せんせいといっしょ：久保田先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：久保田先生編

序：集まれ！　お手伝い！！
――放課後・教室前の廊下。
　人気もまばらな場所で、ガンつけ合っている男子生徒が２人。一方はボサボサな白い髪が特徴的な新井瞬平。もう一方はさらりとした黒髪の如月庚。二人はここ最近色々と因縁があり、決着をつけたい、と互いに思っていた。
「まだ勝負はついちゃいねぇ。……そろそろケリ付けようぜ」
「そうだな、こっちも丁度そう思ってたんだ」
　まさに一触即発、といった所に、ぱたぱた、という足音。それに思わず振り返ると、ひとつ結びにした明るい笑顔の女性が駆けてくる。
「丁度いい所に！　庚君と瞬平君、ちょっとお手伝い頼めるかしら？」
手伝ってもらえる人を探していた久保田美和が両手を合わせ、にっこり笑う。途端に先程までの張り詰めた空気が一気に緩み、思わず庚と瞬平は構えを解いてしまう。
「いや、みっちゃん。今は取り込み中だ。……悪いが後にしてくれ」
　とりあえず、そういう庚。傍らの瞬平はどうも美和の眼差しが苦手なのか、こっそり逃げられないか様子を伺っていた。が、美和は動じない。
「どうしても今日中に終らせたいの。だから、手伝って欲しいのよね」
　むんず、と掴まれる２人の手。逃げられない、と悟った瞬平は、ちらり、と庚を見た。が、偶然にも同じ事を考えているらしい。ここは逃げられない、と。
　結局、２人は美和に手を引かれるまま、教室に入るのだった。

「こ、これ……大変そう……」
　図書委員会の仕事が終わり、教室に戻ってきた綾辻綾花は、机に置かれたプリントを見てため息をついた。これを１人でやるのは流石に酷というものだ。
「あれ？　綾花チャンも忘れ物デスカ？」
　後ろからぴょっこり顔を覗かせたのは赤毛のツインテール＋おさげが特徴的な御薗井Ｅセレッソだった。綾花が目の前のプリントの山を見せると、セレッソはその内容から自分たちの担任が困っているのでは、と推測する。
「美和チャンせんせーが困ってルなら、手伝わないとデスね♪」
　セレッソが腕まくりをしていると、そこへ丁度美和達が教室へやってきた。綾花とセレッソは早速駆け寄る。
「みわちゃん先生、私達もお手伝いしますっ」
「本当？　助かるわ！　でも、あと少し人手が欲しいのよね……」
　美和はプリントの量と人数を確認し、少し考える。そして、事務室から借りてきたであろうホッチキスを取り出し、
「私はもう少し人を集めてくるから、悪いけど４人で先に作業をしてて貰えるかしら？　やり方は……」
　と、説明しながらプリントを一枚ずつ順番に重ね、最後に右端をホッチキスでパチンッ、と止めた。
「わかった！　ワタシ達にマカセテ！！」
　セレッソがぽん、と胸を叩くと、美和は頼もしいわ、と笑みを浮かべた。

「……そういう事で、ちょっと手伝ってもらえるかしら？」
「アイヤー、確かに大変そうアルなぁ。勿論手伝うアル！」
　次に美和が出会ったのは畑中華菜子と瞬城真魚、偶々出くわした最上るるかだった。
「もぅ、しょーがないなぁ～。あたしも手伝ってあげる」
　声を掛けられた時、るるかはツイてないなぁ、と思ったが、困っている様子から思いなおし、笑顔で頷く。その傍ら、真魚は少し慌てた様子で携帯電話を取り出した。

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