寝子島ナイトマーケット｜リアクション

寝子島ナイトマーケット

「あれに見ゆるは美和ちゃんセンセーとまゆちゃんセンセー！？」
　遠くから二人を見つけた真央が声を上げる。
「そうだな。挨拶に行くか」
　近付こうとする修だったが。
「しかし真央ちゃんの野生の食キングの勘が告げるのだ、今あの強者に近づくは死あるのみっ」
「えーっ、何事？　勘でわかるの？」
　胡桃が面白そうに言う。
「ん～真面目に言っちゃうとセンセ達もプライベートあるかなって思っただけなのだ……お酒も入ってるっぽいのだ」
　目を逸らす真央であった。
「そうだな。やめておくか」
　修も、真央の言葉に納得した。

「フハハ！　やっぱり美人の姉ちゃん達と飲む酒は格別だ！」
「あの、帰りたいんですが……」
　いつの間にか、カレーの店の手伝いを終えた礼美先生まで巻き込んでいる。
「何よー、やっぱりマグロも胸が大きいほうがいいっての？！」
　酔っぱらった美和先生が絡みだした。
「い、いや俺は美人なら胸にこだわらないぜ。胸なんて飾りさ」
　風向きが怪しいと感じたマグロは目を逸らした（着ぐるみの目は変わらないが）。そして見つけた。
「むむ、そこに居るのはサンマ野郎！　てめぇもここに居やがったのか……」
　そのままサンマさんのほうへ向かっていく。
「そう？　わかってるならいーのよ」
　マグロに話している美和に、アリーセの店を出た蒼志が声をかけた。
「あれ？　担任の久保田先生だ……どもっす……」
「蒼志くん？　夜遊びはほどほどにね～」
　機嫌よく手を振る美和先生。
「……おっさん好みだったんだ……」
　蒼志は離れていくマグロさんを見て誤解していた。

「まあ、いい……今日はお祭り。無礼講だからな！　今日だけはてめぇへの敵対心は抜きにして一緒に呑もうぜ。おらぁ、飲めや歌えや！」
　マグロはサンマさんも巻き込んで飲み始めた。
「サンマさんとマグロさんが飲酒なのだ！？　どうやってどこからなのだっ！？　やべぇのだこのスクープ是非撮りたいのだっ」
　真央が常備しているデジカメを取り出し、激写し始めた。
「サンマさんにプライベートはないのか……まあ気持ちはわかるが」
　呟く修。
　ちなみにマグロは飲み食いはエラの部分が開閉式になってそこからしてる模様である。顔は見えない。
「さ、どうぞどうぞ」
　蛟がにこやかにマグロにお酌し、礼美先生に目配せする。礼美先生は頭を下げて感謝すると、そっと抜け出していった。
「せっかくのナイトマーケットだしな。みんなで楽しまなきゃ損だろ？　つまみにシェパーズパイはどうだい？」
　商品のアピールも忘れない蛟だった。