ゴールは寝子島変電所｜リアクション

ゴールは寝子島変電所

【邂逅：小学生】

「何ということになりマーシタか！」
　深縹露草は、寝子ヶ浜海浜公園の桜川に近いところでようやく息をついた。
　時折光る落雷と、僅かな灯りで得られた視界を活かしつつ、なんとかイソギンチャクをやり過ごしてきた。
　しかし、そんな露草もどうにもならないことがある。
「なんや、おそろしのぎょーさんおるなー」
　苑下ちか、小学二年生女子。
　イソギンチャクと最初鉢合わせたが運良く見向きもされることもなく、たまたま桜川方面に逃走したところで、露草と鉢合わせた。
（苑下ちか　1d20＝20）
「とりあえず高そなとこのぼって見てみよか、おっちゃんまもってーな！」
「お、おっちゃんデスか」
　小学二年生に振り回されている19才である。
　とりあえず、動き出そうとした矢先イソギンチャクたちの動きが変わる。
「……これは」
　露草がイソギンチャクと目を合わせないように注意しながら、そっと周囲に気を配る。
「あ、うちはがんばってみる。ほないくでー」
「えっ」
　イソギンチャクの動きを警戒していた露草をよそに、ちかがさっと走って行く。
　どうやら、自分たちの方に来ないことに好機を見いだしたらしい。
「……どうしマスか」
　即座に追いかけるかどうか……悩む露草。だが、一人だと心許ない。
　だが、意を決して走り出す。
　ちかがどのルートを通ったか分からないが、北へ行けば合流できるはずだ。
　そう考えて北へと走る……時間が過ぎ、寝子ヶ浜海浜公園を抜けたとき、露草に話しかけるものがいた。
「なにしてるのだ？」
　後木真央。
　なんと、寝子島シーサイドタウン駅の方面へと進んでいた真央と偶然にもあったのだ。
「……とりあえず、自己紹介デースね」
「そうするのだ」
　そう言って、暗がりの街へ出ようとした瞬間だった。
　薄暗くて分からなかったのか、目の前に出たぎょろりとイソギンチャクと目が合う。
　ぎょろり、と催眠効果のあるその目に引き込まれていく……。
（後木真央　1d20＝15）
（深縹露草　1d20＝16）
「よく見えなかったのだ！　逃げるのだ」
「……逃走デース！　ハリーハリーッ！」
　こうして、途中で自己紹介を挟みつつ、イソギンチャクから逃げ、北側へと向かうのであった。

このページにイラストを設定する