○シーサイドタウン、アウトレットモールにて
シーサイドタウンアウトレットモール……、
ある光景を、一人の少女が見ていた。
「……何アレ?」
その少女の名は
竹内 音羽、アウトレットモールの影人に対応するために援軍を呼びに行ったのであったが、ふと感じた嫌な予感に引き寄せられて再び大物の影人のところへと潜入していた。
だが、そこに居た影人の大物は先ほど見たときとは違うものへと変質していた。
見た目は武士であることが分かるのだが、武士にしては大きい。
そして、筋肉質の体にそのまま紋付羽織袴を着せている感じだ。
羽織の色は鮮やかで、白梅が黒の中にちりばめられており、ちぐはぐな印象を音羽は受ける。
「やぁやぁ、ここは! なんたる奇っ怪!」
周囲にある建物を見てしきりに感心したように言う。
びりびりと大きな声が辺り一帯に響きわたる。
ごつごつとした岩のような風貌と厚ぼったい鼻と唇からその声が発せられたのだ。
「この芹沢鴨(せりざわ かも)!! この奇怪な鉄塊に血しぶきの春画を刻んで見せよう! ぐははははは!!」
どうやら、鉄筋コンクリートの建物がお気に召したようだ。
(に、逃げないと……)
音羽が逃げようとしたそのとき、芹沢のぎょろりとした目が音羽のいる場所をとらえる。
「平間! 鼠だ! 鼠がおるぞ!」
その言葉を聞いて、平間と呼ばれた影が走り出す。
(ちょっ! マジで? 見つかったとか最悪!)
音羽は、すぐにその場を離れるように動く。
「おなごじゃ! おなご! 捕まえて酌をさせるか! ぐはははは!」
音羽の姿を見た芹沢は喜色の声を上げる。
「ひぃっ!」
何気に貞操と命の危機を感じた音羽は、脇目も振らずアウトレットモールを走り始めた。
すると。
「ぐはははは! 活きが良い! 変わった着物だが、色を使えば栄えるか!」
どどどどどどっと地面を揺らすかのように芹沢が追いかけてくる。
こうして、音羽は最大のピンチを迎えるのであった。
○九夜山 落神神社
「……」
その人物は徐々に受肉していく体を見ながら嘆息した。
「ここは……?」
ぼそり、とつぶやきながら目を開ける。
しばし瞑目した後、理解したかのように目を開く。
「世の中が変わってもやうこっが同じか……」
そう言って、落神神社へと向かい、そのまま中へと上がる。
落神神社の崩れ気味の神社の中では、一人の少女が寝かされていた。
「……」
その少女は、人の気配を感じると目を開ける。
「目ぇ覚めたか?」
少女の名前は
常闇 月。
事件に巻き込まれてすぐにここに寝かされていた。
慌てて起き上がろうとするが、傷が痛みうっとうめき声が上がる。
「打ち身だ。じきに良くなる」
どうやら、この男は命を取る気が無いらしい。
そう思ったら月は相手を観察する余裕が出来た。
第一印象はすらりとした下級武士という感じだが、言葉遣いはやや訛りがあるも丁寧なので、恐らくある程度の身分階級には居たのだろう。
服装は軽装で、剣道着に似ている作りの服を着ている。
自然として隙が無く、顔の輪郭などは平均的ではあるが、バランスが良いため悪い印象は抱かなかった。
「……しばらくしたら行くと良い。おなごの命はとらん」
話を聞きながら、月はなんとか目の前の男を倒す方法を探すも、今の状態では無理だと悟る。
(不意を打つ……一人では難しいですね。複数でも勝てるか……どうか)
少しでも情報を引き出しておくかと判断し、話しかけてみる。
「名前くらいは、名乗ったらどうです? いきなり転がして、治ったら出ていけとか無責任すぎますよ?」
挑発的にあえて月は言う。
「……東郷(とうごう)。親しいもんは藤兵衛と言う」
だが、と言葉を切る。
「……おはんらのほうが、よく知っている」
そう言って、去って行く。
「もっといるのじゃが、どうしたもんかな」
そうつぶやきながら。
月はしばらく様子をうかがうと、動けることを確認し、脱出に成功する。
「……現状を把握しなければ」
そういったところで、テオこと、
テオドロス・バルツァの声が響いたのであった。
○寝子島町役場
ここはどこだろう?
いや。
ここはなんだ?
酒浸 朱蘭と
維剣 姫乃は影人と戦いつつここに偶然迷い込んでしまったことを後悔していた。
大物の影人を倒しても戻ることは出来ず、あちこちをさまよい仲間を探している最中であったが……。
目の前は先ほどまで寝子島の町役場だったのだが、突如ここから一条の光が空へと上がり、町役場が吹っ飛び、月が斬れ、月を中心にガラスが割れたような日々が上空に現れ始めている。
また、光が現れた場所には祭壇のようなものが置いてあり、一本の刀が報じられているのが分かる。
現代の展示用ケースに入ったその刀から、光が出たかのようだった。
刀はまるで思念を持っているように光り、光るごとに影人を生み出しているかのように見える。
「なるほど、原因はあの刀か……だとすると、あの刀を利用した人物がいるのか……それとも自然に暴走したのか」
少し考えて、どっちもありそうだと思い朱蘭は苦笑する。
「とにかく、壊すか、接触するかするよ!」
そう言いつつ、姫乃は元町役場、現儀式場に近づいていく。
(これ以上、服が破れるとお嫁に行けなくなりそうだもん)
そんなことを考えつつ、進む。
「そこで止まれぃ!」
ある程度行ったとき、一人の大男が目の前に立ちはだかった。
(戦国武士?)
(酒を結構飲みそうだぜ)
姫乃と朱蘭はそれぞれの感想を抱く。
男の見た目は、鎧武者の格好をしており、のっべらとした顔をしている。
鎧は全体的に青みがかかっているが、なんとなく鬼っぽいなという感想を抱く。
「我が名は『青鬼』の籾井教業(もい のりなり)。我が主の邪魔はさせん! いざ勝負!」
そう言って、一気に距離を詰めて日本刀で斬りかかってくる。
(早い!)
慌ててバックステップで躱しつつ、姫乃は言う。
「この影のような人を生み出しているのはあなたたちなの!?」
「聞きたくば、我を倒してみよ!」
その籾井の言葉にやれやれと朱蘭は思った。
迷い込んだら核心を突くというのは、なんとも皮肉なことか。
「いざ、勝負!」
しかし、何をするにもこの勝負馬鹿をどうにかしなければいけないと思うのであった。
「その前に一献やろうぜ!」
「馬鹿ぁ――!!」
朱蘭の言葉に盛大に突っ込みを入れる姫乃。
「うむ、お主らを倒した後、丹波の美酒で酔おうぞ! 一人酒だがな!」
「乗っからなくて良いから!」
……突っ込み不在の恐怖とはかけ離れた勝負になりそうだ。
こうして、第二幕が上がる。
果たして、平和を勝ち取ることが出来るのであろうか……?
第二幕が開始されました。
敵をさっさとやっつけて、帰りましょう。
※シナリオ補足
前回エンディングとリンクしております
テオの説明によると、異世界構築から時間がたち
さらに危険な状態になっているので解決しろとのこと
(前回の「詳しく説明する」の部分がこのマスコメに相当します)
なお、これらの情報は全員に共有されます
それぞれ参加方法を書いていきます
○前回、やられた組
前回のリアクションにあるようにそのまま帰る(シナリオ不参加)か
もう一度参加(シナリオ参加)を選ぶことが出来ます
不参加であっても不利益を被ることはありません
参加する場合は、テオの説明にあったように好きな場所に転送してもらえます
また、前回戦った相手と再度戦う場合戦闘が若干有利になります
○前回終了時に異世界に取り残れた組(およびオープニング参加者)
こちらも同じくそのまま帰る(シナリオ不参加)か
もう一度参加する(シナリオ参加)を選ぶことが出来ます
不参加であっても不利益を被ることはありません
参加する場合、三つのパターンがあります
一、前回と同じ場所からスタートする
二、前回の場所から移動したことにして、スタートする
三、ガイドに登場した箇所でそのまま参加する
(注、ガイド参加者が不参加の場合リアクションには描写されません。いつの間にか帰っていたことになります)
こちらも同じく敵に対してある程度優位性があります。(小さいものですが)
○新規参入組
現実の寝子島からテオやほかの人の声に応えて参加することが可能です。
(※前々回のシナリオに参加していた人の場合は戦闘に若干優位がつきます。
○オープニング補足
シーサイドタウンアウトレットモール、九夜山の落神神社、町役場の三カ所に
大物の影人であったであろうボスがいます
影人が肉をまとい、しゃべってますが、実際は影人ですので倒すのにルールがあります
倒し方はテオや他の人に教わった(聞いていた)ものとしても良いです
〇そのほか
雑魚(といってもそれなりに強いですが)の影人が出現
PCたちの進路を妨害してきます
道路や開けた場所にいっぱいいます
〇解決手段
大物の影人すべてを倒す必要がある
基本的に影人を倒すには
70センチ以上の棒状のもので「斬る」必要があります
それら以外の手段で攻撃した場合それらの攻撃を無効化します
(例:有効 刀、木刀、模造刀、薙刀、箒、モップ、洗濯竿など
無効 小刀、カッター、ナイフ、銃弾、打撃など)
〇注意
電波が存在しないので
携帯やスマホなどの連絡手段は一切使えません
〇大物の影人の情報
※九夜山 落神神社
大物の影人の名前は東郷重位
史実では示現流剣術の流祖ですが、完全再現はされてない
不利な地形を構築するほど、相手は有利になる
下手に勝負をするより、集団でごり押しして倒す方が良いかもしれない
※シーサイドタウン アウトレットモール
大物の影人の名前は芹沢鴨
史実では神道無念流剣術の免許皆伝かどうかは不明だが、今回はそう扱う
パワー剣術であり、受け損なえば一刀両断される
有力な取り巻きは残り一体、油断しているところを倒した方が良いかもしれない
※寝子島町役場(現謎の儀式場)
大物の影人の名前は籾井教業
史実は曖昧な人物だが、今回は「青鬼」として力を振るう
(実際調べたところ、籾井氏は存在していたようだが、シナリオに関係ないので割愛)
刀のほか、槍のようなものや、投擲武器などさまざまに戦う
一言!!
史実はあくまでベースになっているだけで、史実を論じるシナリオではありません
Wikiなどを参照して、そのままそれをアクションに反映するのは注意してください
〇アクションを書くときには
どこに行くのか、どこから始めるのかを書いておいてください
基本的には
1,九夜山 落神神社付近
2,シーサイドタウン アウトレットモール付近
3,寝子島町役場付近
となります
付近、としてあるのはいきなり敵のど真ん中に行くことも出来るし
その手前からスタートすることも出来るという意味です
(ちなみに、出現を利用した奇襲をした場合、敵はあっさり見破ります)
〇今回も失敗した場合は
ちょっとまずいかも。なのでがんばってください