ゴールは寝子島変電所｜リアクション

ゴールは寝子島変電所

【骨削瓢の最後】

「ひゃはっ、目玉……目玉ぁ」
　そのとき、いつもの寝子島で瓢はイソギンチャクから奪取した目玉をなでている。
　まるで、水晶を大事に扱う占い師のように。
「こいつで、面白いことをやるさね！　まずは何から……」
　思いつく限りの悪事。
　優先するのは、己の愉しみ。
　無数の罵倒すら心地が良く、むしろ負け犬の遠吠えのように聞こえた。
「ひゃひゃひゃひゃっ！　心地よいねぇ！　ほら、こいつは良いものだ！」
　支離滅裂な言葉。
　そして――、痛み。
「――あひゃひゃひゃ、ひーっひゃっひゃっひゃっひゃ！」
　痛みすら、可笑しい。
　箸が転がっただけで笑う子供のように、ひらすら、ひたすら笑い続ける。
　いとおしく、イソギンチャクの目玉をなでる幻想をみながら、嗤う。
　あぁ、愛しきかな狂気の世界よ。
　心の底から、ここにいたい、そう願う。
「ひゃはははっ――……っ……は……――ひ……はっ」
　やがて、その笑い声は……途絶えた。
　
　だが、その行動は結果として多くのイソギンチャクを引きつけていた。
　ゆえに、先に逃走をしていたグループに多少は影響を与えていた。
　結局の所、その快楽と愉悦を優先するその行動は、どう映ったのだろうか……。
　少し残った笑い声だけが、印象に残ったのであった。