伝説のおイモバトル｜リアクション

伝説のおイモバトル

●男のロマン

「おい……なんだあの芋は！　女子を宙ぶらりんにしてスカートを……！
　許さねぇ！　許せねぇ！」

　拳を握りしめ、歯を食いしばって怒りに震えるのは、布下研だった。
　これほどまでに血をたぎらせ、このモンスターたちの凶行に怒りを燃やしているのは、彼ぐらいではないだろうか。

「……俺はろっこんであんなに苦労してやっとの思いで覗けるぐらいなのに軽々とやりやがって……！
　許さねぇ……！　あんなに簡単にハレンチな事しやがって……あの芋絶対焼き尽くしてやる……！」

　……最初の方、ちょっとカッコいいとか思ったのにね。
　それだけなら女子にもモテたかもしれないのに、非常に残念です。ありがとうございました。

　それはさておき、動機は何であれ、研は燃え盛る闘志を胸に触手モンスターに突貫する。

「うおー！！　燃やし尽くしてやるぜー！　ってさすがに人が捕まってる時に火は付けられねえ！」

　突撃の寸前で冷静さを取り戻し、とにかく自慢の足で撹乱して助けられる隙を伺う事にした研。
　敵の隙を見つけるため、とにかく相手の動きを『見る』……

「……ってあれ？　宙ぶらりんにされた子のパンツが見え……」

　研はあまりに相手を凝視し過ぎた結果、ついうっかり自分のろっこん『視線の先の情熱』を発動させてしまったのだ。
　無駄かもしれないが、彼の名誉のために言っておこう。これは事故である。ワザとじゃないんだよ。いやホント。

　ろっこんの効果でひらりとめくれた舞のスカートに目が釘付けになってしまうのも、年頃の少年なんだから仕方がないよね。
　ただ、注意が散漫になったため、自分の足元に伸びてきている触手に気がつかなかったのは失敗だった。

「ってぎゃー！　捕まったー！？　やめろ！　そういうのは俺の役割じゃねー！」

　たちまち空中に持ち上げられて、逆さ宙吊りにされる研。
　脱出しようともがき苦しむが、ふと気づけばここは同じように吊るされている舞のすぐそば。
　少し視線を向けるだけで乱れたスカートの裾からチラチラ例の物が見え隠れしているではないか。

「ここって特等席なんじゃね？」

　そう思った瞬間、触手にキュッと首を絞められ、研の視界はブラックアウトした。