何も死守しない普通の一日｜リアクション

何も死守しない普通の一日

　犬達とのジョギングを終えた修はシャワーで軽く汗を流した。バスローブ姿でシェフ特製の朝食を楽しむ。飲み易い味に調整された新鮮な野菜ジュースが喉を潤した。
　一息つくと手早く着替えて机に向かう。構って欲しそうな声で鳴く子猫達を空いた手であやしながら宿題を終わらせた。
「今日は時間があるから、動物園に連れて行ってあげるよ」
　ライトブルーのパーカーに身を包んだ修は子犬のカーキーを胸に抱いて歩く。小さな命はとても暖かい。顔を寄せると盛大に頬を舐められた。
「カーキー、くすぐったいよ」
　戯れる中、修は自転車の前カゴにカーキーを入れた。縁に前脚を掛けて前を見ると、ワン、と高らかに吠えた。
「行くよ」
　サドルに跨った修はペダルを力強く踏み込んだ。全身に心地よい風を受けて坂を下っていった。