ゴールは寝子島変電所｜リアクション

ゴールは寝子島変電所

【二回目と初見……そして】

「まさかここって……」
　多喜勇生は、星ヶ丘教会付近の辺りをうかがうようにして歩いていた。
　景色や周りに蠢いている存在に差異はあるが、かつて自分が感じた異様な寝子島に再び引きずり込まれたのだと、直感する。
「まただ、また。うまく……うまくやらないと。けど……」
　あのときのメンバーはいるのか？
　もう食べられてしまったのか？
　勇気を出そうにも不安が自分に襲いかかる。
　ごくりとつばを鳴らし、偶然持っていた、絶縁のコーティングをしたバールのようなものを握りしめると、ゆっくりと歩き始める。
「うひゃっ！」（磴琥珀　1d20→11）
　教会から少し離れた場所から声が聞こえた。
（人の……声だ！）
　暗がりで見えない中、おびえながらも進む。
　ゴォォンッ！　
　雷がほとばしり、一瞬だけ通路の先が見える。
「こっちに来てはいけません！」
　先ほど叫び声を上げた磴琥珀が同じく勇生に気づき声を上げる。
　彼も恐怖に耐えながら逃げる最中であった。
　そして、勇生は見てしまう。僅かな灯りに照らされて、彼の目の中に飛び込んできた餓鬼魚人たちの饗宴と、迫り来る醜悪な連中を……！
（多喜勇生　1d20→3）
「うわぁぁぁぁぁっ！　うわっ、うわ……もうだめだ……逃げられない……」
　過去の記憶もまた蘇り、勇生の精神にすさまじい負荷が襲いかかる。
「しっかりさない！　走って！　逃げるのです！」
（散歩をしていて、突然変な生き物と遭遇なんて笑い話にもなりません、むしろ……）
　琥珀は、勇生を励ましながら、ホースクラブ前の所へと出る。
　錯乱している勇生を連れているため、餓鬼魚人もじりじりと追いかけてくる……。
「はぁっ……はぁっ……」
「ふぅ……ふぅっ……」
　息は乱れ、呼吸は苦しい。どちらがどの息を吐いているかすら分からぬほど、疲労がすぐに押し寄せる。
　やがて、二人はホースクラブ前の通路の端に行き当たり、左右を見回すもどこも餓鬼魚人であふれている。
　
　絶望が二人を覆う――。

　しかし、遠くからクラクションが鳴り響き、激しい音が響き渡ると、つられるように餓鬼魚人が引いていく。
「……な、何が？」
　勇生がその様子に何だろうかとつぶやく。
「分かりませんが……とにかく先に進みましょう」
　琥珀の言葉に頷くと、二人は先を急ぐのであった。