――それは、とある白昼の斬劇。
さる休日の昼の事である。
維剣 姫乃はシャンシャンと竹刀袋の鈴を鳴らしながら歩いている。
(たまには、公園で素振りをしようかな?)
鈴と同じリズムで、鼻歌を歌いながら姫乃はふと、空を見上げる。
昼下がり……揺らめくような秋の太陽は、じっと姫乃を見下ろしている。
ふと、その太陽に雲がかかった瞬間であった。
――ぞくり!
姫乃の全身を駆け巡るように悪寒が走る。
「……月、だよね?」
今まで太陽があったであろう位置に月が静かにたたずんでいる。
そして、その月が二つに割れる。
「!?」
避けたのは、偶然であった。
月を割ったのは黒い刀――影のような人が持つその武器である。
「なになに? 何なの!?」
そのまま二の太刀と攻撃してくる影人。
とっさに持っていた竹刀袋ごと相手の影刀をはじき上げる。
竹刀袋の一部が切れ、中から竹刀があらわになるも、竹刀は傷一つ無い。
「……なるほど、こういう世界なのね」
竹刀を見て冷静になった姫乃。
しかし、さらに三の太刀が横薙ぎに襲いかかってくることは予期していなかった。
「何をしている、動け!」
「えっ? きゃぁ!」
突如、かけたれた声に従って後へと影刀を避ける姫乃。
布が切られた感触がしたが、それよりも声が気になった。
ちらりと、声の方向を盗み見ればそこに居たのは
テオドロス・バルツァである。
(その前に、目の前の敵に集中しなければ)
聞きたいことは色々あったが、今は影人に集中しようとする姫乃。
しかし、ある事に気づいてしまう。
先ほどの横薙ぎで、さっくりと胸元が切られていたのである。
ほんの少しだけ服の隙間から大きなお胸がこんにちはしている。
「――……い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
あらん限りの声で、顔を真っ赤にして姫乃は叫んだ。
そのまま先ほどより遙かに人間を超えそうな動きで、力任せに影人を倒す。
ろっこん【羞恥心バースト】の効果炸裂であった。
「はぁ、はぁ……はぁ」
手に斬ったという感触を覚えつつ、肩で息する姫乃。
そのまま上着の前を留めて胸元を隠す。
「……落ち着いたか? では、話をしよう。影が、再び現れた」
先ほどの一連のことなど知らぬ風に、テオは口を開いたのであった。
何というか、色々あって「暗夜雨道 ~寝子島辻斬り物語~」の第二話です
ちゃんちゃんちゃんばらを楽しみましょう
影人が現れた→なんだか複数ボスがいるよ! →ボスを倒したら世界脱出!
そういうわけで、今回も敵を倒して解決解決ッ!
〇時刻や場所
時刻 お昼の一三時過ぎ
場所 寝子島内の シーサイドタウン
旧市街
星ヶ丘
の全域にて、影人が出現
状況 昼で視界良好
(前回は足下にペナルティがありましたが、今回はありません。
ただし、今回は前回より敵が強いので、覚悟してご参加ください)
〇襲われる人(※前回と同様になります)
「もれいび」や「ひと」で70センチ以上の棒状のものを持つキャラクター
小刀やナイフのようなものには反応しませんが、モップや洗濯竿には反応します
また、敵の武器は竹刀や木刀で受けても大丈夫ですが
人間に当たると殺傷能力を持ちます
〇大物の影人について
※九夜山参道 落神神社手前の一本道のところに出現
荒れ放題の道での戦いとなる
大物の特徴 トンボの構えを使用する。(恐らく示現流)
一挙動、一動作に丁寧さが感じられ
身のこなしが猿のように素払い
なにやら、身をすくませるような特技を持つ
※シーサイドタウン アウトレットモールの真ん中
足場も安定しており、十分に戦える
大物の特徴 盡忠報國の鉄扇を持ち、取り巻きに囲まれている
ぱっと見た感じ、ほかの影よりも頭一つでかい
また、取り巻きもほかの影よりもほんの少しだけ強いらしい
※旧市街 古びた日本家屋系の屋敷の大きな畳部屋(二〇畳程度)
広い部屋だが、相手に場所としての有利がある
場所としては商店街の入り口付近
大物の特徴 いくつもの影刀を所持している
武士と言うよりも貴人の出で立ちをしている
複数の流派を習得しているかもしれない
※星ヶ丘 天宵川中流(星ヶ丘教会付近)
足下は石が転がっている
時代劇では浪漫の河原の戦い
大物の特徴 二天一流の動作が見られる
(持っているのは一振りのようだ)
宮本武蔵ではない
動きは軽快で、複数の連続攻撃に注意
〇そのほか
雑魚(といってもそれなりに強いですが)の影人が出現
PCたちの進路を妨害してきます
道路や開けた場所にいっぱいいます
〇解決方法
大物の影人すべてを倒す必要がある
基本的に影人を倒すには
70センチ以上の棒状のもので「斬る」必要があります
それら以外の手段で攻撃した場合それらの攻撃を無効化します
(例:有効 刀、木刀、模造刀、薙刀、箒、モップ、洗濯竿など
無効 小刀、カッター、ナイフ、銃弾、打撃など)
また、今回で倒せなかった場合、基本世界にあふれ出るかも?
〇そのほか大事なこと
現状、テオが寝子島そっくりの異世界を構築した
時間ががかったり全滅したら危うい状況にある
異世界なので敵に斬られても死亡はしない
〇注意
「襲われる人」以外の人も、テオの作った異世界に巻き込まれる
という可能性があります
その場合、初手は襲われず、かつ、突然、異世界に放り込まれます
上手く武器を手に入れないと敵が倒せないので工夫してください
なお、電波が存在しないので
携帯やスマホなどの連絡手段は一切使えません
〇アクションを書く際には
どこで巻き込まれたか
どこで誰を援護するのかを書いてください
○維剣 姫乃のPL様へ
あえてどこの公園で襲われたとは明記せずに書いていますので
この後移動したということで、お好きな場所からスタートできますので
よろしければ是非ご参加ください。
また、参加しなかった場合は何とか脱出して終わります
(その場合はリアクション内での描写はありません)
○前回との相違点
1,今作の時間軸は昼である
2,前回に比べて敵はパワーアップしている
にご注意。
○アクションを書くときのお願い
特定の影人にPCが集中して、誰かを倒し損ねると大変なので
一度、誰を狙うのかを宣言する、譲り合うなどして
なるべくそれぞれがそれぞれを分担することになるようにご協力をお願いします
(参加者数が四人に達しなかった場合のみ例外)
○呼称の統一
影のような人→影人(かげびと)
影人が持っている武器→影刀(かげとう)
です