影身始末　～寝子島辻斬り物語　弐－２～｜リアクション

影身始末　～寝子島辻斬り物語　弐－２～

【落神神社　最初の一打、の前に！】

　八神修と椿美咲紀は、落神神社の参道中腹あたりで、子夜と合流していた。
　しばらく時間が過ぎると、矢萩咲とがさがさと草むらが動き、常闇月が現れる。
「お待たせしましたか？」
　自分が最後だと思ったのか、そう聞く月。
「いや、大丈夫だ……これで全員か？」
「誰がどこにいるかが分からないから……」
　全員か確認する修に、咲が言う。
　しかし、子夜が首を振って遮る。
「時間、が……無い。早く……行動した……ほうが……よい」
　そのとき、にわかに影人たちがせわしなく動く。
「わわわわわわっ！」
　坂を転げるように逃げているのは雨崎荒太郎だった。
　恐らく、大物の影人に見つかったのであろう。
「……すまん、ちょっと回収できないか？」
　修が申し訳なさそうに言う。
「咲は問題ない、子夜さん？」
　すぐに、咲が行動を起こす。
「少しばかり……準備運動、かな？」
　そう言って、子夜が続く。
「その間に、少し提案したいことがあります。良いですか？」
　月が、修へと問う。
「そうだな、大まかな作戦を練っておこう……隠れながら」
　そう言って、修がやれやれと息をついた。
「じゃあ、ちょっとお花探してくるね！　今あるのが足りなくなるといけないから」
　美咲紀が明るく言う。
「……さて、どうなるかな？」
　子夜が集まった面々を考えてぼそりとつぶやきながら、荒太郎を救出しに向かうのであった。
　なお、救出された荒太郎は、いきなり影人の大物……東郷重位の目の前にうっかり出てしまったらしい。
「まさか、うっかりで奇襲すら出来なくなりそうになるとは……」
「ごめんね、やがみん！」
　頭を抱える修、こういうときもマイペースを崩さない荒太郎であった。
「……とりあえず、示現流について咲が説明するから座れ」
「はい」
　咲がにらむように言うと、荒太郎も落ち着いたのか、皆の中に加わって作戦を練っていくのであった。