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自分が自分でいられる場所で
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● 秘密じゃない秘密基地 ●
その場所の事を、
八神 修
は小耳に挟んだことがあった。
空を飛べる者にしか行くことの出来ない秘密の場所がある、と。
修がそう言うと、
鴇波 羽衣
は首を振った。
「秘密って訳じゃないよ。確かに徒歩では行けない場所だけど、飛行系ろっこん持ちの人たちの休憩場所になってるし、内緒にしてもいないの。あ、でも」
あたしにとっての秘密基地みたいなところではあるかも。
と付け加えて羽衣は笑う。
そういう所も秘密めいて聞こえるのは、自分には手が届かない場所だからだろうかと修が考えていると、羽衣は思いも寄らない提案をしてきた。
「修くんも行ってみる? あたしのろっこんを使えば小屋まで飛べるよ」
「え、いいのか?」
思わず聞き返す修に、羽衣はもちろんと頷いた。
寝子島飛行部隊の山小屋があるのは九夜山の中腹だ。
「準備はいい? 修くん、この布にしっかり掴まってね」
羽衣はろっこん、ういのはごろもで飛行能力を付与した布を修に示す。
透けるように薄く長い布は、おとぎ話に出てくる天女の羽衣のようだ。
「飛ぶ体験は二度目だが、やはり緊張するな。鴇波、よろしく」
「まかせておいて。じゃあ出発ー」
風に乗るようにふわりと布がはためく。
覚悟はしていたけれど、つま先が地面を離れると修の身体に力が入った。
怖いというのではなく、足下がすかすかと頼りなさ過ぎて心許ない。
「大丈夫?」
「ああ。だが空中だとかなり勝手が違うな。どの筋肉を使ったら安定するんだろう」
「うーん、あたしは力は入れてないけど。強いて言うなら姿勢の維持ぐらいかなぁ」
「なるほど……」
自分なりに空中に適応しようとする修を嬉しそうに眺め、羽衣は細心の注意を払って飛行した。
万が一にも修を危険な目にあわせたりしないように、障害物からは距離を取り、風向きにも留意する。
ゆっくりと、ふわふわと。
飛行をしているうちに、修もコツを編み出したらしい。上手くういのはごろもに身体を預けられるようになってくる。
「いい、ろっこんだな」
褒めてくれる言葉も嬉しいけれど、修が楽しそうにしていてくれることが羽衣には何より嬉しかった。
高度を上げるにつれ、視界が開けてゆく。
他の人に目撃されないかと、修はちらりと眼下に目をやった。
地面はもう遠く、地上にいた時は頭上を覆っていた秋色の木々の葉も今はじゅうたんのよう。
(そうかこれが……鴇波の世界か)
視点が変わると世界も変わる。
同じ物でも見る角度が違うだけで、また別の見方が出来る。それを目で見て実感出来るとはなんと素晴らしいことだろうと、修は空をゆくものの視点に思いを馳せた。
しばらく遊覧飛行を楽しんだあと、2人は山小屋へ降りた。
崖の上に小さめの広場があり、その奥に小屋がある。しっかりと足で踏みしめられる場所に降りられて、修がふぅと息をついたとき。
何かが聞こえた。
一度だけでなく、誰かが断続的に叫んでいるような……。
「あ、マリナちゃんだ!」
声の主を聞き分けて、羽衣は身を乗り出した。
マリナ・M・マディソン
は目の前に立ち塞がる崖を見上げた。
この上にある山小屋は、基本空を飛ばなければ到達できない。けれど。
「Take off……JET!」
軽く助走をつけると自己流パルクールで崖を数歩駆け上がる。
もちろんそれだけでは重力にひかれて落下する宿命から逃れられないから、そこにろっこんを重ねる。
「JET! JET! JET!」
マリナが叫ぶたび、肩に、踵に、背中に、スラスターが展開される。
噴射でぐっと加速して進み、逆噴射で姿勢制御しつつ崖の僅かな足場に取りつき、とかなりテクニックを駆使しての登攀だ。
到底登ることなど出来そうにない崖を、ひらりひらりと跳躍し駆け上がる姿は実にアクロバティックで、見惚れてしまうほどに鮮やか。
だが、マリナのJETブースターは本来こういう用途に向いているものではない。崖を登りたい一心で、不向きな箇所を工夫と身体能力で押さえ込んでいるが、かなり綱渡り的要素があるのは否めない。
崖登りに挑戦し始めた頃はかなり悲惨だった。制御を失って落ちたり、他の人の助力にすがってやっとの思いで這い上がったり。生傷なんて当たり前。
なのに練習を続けたのは、やはり空への尽きせぬ憧れがあってのこと。
それを数ヶ月、休みのたびに挑戦し続けた成果の結晶が、この崖登りだ。
今は崖のどこに足場に出来る岩があるか、危険な箇所はどこか、ルートが頭に入っているから独力で登頂が可能となった。
といっても油断は命取り。
大胆に、かつ慎重に踏破する。
「これで……Finishっ!」
マリナは頂上の広場に力強く着地して両手を広げる。
「最短Timeデス!」
それを広場の端ぎりぎりで待っていた羽衣が出迎えた。
「お疲れさま!」
その瞬間を修がデジカメで撮った。
高所に吹く風が2人の髪を靡かせている。向かい合う2人の背景になるのは、ただ空のみ。そんな光景だ。
「良かったら小屋で休んでってー」
「ウイ! ……飛ばずに無理矢理来てるのでキョーシュクデスがっ。オサムも改めてハローデス!」
「マリナはお疲れ。俺も自分で飛んできたわけじゃないが」
「そんなの全然関係ないよー。みんなが来てくれるとすっごく嬉しいんだから」
羽衣は入って入ってと2人を山小屋へと促した。
「これは……手作りなのか?」
よくぞこんな崖の上に建てたものだと修は感心して山小屋の拵えを確かめる。
飾り気はないけれど雨風を防ぐには十分にしっかりとした建物だ。ちゃんとテーブルと椅子もある。
「うんそうだと思うよ。あたしもお父さんから教えてもらっただけだから、どうやって建てたのかは分かんないんだけど……はい、これおしぼり。あと、水出しだけど紅茶いれるね」
持参してきたおしぼりを渡すと、羽衣は荷物の中から水筒を出した。なにしろここには電気もガスも水道もない。手を綺麗にするにも飲み物を飲むにも、必要な物はすべて下から持ってこないといけないのだ。
「温かいお茶なら俺が持ってきた。あとお菓子も」
修はリュックから市販のスイートポテトとお茶入りのポット、紙コップを取りだしてテーブルに置いた。
「Goody! お弁当もあるデスよ」
マリナの登山用のワンショルダーからは、居候先のパン屋名物サーモンサンドを詰めたバスケットが出てくる。踏破の際の勢いで少し形が変わっているけれど、それもご愛敬。
サーモンサンドとスイートポテト、冷たい紅茶と温かいお茶。
「こんな高度で物を食べる機会はなかなかないから貴重な体験だな」
「空の上の遠足みたいデス」
「だねー。遠足よりももっと食べ物がおしゃれだから、空の上のお茶会って感じかも」
何もない、便利でもない山小屋だけど、その中で持つこんな時間はとても贅沢だ。
小屋でお喋りして。時折外に出て景色を眺めて。
「いつもアポなしで来るからみんなとタイミングが合わなかったデスが、今日は2人がいてくれて良かったデスー」
1人で過ごすのも悪くないが、誰かと過ごすのはもっといい。そうマリナが言うと羽衣も大きく頷く。
「みんなで食事をするのって1人で食べるよりずっと美味しく感じるし、ずっと楽しいね。今日は2人一緒で良かった!」
「俺も招いてもらって嬉しかったよ」
きっとこれも忘れたくない思い出の1つになるに違いないと、修はもしかしたら一生知ることがなかったかもしれないこの光景を、感慨深く眺めた。
崖の上。
空を飛ばないと行けない場所にある秘密基地。
けれどそこは閉ざされた場所ではなく、開かれた集合場所なのだった。
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あとがき
担当マスター:
ねこの珠水
ファンレターはマスターページから!
どんな場所を秘密基地にするかによって、その人、がどんな人か思い浮かんできます。
それぞれの秘密基地、それぞれの大切にしたい場所、時間。
楽しく書かせていただきました。
参加してくださった皆様、ステキな秘密基地を教えてくださってありがとうございました。
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担当ゲームマスター
ねこの珠水
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月04日
参加申し込みの期限
2015年02月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年02月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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