【受賞者発表！！】

「お待たせいたしましたー、結果！　はっぴょーーーっ！！」
　湧き上がる拍手を、ハルさん片手をひらひらして応えてから、
「第五回マタタビック演劇フェスティバルも、無事全ての演目の上演が終了！　後は受賞者の発表を残すのみとなりましたー。さー誰がナニ賞に輝くのか、どの演目、作品が最優秀賞に選ばれるのか！　全てはこの方々次第ーっヨロシクお願いしまーす！」
　大仰に手をかざして振ると、壇上へ上がったフジコ先生に、後に続くリッカルド町長、サンマさん。
　マイクを受け取ったフジコ先生、元野良猫座座長は、プロの目は、舞台をどのように見つめていたのでしょうか？
「皆さん、まずはお疲れさま。率直に言うなら、今年は例年以上にレベルが高かった、という印象ね。もちろん、お世辞じゃなくてよ？　舞台の上からあたしたち、観客たちへと伝わってくる、あなたたちの……『熱』！　確かに、受け取ったわ」
　マイクは主催者、興奮気味なリッカルド町長へ。
「今年は参加者数も過去最大規模であっただけに、受賞者の枠も大幅に拡大され、その分選定には苦労もしましたが……いずれ劣らぬ力作揃い！　審査員一同、嬉しい悲鳴を上げることとなりました。本当にありがとうございます！」
「各賞は、個人賞部門、作品賞部門、特別賞部門、そして最優秀賞に分かれてるんで、順に発表していくぜ！　ちなみにどうしても甲乙付けがたくて、複数人が受賞してたりする賞もあるが、そこんところはカンベンしてくれよな。それじゃみんな、心の準備はいいかー！？」
　最後にサンマさんがそう言って片手を突き上げると、うおーっ！　観客席からの反応に満足した様子で、受賞者発表を始めました。
　というわけでまずは、各演目からピックアップされた個人が対象となる、個人賞部門の発表から！



＜個人賞部門＞

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◇◆マタタビック主演男優賞◆◇

●『ＮＫ２-寝子高２年連合-』───音海 なぎささん！！　志波 武道さん！！●「怪人ファントムの表裏を二人で大胆に、繊細に演じ分けたあなたたちが、まずは堂々の受賞よ！　どちらも圧巻の演技、それにとってもセクシーだったわよ。おめでとう！」

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◇◆マタタビック主演女優賞◆◇

●『ＮＫ２-寝子高２年連合-』───エリューシア・セリアンさん！！●

●『トリトン』───花風 冴来さん！！●「主演女優賞にもお二人を選ばせていただきました！　お二人とも、この演劇祭に賭ける熱意が、ある種の凄みとなってにじみ出ていたように感じました。細やかな感情の機微までも表現してみせた演技力に、感服です！」

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◇◆マタタビック助演男優賞◆◇

●『劇団寝子中』───音羽 紫鶴さん！！●「中学生たちのフレッシュな演技、って触れ込みだったが、なんのなんの。みんな大したもんじゃねぇか！　中でも落ち着いた貫禄の演技で、主演のかぐや姫の脇を固めてたお前さんに、この賞を贈らせてもらうぜ！」

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◇◆マタタビック助演女優賞◆◇

●『寝子島高校 演劇部』───西川 夕莉さん！！●「演劇部だけあって、いずれ劣らぬ演技達者が集まっていたという印象よね。その中でも西川さん、声の調子や表情にまで気を配り、ブリキの木こりの感情の変遷を表現していたあなたの演技、素晴らしかったわよ！」

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◇◆マタタビック三毛猫賞◆◇

●『即興☆ねこじま劇団三毛猫座』───橘 明里さん！！　木原 一颯さん！！●「二つの即興劇には主演やら助演やらって区別は無いから、それぞれ二人ずつ選定させてもらったぜ！　即興劇らしく特大の爆弾をぶち込みながら楽しそうに演じてくれた明里ちゃんと、謎の人物として円熟とした空気を醸し出しつつ最終的に話を上手いこと纏めてくれた木原さん、二人に三毛猫賞を贈らせてもらうぜ！」

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◇◆マタタビック化け猫賞◆◇

●『即興☆ねこじま劇団化け猫座』───キュルビス・ラムズイヤーさん！！　天満 七星さん！！●「化け猫座はこの二人だ！　突然の指名だったが、前向きに、それでいて舞台を楽しもうって気持ちが伝わってきたぜ。指名に快く応えてくれたみんなも、ありがとうよ！　これがきっかけで、演劇の楽しさを知ってもらえたら、俺も嬉しいんだぜ！」

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◇◆マタタビック歌唱賞◆◇

●『軽音クラシック』───仲村渠 鳴さん！！　黒依 アリーセさん！！●「今回の演劇祭では素晴らしい歌曲をいくつも耳にすることができましたが、その中でもこちらのお二人に、歌唱賞をお贈りしたいと思います。歌姫たちの対決に胸が熱くなり、カーテンコールでのオリジナル曲にも心を揺さぶられました。お見事でした！」

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◇◆マタタビック演奏賞◆◇

●『軽音クラシック』───篠崎 響也さん！！●「演奏賞も劇団『軽音クラシック』から。あの音楽対決、激しいロックにも負けず劣らず力強いヴァイオリンであたしたちを魅了してくれたあなたに、この賞を贈るわ。おめでとう！」

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◇◆マタタビック作曲賞◆◇

●『映画研究部』───霧生 深雪さん！！●「演劇で使う楽曲を、ありがたいことに、この演劇祭のためにイチから作ってくれたって劇団もいくつかあったみてぇだが、そん中でもお前さんに作曲賞を贈るぜ！　『オルフェウス』の持ってる楽器は琴なんだが、そいつをピアノの生演奏で表現したってのも、ニクイ演出だったよなー」

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　続いては、作品賞部門の発表！
　こちらは演目そのものが受賞の対象となりまして、つまりはそこへ関わった役者や裏方スタッフも含めて、まるっと全員へ贈られる賞なのです。



＜作品賞部門＞

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◇◆マタタビック脚本賞◆◇

●『イーリス』───『マッチ売りと魔法のマッチ』！！●「童話本来の理不尽な終わりや残酷な結末をことごとく覆してゆく、痛快な筋書き！　多くのお話が多様に絡み合っていたところにもまた、楽しませていただきました。胸がすく、とはこのことですね！」

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◇◆マタタビック衣装賞◆◇

●『映画研究部』───『オルフェウス』！！●「衣装にもみんな本当に気を使っていて、演目でも美しい舞台衣装を目にすることができたけど、特に神話の世界を美麗に再現していたあなたたちへ、この賞を贈らせてもらうわ。私も着てみたいくらいよ！」

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◇◆マタタビック美術賞◆◇

●『寝子島高校 演劇部』───『オズの魔法使い』！！●「『オズの魔法使い』には他にも見所が多かったのですが、中でも目を惹いたのはやはり、あのエメラルド・キャッスルの美しい輝き！　大道具と光の演出の合わせ技、素晴らしい妙技でした」

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◇◆マタタビック視覚効果賞◆◇

●『劇団寝子中』───『かぐや姫』！！●

●『チームはごろも』───『四季』！！●「映像モニターやプロジェクションマッピングなんかを見事に使った、ド派手で華麗な演出に贈る賞だ！　この劇場の舞台装置も含めてフルに使い倒した、技術の極みってやつを見せてもらったぜ！」

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◇◆マタタビックアクション賞◆◇

●伊藤 佳奈さん、入江 みつびさん、シダ 美穂戸さん───『ボビナム演舞劇』！！●「もっとも身体を張ったアクションを披露して下さったのは、やはりこの方々でしょう！　ベトナム伝来の驚くべき武術『ボビナム』が、この寝子島でも息づいていくことを、私もお祈りしていますよ」

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◇◆マタタビック音楽賞◆◇

●『軽音クラシック』───『Phantom Thief Rhapsody』！！●「音楽面ではやっぱり、『軽音クラシック』が強かったわね！　歌に演奏のレベルの高さに、勝敗は音楽によって決するという構図の妙、どれをとっても素晴らしかったわ。おめでとう！」

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　続いて、特別賞部門の発表！
　突発的に新設された賞や、各審査員と司会者さんの選ぶ特別賞などがありまして、こちらは個人、または作品、どちらもが受賞の対象となっております。



＜特別賞部門＞

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◇◆マタタビックアドリブ賞◆◇

●『ヴェスタ』───シグレ・ナイトウォーカーさん！！●

●『即興☆ねこじま劇団三毛猫座』───綾辻 綾花さん！！●「舞台の上で粋なアドリブをかましてくれたり、誰もが焦るようなピンチやハプニングへ見事な対応力を発揮した、そんな二人へこの賞を贈るぜ！　ナイスアドリブ、ナイスリカバリー！」

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◇◆マタタビックアイディア賞◆◇

●『寝子島高校ミステリ研究会』───『ミス研はじまりの日』！！●「自伝的エピソードを舞台化するという試みのみならず、ミステリ研究会にふさわしく、ちょっとした推理もの仕立てにするというアイディアが光りました。子猫ちゃんも可愛らしかったですね！」

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◇◆マタタビックワールド賞◆◇

●『リジー・ボーデン』───『チェンジリングの悲劇』！！●「今回上演された演目の中でも、唯一無二の特異な世界観を作り出して、観客を呑み込んでくれたわ。まさにグラン・ギニョル座の再現！　といったところ、お見事だったわよ！」

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◇◆マタタビックアイドル賞◆◇

●『PalKro』───萌木ぱるる（宇井 真珠）さん！！　時岡くろね（鉄 時尾）さん！！●「お前さんがたの心遣いのおかげで、観客たちもお行儀良く観劇してくれてたぜ、ありがとうよ！　駆け出しアイドルとして成長していきながら、これからも寝子島を盛り上げてくれ、頼んだぜ！」

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◇◆マタタビックセクシー賞◆◇

●魂行 凪さん、矢萩 咲さん、ルーシー・R・マクミランさん───『妖怪退治』！！●「露出しすぎだとの意見も交わされましたが、とんでもない！　これぞまさしく美、彼女たちのすばらしき肢体の描く魅力的な曲線こそが美の象徴とも言うべきでありまして古くから芸術の分野でも女性の裸体をモチーフとした多くの傑作が輩出されてきた事実を鑑みればしかるに……（割愛）」

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◇◆マタタビックオリジナリティ賞◆◇

●本条 小萩さん───　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
『スーパーレジェンド伝説ko-ha-gy　外伝　～ko-ha-gyとnya-coの夜想曲（ノクターン）～』！！●「自分を躊躇無く表現できるってのは、これほど心強い武器は無いんだぜ！　他には無いお前さんだけの物語を、これからも描き続けていってくれよな！　それと繰り返しになるが、『san-ma』ってキャラクターを出してくれても、いいんだぜ？」

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◇◆マタタビックリッカルド賞◆◇

●『寝子島高校 演劇部』───桃川 圭花さん！！●「各審査員が個人的に選出する特別賞ですが、私は『演劇部』の桃川さんを推させていただきました。夏の浜辺で聞いたあの決意を実現すべく、こうして頑張っておられる姿を拝見できて、嬉しく思います。これからも応援していますよ！」

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◇◆マタタビックサンマさん賞◆◇

●『即興☆ねこじま劇団化け猫座』───鴻上 彰尋さん！！●「俺賞は、化け猫座に出てくれたお前さんだ！　なんつーか、舞台にかける思い入れみたいなもんが、ひしひしと伝わってきてな。ぜひまたもう一度、お前さんの演技を見せてもらいたいもんだ……そんな風に、俺は思ったぜ！」

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◇◆マタタビックハルさん賞◆◇

●『財前華蓮教団』───財前華蓮教団の皆さん５０名様！！●

（※代理）
「えーっとね、お姉さんも一組選んでチョーダイっていきなり言われちゃって、困っちゃってあははー。でね、もー泣くほど頑張ってたし、この人たちで良いかなーって……年会費５０００円はちょっちキビシーかもだけど、頑張ってねん！　え、自分は入会しないのかって、そりゃあしないわよ？」

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◇◆マタタビック野良猫賞◆◇

●『即興☆ねこじま劇団三毛猫座』───弓弦原 譲さん！！　浅沼 柳司さん！！●「かつてあたしが率いていた野良猫座の名のもとに、あなたたちへ野良猫賞を贈らせていただくわ。もちろん、二人がイイ男だからってわけじゃあないのよ？　それもあるけどね、でも突然指名された即興劇へ全力で取り組んで、舞台に根本となる流れを作っていたのは、間違いなくあなたたち。頑張ったわね、おめでとう！」

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「受賞者の皆さま、Congratulation♪　そして最後はいよいよー、最優秀賞！　『マタタビック最優秀作品賞』の発表でーすっ、フジコセンセ！　お願いしまーーーっす！！」
　最後の発表のため、マイクを預かったのは、フジコ先生。
　ぬうん、と厚い胸板を反らして、
「……『第５回　マタタビック演劇フェスティバル』の、最優秀賞に輝いたのは……！　もっともマタタビックだったのは、この劇よォーーーーーーっ！！」
　最後といったらやっぱりこれ！　というわけで、ドラムロール・スタート！
　だららららららら…………。




















　…………らららららら…………





















　…………らららららら、じゃかじゃんっ！！

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◇◆◇◆◇◆マタタビック最優秀作品賞◆◇◆◇◆◇

●『ＮＫ２-寝子高２年連合-』───『二つのＦ』！！！！●

（代表・舞台監督：宇佐見 望月さん）「舞台へ立つ俳優たちの演技。それを支える裏方スタッフたちの細やかな心遣い。両者のまとまり、絶妙な連携。エンターテインメント性。
　そして彼らのいずれからも伝わってきたのは……熱量！　本気でこの演劇祭に全力を注ぐっていう、その情熱がはっきりと、最もアツく強く伝わってきたのが、あなたたちの『二つのＦ』だったわ。
　文句なしよ、胸を張って誇ってちょうだい！　おめでとう！」

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「最後にひとつだけ、言わせてちょうだい」
　お祝いムードに包まれて、拍手と歓声に沸きかえる場内を制して、フジコさんは神妙なお顔で言いました。
「かつて私も、役者として、劇団を率いてこの舞台へ立っていた……スポットライトを浴びながら、共演者たちと、裏方たちと全員で、全力で作り上げた演劇。それはそれは、素晴らしい時間だったわ」
　懐かしさに浸るように、フジコ先生は目を細めて劇場をぐるりと見渡します。舞台を、緞帳を、天井を、観客席を、その全てを。
「今日出場した劇団のみんなも、きっと、その片鱗を感じ取ることができたのではないかしら。あたしはそう願っているわ、演劇の素晴らしさ、演じる楽しみや、誰かと一緒に作り上げていく楽しみ、それらが舞台の上で形を成していくことの喜びを。身体を使って何かを表現することの美しさを。受賞した人も、惜しくも選からは漏れてしまった人も、あなたたちが少しでもあたしとそんな気持ちを共有してくれたとしたら、これほど嬉しいことは無いわ」
　先生だけではありません。リッカルド町長も、サンマさんだってきっと、そう思っていたはず。そのための、この演劇フェスティバルなのですから！
「今日は、本当にありがとう。出場者にも、観劇してくれたあなたたちにも。あたしから、感謝を述べさせてもらうわ……ああ、今日は本当に、何て良い日なのかしら！」
　イベントの終幕に、ちょっぴりおセンチになったフジコ先生が、ほろりと一滴、こぼした涙をもって、演劇祭は幕を下ろすこととなったのでした。



　次の『第６回　マタタビック演劇フェスティバル』は、来年また巡ってくるはずの、芸術の秋！
「ってなところでこれにて大団円！　皆さん、本当にお疲れさまでした！　再びこのSTARHILL Theaterにて、華やかな演劇の祭典が催されるその時まで。See you again♪」