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自分が自分でいられる場所で
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● 秘密基地で交錯する時間 ●
あの日輝いて見えたコンサートホールが、今は薄く埃に覆われていた。
振り返ってみれば床に捺された自分の足跡が、夕暮れの光に浮かぶように点々と続いている。
取り壊しが決まったこのホールに足を運ぼうなんていう物好きは、自分ぐらいしかいないのだろうと
神嶋 征一郎
は思った。
それでもこの場所が無くなってしまう前に、一目見たかった。
幼少の頃、征一郎はここで何度か演奏をした。
今思えば幼い未熟な演奏だったが、その歳なりに研鑽した結果だったし、賞を取ったこともあった。
もちろん入賞は嬉しかったけれどそれ以上に、演奏しているだけで心の底から楽しかった。
あのころ世界は輝いて見えたものだ。
……今の世界はどうだろう。こんな風にかつての輝きを埃が覆い隠していなければ良いのだが。
そんな懐旧に浸りきっていたから、
「神嶋?」
と不意に掛けられた声に征一郎の心拍数は跳ね上がった。
反射的に振り返ったが、そんなことをしなくても声だけでそれが誰なのかなんて判りきっている。
振り返った先には、予想通り
シグレ・ナイトウォーカー
がいた。
何故てめぇがここにいる?
征一郎は心の中で毒づいた。こんな所で、こんな想いに耽っているときに、知人になんて絶対に会いたくない。
帰ろう、と身を翻しざま方向も考えずに足を運ぶ。
否、運ぼうとしたのだ。その言葉を聞くまでは。
いきなり征一郎に去ろうとされて、シグレは驚いた。
そもそも、ここで知り合いに会ったこと自体が意外だった。
星ヶ丘にあるこのコンサートホールは古くても音響が良く、建物も内装もどこかヨーロッパを思わせる雰囲気があって好きだった。
無くなってしまう前にせめて記憶に焼き付けておこうと、学校帰りの夕暮れ時に忍び込んだ先で、まさか征一郎に会おうとは。
つい名を呼んでしまったが、その途端征一郎は踵を返した。それも、どこに向かおうというのが見えない、ただここから去ることしか考えていない動きで。
その危なっかしさを止めようとした口から出たのは、シグレにも思いも寄らない言葉だった。
「おい、『また』迷子になるぞ!」
言った方も聞いた方も、暫く互いを凝視した。
強烈な既視感。
こんなことが以前にもあっただろうか。
不思議な霧の中、いやそれよりも前。
あれは……。
6年前、いやもう7年になるか。
ドイツで開催された国際ジュニアクラシックコンクールでのこと。
征一郎にとってそれは初めてのドイツだった。
言葉も碌に分からない不慣れな土地で征一郎は親とはぐれてしまった。
心細くて、泣きたくて。
けれど泣き出せるほどの余裕さえなく。
涙をいっぱいに溜めた目を必至に開いて、広いコンサートホールをさまよい歩いた。
そのとき、声を掛けてくれた外国人の子どもがいた。
ドイツ語は通じなくて、わずかに通じる英語を並べ、足りない大部分は身振り手振りで補って。
どこまで通じたのか判らないけれど、その子は征一郎の手を引いて一緒に親を捜してくれた。
名前を聞いたはずだが……何だったか。ああ、確か。
夜を渡る人、そう頭の中で翻訳したのを憶えている。
「Thank's.Let's fight!」
無事に親と会えた別れ際、そう言ったらきれいな目で頷いてくれた。
「ウォーカー……お前、もしかして……」
ないとうぉーかー君? と続けられなくて征一郎は口ごもる。
代わりにシグレが、そのときに辛うじて聞き出せていた名前を口の端に乗せる。
「Sei……?」
ヴァイオリンを大事そうに抱えて、泣きそうな顔でふらふらしていた日本人の迷子。
コンクール前に迷子に巻き込まれるのもどうかと思ったけれど、同い年ぐらいの不安そうな子どもを見捨てておけず手を引いてやった。
こちらを頼りにぎゅっと握ってくる手に、仕方ないなと笑みが漏れたものだ。
あれから7年。
可愛かったはずのあの子どもは、可愛げのない仏頂面でシグレの前に立っている。
「霧の中で迷ったりてめぇとは何かと縁があるみたいだな」
重ねてみれば顔立ちに面影はあるものの、あの不安に涙を溜めていた表情はいったいどこへいったのやら。
「こういうのって腐れ縁って言うのかな?」
言ってみると、征一郎はうるせぇと一蹴した。
けれど気分は悪くないのか、征一郎は持参してきたらしきヴァイオリンを構える。
何か茶々でも入れようかとちらっとシグレ考えたのが伝わったように、
「黙って聴いてろ」
征一郎は釘を刺しておいてから呼吸を整え、ヴァイオリンを奏で始めた。
この曲、どこかで聞き覚えが……。
「あっ……」
それはあのドイツのコンクールでヴァイオリンの課題曲だった、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番第1楽章だ。
けれどそう言えば、あの後シグレがヴァイオリンのコンクールを気にしていたことがばれてしまうし、演奏の邪魔にもなる。
そっと言葉を呑み込んで、シグレは征一郎が消えゆくコンサートホールに捧げる鎮魂の演奏に耳を傾けるのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
ねこの珠水
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月04日
参加申し込みの期限
2015年02月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年02月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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