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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
探偵ケチャップの寝子島住民調査ファイル
「ケチャップ、帰って来てるのなら速やかに私に報告しなさい！」
「カァ！」
「……私直々にあなたの住処にまで来てみれば……その後ろに隠したものは何？」
「カ、カァ」
「おどきなさい」
渋々と体を動かすケチャップ。
「あらあら……煎餅にブドウにナシに……これは猫の餌かしら……まあ、これは馬刺しじゃないの！ ずいぶんと豪勢じゃないのケチャップさん」
「クァ」
「ふふ、全部横取りするほど食い意地張ってないわよ、安心しなさい。馬刺しだけもらうわ」
「カァ……！」
一番の楽しみを奪われしょぼんなケチャップ。
「さて、こんなに豪勢な食事をどこで調達したのか、きちんと報告してもらうわよ」
くちばしをつかまれげしげし揺さぶられる。
「さあ、お出しなさい」
「カァ、カァ！」
ほぼほぼ強引に。ケチャップの口から次から次へと報告書が吐き出される。
今日も一日。素敵な鳥さんに出会えますように。
大天使 天吏の朝はそんな願いから始まる。
一人暮らしのマンションを出て、学校を目指す。思いは常に、上の空。人よりも鳥との出会いを所望し空を見上げ続ける。
校内でも同じ。晴れていたら屋上、雨だと図書館にいることが多い。
（今日は鳥が少ない……）
風が強く肌寒い一日。早く流れる雲を眺めながら寂寞の思いに浸る放課後。
（退屈ね）
一直線でマンションに帰り、明かりもつけず、放心したままぼんやり机に向かう。
（あら？）
気がつけば、ベランダに一羽のカラスがいた。驚かさないよう静かに窓を開け、
「こんばんは」
挨拶する。
「寒くなってきたわね」
「カァ」
快活に返してくれ、天吏は今日初めて満面の笑みになる。
「そうだわ、ちょっと待ってね」
部屋に引き返し、冷蔵庫を開ける。ブドウ、ナシ、イチジク。デザート用に取っておいたものを切り分け皿にのせると再びベランダへ。
「お腹がすいてるのかな、と思って。違ってたらごめんなさいね」
左、右、左、とカラスが首を傾げる。こちらの言葉を理解しようとしているのか、警戒しているのか、それとも何か伝えたいことがあるのか。
鳥さんのことは大好きだけれど。話したり、思いを理解することができない。それを感じるとき、天吏はもどかしく心苦しい気持ちになる。
皿のフルーツを一つ一つ吟味し、カラスはまずイチジクを選んだ。くちばしでつまんで器用に口の中へ運ぶ。
「もしかしたらあなたとは、以前どこかで会ってるかもしれないわね。私はいつも空ばかり見て鳥を探しているから」
天吏の問いかけに応じず、カラスはイチジクに夢中だ。
マンションの外壁が橙に染まる。星ヶ丘方面に沈んでいく夕陽と黒々としたカラス。しばらくその2つだけを眺めて対比を楽しんだ。
「そうだ……ねえあなた、クローネさんを知ってる？」
「ク……クアァ！」
意表を突かれたカラスはフルーツを喉につっかえさせてしまう。あからさまに挙動不審になる。
「友達……なのね？ 実は私もクローネさんとお友達なの。クローネさんってとても綺麗よね」
くちばしを開いたままカラスは呆然と固まってしまっている。
「でも最近会えなくて、少しさみしいわ。もしクローネさんと会うことがあったら、私が寂しがっているって、伝えておいて」
「カァ」
カラスの鳴き声が夕暮れに渋く響き渡る。
「私、あなたたちカラスさんのこと、島に来てからもっともっと好きなったの。でも、私からはあなたたちのところへ行けないわ。だから、クローネさんやカラスさんの方から、私に会いに来てほしいのよ」
カラスは黙って耳を傾けている。
「クローネさんの好きなイチゴ……すぐには用意できないけど、来てくれたならごちそうするわ。だからよろしく言っておいてね」
「カァ」
「ふふ、もちろん、あなたや他のカラスさんも大歓迎よ。毎日でもいいわ。私のところへ来て」
残ったフルーツをビニール袋に入れて差し出す。カラスはそれをくちばしで受け取ると、手すりを蹴って空を滑る。
「また来てね」
カラスの姿が見えなくなるまで天吏はベランダにいた。東にはもう、夜の闇が迫っている。孤独の世界へ吸い込まれそうな黒。カラスの黒とは正反対だと天吏は思う。
今日も私は一人。でも、鳥さんたちと仲良しなら、それでいい。
素敵な鳥さんと出会えた一日に感謝すると、天吏は部屋へ戻っていった。
＜調査ファイルNo.2391 大天使 天吏＞
寝子島高校普通科2年2組。
いつも大体一人でいる。
鳥にはもの凄く優しい。
クローネ様のことを知っていて、「私の友達だ」と言っていた。もしかして味方？
「クローネ様に会いたい」とも。
イチジク、甘酸っぱくておいしかった。
ろっこん：不明。
「カァ！」
「……私直々にあなたの住処にまで来てみれば……その後ろに隠したものは何？」
「カ、カァ」
「おどきなさい」
渋々と体を動かすケチャップ。
「あらあら……煎餅にブドウにナシに……これは猫の餌かしら……まあ、これは馬刺しじゃないの！ ずいぶんと豪勢じゃないのケチャップさん」
「クァ」
「ふふ、全部横取りするほど食い意地張ってないわよ、安心しなさい。馬刺しだけもらうわ」
「カァ……！」
一番の楽しみを奪われしょぼんなケチャップ。
「さて、こんなに豪勢な食事をどこで調達したのか、きちんと報告してもらうわよ」
くちばしをつかまれげしげし揺さぶられる。
「さあ、お出しなさい」
「カァ、カァ！」
ほぼほぼ強引に。ケチャップの口から次から次へと報告書が吐き出される。
今日も一日。素敵な鳥さんに出会えますように。
大天使 天吏の朝はそんな願いから始まる。
一人暮らしのマンションを出て、学校を目指す。思いは常に、上の空。人よりも鳥との出会いを所望し空を見上げ続ける。
校内でも同じ。晴れていたら屋上、雨だと図書館にいることが多い。
（今日は鳥が少ない……）
風が強く肌寒い一日。早く流れる雲を眺めながら寂寞の思いに浸る放課後。
（退屈ね）
一直線でマンションに帰り、明かりもつけず、放心したままぼんやり机に向かう。
（あら？）
気がつけば、ベランダに一羽のカラスがいた。驚かさないよう静かに窓を開け、
「こんばんは」
挨拶する。
「寒くなってきたわね」
「カァ」
快活に返してくれ、天吏は今日初めて満面の笑みになる。
「そうだわ、ちょっと待ってね」
部屋に引き返し、冷蔵庫を開ける。ブドウ、ナシ、イチジク。デザート用に取っておいたものを切り分け皿にのせると再びベランダへ。
「お腹がすいてるのかな、と思って。違ってたらごめんなさいね」
左、右、左、とカラスが首を傾げる。こちらの言葉を理解しようとしているのか、警戒しているのか、それとも何か伝えたいことがあるのか。
鳥さんのことは大好きだけれど。話したり、思いを理解することができない。それを感じるとき、天吏はもどかしく心苦しい気持ちになる。
皿のフルーツを一つ一つ吟味し、カラスはまずイチジクを選んだ。くちばしでつまんで器用に口の中へ運ぶ。
「もしかしたらあなたとは、以前どこかで会ってるかもしれないわね。私はいつも空ばかり見て鳥を探しているから」
天吏の問いかけに応じず、カラスはイチジクに夢中だ。
マンションの外壁が橙に染まる。星ヶ丘方面に沈んでいく夕陽と黒々としたカラス。しばらくその2つだけを眺めて対比を楽しんだ。
「そうだ……ねえあなた、クローネさんを知ってる？」
「ク……クアァ！」
意表を突かれたカラスはフルーツを喉につっかえさせてしまう。あからさまに挙動不審になる。
「友達……なのね？ 実は私もクローネさんとお友達なの。クローネさんってとても綺麗よね」
くちばしを開いたままカラスは呆然と固まってしまっている。
「でも最近会えなくて、少しさみしいわ。もしクローネさんと会うことがあったら、私が寂しがっているって、伝えておいて」
「カァ」
カラスの鳴き声が夕暮れに渋く響き渡る。
「私、あなたたちカラスさんのこと、島に来てからもっともっと好きなったの。でも、私からはあなたたちのところへ行けないわ。だから、クローネさんやカラスさんの方から、私に会いに来てほしいのよ」
カラスは黙って耳を傾けている。
「クローネさんの好きなイチゴ……すぐには用意できないけど、来てくれたならごちそうするわ。だからよろしく言っておいてね」
「カァ」
「ふふ、もちろん、あなたや他のカラスさんも大歓迎よ。毎日でもいいわ。私のところへ来て」
残ったフルーツをビニール袋に入れて差し出す。カラスはそれをくちばしで受け取ると、手すりを蹴って空を滑る。
「また来てね」
カラスの姿が見えなくなるまで天吏はベランダにいた。東にはもう、夜の闇が迫っている。孤独の世界へ吸い込まれそうな黒。カラスの黒とは正反対だと天吏は思う。
今日も私は一人。でも、鳥さんたちと仲良しなら、それでいい。
素敵な鳥さんと出会えた一日に感謝すると、天吏は部屋へ戻っていった。
＜調査ファイルNo.2391 大天使 天吏＞
寝子島高校普通科2年2組。
いつも大体一人でいる。
鳥にはもの凄く優しい。
クローネ様のことを知っていて、「私の友達だ」と言っていた。もしかして味方？
「クローネ様に会いたい」とも。
イチジク、甘酸っぱくておいしかった。
ろっこん：不明。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年02月17日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年02月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年02月24日 11時00分
