伝説のおイモバトル｜リアクション

伝説のおイモバトル

「食物連鎖の定めに従えイモ。感謝はしてやるから」

　月詠は『絵空事』でおイモのモンスターの封印を試みようと思ったが、舞の存在が問題だった。
　『絵空事』は動物は封印できない。このまま吸いこんでしまうのは難しいだろうと思われた。

「真央、捕まってる子を助けてやってくれ！」

「分かってるのだ、捕まってる人助ければ月詠ちゃんのスケッチブックに収納オッケーなのだっ……
　がおー、触手切り取って捕まった人を助けるのだっ」

　がおーは一声吠えると、触手に爪を突き立てて引き裂き始めるが、触手は引き裂く傍から何本も生えてきてキリが無い。

「くそっ、こうなったら中途半端でもやるしかないか……」

　月詠はとりあえず触手をスケッチブックに封印しようと前に出た。一か八かだ。
　伸びてきた触手に、盾の様にスケッチブックを振りかざす。
　スケッチブックはまるでトリモチのように触手を捕え、そのうちへ吸いこもうとするが、触手も吸い込まれまいと必死に抵抗する。
　その結果、スケッチブックのページが一枚剥がれ、一本の触手に張り付いたままの状態になった。
　触手の全てを吸いこんで封印する事は難しいようだ。だが、張り付いたページが触手に引き裂かれるまでは強力な吸引力で引っ張り続け、一時的にではあるが攻撃の手を減らす効果があった。

　それならばと月詠は触手イモの移動速度が遅い事を見て、一旦退路を確保しつつ遠くへ下がると、声を上げて挑発を始める。

「やーいこのボロ雑巾みたいなスイートポテトめー聞いているのかヘナチョコヤローめお前はシラミの卵だー」

　真顔で叫ぶその言葉に意味はないが、モンスターの気を引く事で真央への注意を逸らす効果があった。