、中間テスト対策を試みてきた彼。熱意は伝わってきたし、頑張らねばという気持ちにもなった。
でもやっぱり、勉強の優先順位はあがらない。
「特にひどいのは地理！ 古文はましな方」
点数を上げることを目標に、一同は古文から仕上げていくことに決めた。
小淋が古文の教科書を引き寄せ、雅人が古語辞典と資料集を取り出す。
一字一句丁寧に解釈し、心情読み取りまで踏み込んでいく。
静謐な時間が流れる。淀みなくシャープペンシルが流れる。
アンチョコの雑な解説に雅人が苦笑し、刀がノートを参照して、永田先生の古文は一級品だと頷く。小淋が古語辞典で、解説をフォローする。
支援部の３名を知る者なら、この光景にわが目を疑うかもしれない。
小淋はともかく、英語アウトの雅人に、期末テスト４教科０点の刀。
しかし、集中して勉強を進める３名の姿は、優等生のそれ。
じつは支援部の３名、古文だけは共通して得意科目！
読書家の小淋はもとより、寺育ちで古書を枕に寝ていた雅人、このところ奇怪な事件続きで、否応なく故事を調査せざるを得なくなり、古文に触れる機会の多かった刀。
高校教科書程度の古文なら、あらまし意味は取れる。
さらに、各人が知恵を持ち寄って、完璧に磨き上げる。
「ふふーっ、家に古い本とか結構あったからねー！」雅人がアホ毛をピンとそそり立たせる。
「古文は、なんとなく読めるんだよ。生物と、古典だったら力になれるかもっ！」
「浅山は無論だが、千鳥もやるな……」刀が目を細める。「俺も負けてられない」
やればできる支援部。ついに秘めたる力が発動したか。
この絶対領域、侵せる者など存在しない！！
……数分後。
「うん、分かんない」あっさり言い放つ刀。
問題集とにらめっこしつつ、アホ毛をふわふわさせる雅人。
いつもの支援部だった。
小淋以外の二人、大苦戦。
最大の難敵、地理。
「地理とか、普段の生活で使わないだろう！
ここまで一生懸命やる必要は、ないと思うんだ！
テストだから、やるけどさ」
周囲を慮っても、多少テンション高めの声であった。
だが、まわりは黙っていた。
むしろ「よく言った」みたいな空気も漂っていた。
刀の叫びは、地理嫌い学生すべての、心の叫びであった。
アルゼンチンの天気と、昭和基地の降水量の比較。
アルプスの土地の組成と、アメリカの岩盤の比較。
なぜそんなものを覚えなければいけないのか。
様々な地図を、用途別に使い分ける。
時差を正確にとらえ、正しい時間を算出する。
すべて、アプリをインストールすれば事足りる。
溶岩流と、気圧の変動を予測する。
テラフォーミングでもするつもりなのか。
興味があって覚えるのなら、楽しいのだろう。
教科書は、テスト勉強は、なぜこうも面白そうなものを面白くなく提供するのか。
ノートを見ながらでもわからないの？ という問いに、刀は、うんわからないとあっさり答える。
開かれるのは緻密なノート。しかしところどころ、大胆な空白がとられている。
「ノートに黒板の内容は書いてあるけど、時々授業サボっているから内容ぬけてるんだよ」
サボりという言葉に眉をひそめる二人。
「仕方ないじゃないか。神魂とか妖怪とかの調査をする為には、日中に動くしかないんだ」
ぐっと力説する刀。「勉強は後でもできる！ だが、この調査は今しかできないんだ！」
沈黙と、困ったような笑顔が、刀に対する何よりの返答だった。
「はい、勉強します」
早くも窮地だった。
……。
……。
離れた机では、二人組の片方が、灰になったり蘇生したりしていた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年05月01日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年05月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年05月08日 11時00分
