探偵ケチャップの寝子島住民調査ファイル｜リアクション

探偵ケチャップの寝子島住民調査ファイル

　クローネは分厚い報告書の束を頭上へ放り投げた。それらは彼女の心情のように気だるく、パラパラと枯れ落ちた花弁のように広がっていく。
「飽きたわ、読むの」
　止まり木にくちばしを擦り合わせてお手入れ中だったケチャップ、驚き顔で短く鳴いた。
「雨の日も風の日も調査を続けて作成した報告書になんてことを。って顔してるけどね。私の気まぐれだからこういうの。私が飽きたら、もう要らないのよこの紙は！」
「カァ！」
　威嚇のケチャップ。
「大丈夫よ安心しなさい。ケチャップにはこれからも調査ファイルを続けてもらうから。私が読むの面倒になっただけよ、あなたの任務は続行」
　そりゃあんた、誰も読まない報告書を作り続ける不毛な作業を死ぬまでやれってことですかい。と訴えたいケチャップ。
「だから大丈夫。きっとまた私が読みたくなるときが来るから。それまでできるだけ島民の情報を集めてらっしゃい。頼んだわよケチャップ」
　有能なあなたにしかできないんだから、調査ファイルは。そう言われると断れない。

「カァ」
　渋く鳴くと、ケチャップはまた寝子島の空へと飛び立つ。
（そうよケチャップ、どんどん調査するのよ。危険な子、フツウを望んでいる子、フツウな子……そして）
　クローネは予め印を付けていた数枚を拾い上げていく。
（フツウを望んでいない子……私たちの味方になってくれそうな子……こういう逸材を見つけるのがケチャップの役目。任せたわ）

　朝の寝子島。通勤通学中の人々が行き交うシーサイドタウン。ケチャップは一人の人物に目星をつけると急降下する。
「カァ」
　探偵ケチャップは、今日も誰かに密着する。

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あとがき

担当マスター：小西秀昭
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探偵ケチャップの調査ファイル、いかがでしたでしょうか。

今回いただいたアクションは大きく以下の3パターンに分かれていました。

1.日常を過ごし、それをケチャップ目線で報告してもらう
2.ケチャップに接触し何らかのアクションをかける（特に多かったのが「捕まえる」）
3.上記2つの合わせ技
　
いずれにしてもアクションの流れを汲んだリアクションになっていますが、「ケチャップの報告書を見せてもらう」「クローネのアジトまで連れて行ってもらう」といったアクションは叶えることができませんでした。さすが飼いならされたカラスだけあって、ケチャップは口が堅かったようです。単にクローネのお咎めが怖かっただけかもしれませんんが。

ただしこのケチャップ、餌には弱く、無償の施しは積極的に受ける傾向にあり、また仕事の愚痴は言いたい放題という、わりと現金なところがあります。今後も登場する度に懐柔していけば、いつかはこちらの味方になってくれるかも……？

今回は広いスタンスで対応できるシナリオだったため、キャラクターの性格や習慣や考え方を前面に出せる、これまでにないリアクションを描くことができました。皆さまの心にも強く残るものに仕上がっていれば幸いです。

以上、探偵ケチャップの調査ファイルでした！　ではまたっ！　小西秀昭でしたっ！

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