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【演目その11 『Phantom Thief Rhapsody』(4)】
アリーセが、ふう、と深く息をついたのを、鳴は見逃してはいませんでした。
次のシーンは二人にとって、歌姫たちにとって、最大の見せ場です。緊張も高まろうというもの……! 鳴だってもちろん、胸がどきどきと高鳴るのを、抑え切れないでいるのです。
鳴は思わず、ぽんっとアリーセの肩に手を乗せて、
「……いよいよ、だね! 頑張ろうね、アリーセ!」
自分にも言い聞かせるような、鳴の言葉でしたけれど。もちろんアリーセにだって、緊張を解してくれる効果はあったでしょう。
彼女もうなずいて、
「ええ、仲村渠さん……ありがとう。歌いましょう、一緒に」
やがて、主催者キサメこと、蓮太朗の声が舞台から届きます。
「皆様、お待たせいたしました!」
再び姿を現した主催者へ、思い思いに歓談に興じていた客たちの視線が、待ちに待ったとばかり一斉に注がれる。もちろんのこと、彼は場を進行する司会役に過ぎない。客たちが今宵のパーティーへと集ったのはひとえに、後ろに控える彼女らの響かせる歌声を耳にするためであることは、今更述べるまでも無いだろう。
場内の盛り上がりを眺め、満足げな表情を浮かべたキサメは続け、
「ここにデビューを果たす二人の歌姫の美声をお目にかけるまえに、一つ、提案がございます!」
そして、指し示した。透明なガラスケースへと収められた、精緻な美の極みたる、あの宝石を。
人々の口からは、どよめきが湧き上がる。
「私の持つこの奇跡の宝石、『天秤座のエコーライト』を、どちらの歌姫が身につけるにふさわしいのか! これより会場のお客様に、決めていただきたいのです!」
キサメの用意した余興とはつまり、二人の歌姫に互いの歌を競わせ、どちらの首にこの美しい宝石を提げるかを、客たちの声により決定するという出し物であった。
場内は当然のこと盛り上がり、二人の歌姫も承知の上なのであろう、宝石のケースを挟むように立つと、客たちをひとつぐるりと見回した。言わずもがな、キサメの主催者としての手腕は巧みであり、今や人々の視線は宝石と、歌姫たちへと余さず集っている。
いや。もちろん君たちは忘れてはいないだろう、かの怪盗たちの予告と、それを阻むべく動く者たちのことを! 場内にはユヅキとアマデラ、それに探偵シノザキとユメミヤが張り込み、いずれも油断無くあたりを警戒していた。
彼らは、やってくるのだろうか?
一つの宝石を巡る、そんな思惑など知るべくも無い人々は、ただひたすらに、熱狂の中にいる……しかし当の歌姫たちにとっては、それらはあまり意味を成さない事柄ではあり、また別に思うところがあった。
(シノザキさんも、きっと見ていてくれる……ごめんね、ナルさん。私、負けられないわ)
探偵シノザキは事件に熱心なあまり、視野狭窄しがちな男ではあった。しかし今、彼はアリーセへと、その視線を真っ直ぐに寄せている。目と目が合い、うなずいて、彼は瞳で語ってくれているように、アリーセには確かに見て取れた。
(お前ならできる。頑張れ!)
と。
アリーセは、傍らのナルを見る。歌姫たちは互いにライバルでありながら、かけがえの無い友人同士でもあった。どちらが宝石を身に付けることになろうとも、ただ己の全力を込め……歌い上げるのみ!
だが、しかしである。アリーセはそんな友人の瞳に、ただならぬ決意を見出すこととなった。
ナルは件の怪盗たちの、幼馴染なのである。
(……あの、宝石……! 私はあれを知っている、見たことがあるわ。ナハト、リヒト……!)
かつて共に幼き日を過ごした中で、彼女はあの宝石、『天秤座のエコーライト』を確かに、目にしたことがあったのだ。
(あれは二人のご両親の、形見の品! 私があれを手にして、二人に手渡すことができれば……!)
ナルもまた、傍らのアリーセを見た。視線が絡み合う……そんな行いは、友人を裏切ることになるだろうか? 歌へ真摯なアリーセの想いへと、水を差すことになってしまうだろうか?
「……歌いましょう? ナルさん。悔いの残らないように……思い切り。私たちの、全てを込めて……」
「アリーセ……ええ。そうね、歌いましょう……!」
事情は知らぬまでも。そうして笑った歌姫たちは、きっと、通じ合っていたのだろう。
まず。口を開いたのは、黒髪の歌姫。アリーセでした。
彼女は観客席をひとつ見回して、すう、と息を吸い込むと。歌い始めます。
たとえ役柄を除いたとしても、歌はアリーセにとって、欠かすことのできないもの。自分の可能性を賭けるに足る、夢です。だからこそ彼女は常に練習に熱心で、前向きで、今回の演劇についてだって、全力で打ち込んできました。更には作詞家としての才も発揮して、実に今回の舞台のために用意された歌の全ては、彼女の作詞によるものです。
いざ本番、見せ場の時を迎えて。アリーセの響かせる歌声は、その集大成とも呼べるものでした。
どこまでも透き通る、ハイトーン・ヴォイス……! 込めた感情は、歌姫アリーセのシノザキへの想いでありながら、本来の彼女自身の歌への真摯さ、叶えたい夢への望みと決意でもあったのでしょう。胸の上に両手を沿え、穏やかな面持ちでしっとりと歌い上げる彼女の声へ、観客たちは魅入られてしまったように、身じろぎもせず、うっとりとして聞き惚れました。
アリーセのパートが一区切りを付くと、続いては鳴のパートです。
アリーセを静とするなら、鳴は動。沖縄民謡で鍛えた彼女の歌は、会場の外にまで響いていきそうなほどに伸びやかで、朗らか!
彼女は普段から明るく見えて、ふとした瞬間にはっとして、意識して冷静さを保とうとする一面がありました。他者や物事へのめり込み過ぎないように、と自分をセーブするのは、様々な過去の経験があってのことです。
でも、やっぱり。鳴にだって、歌は自身を表すための、大切なファクターであるのです。
彼女自身、この舞台を一緒に作り上げてきた、仲間たちへの想いを込めて。歌姫ナルとしてだって、幼馴染の二人へも届かせようと、高らかに。今は後先考えず、いつもの枷も取り去って、ひたすらに。全力で!
みんなと一緒に、この舞台を、楽しみたい!
怪盗の歩む闇を照らし彩る、花のように。ナルと、そして鳴の決意が場内を震わせて、観客席までも呑みこんで行くように、響き渡りました。
互いのパートが終わると、二人は声を合わせて。想いを揃えて。共に、歌います。
今、この瞬間。二人は紛れも無くこのスターヒル・シアターの歌姫であり、存分に歌うことを堪能し、自然と笑顔がこぼれて。観客たちの全てを、魅了していきます……!
二人のどこに優劣があったかなど、観客の誰にも、そう諸君らにも、分かりはしなかったのでは無いだろうか? もう一度歌ったなら、結果は違っていたかも知れない。それほどに双方の歌声は、いずれ劣らぬ素晴らしさであったのだ。
しかしどちらかをと決を採らねばならない。観客たちの声は大いに迷い振れた末、僅差により勝者と告げられたのは、歌姫ナルのほうであった。
「おめでとう、ナルさん……悔しいけれど、でも、私も誇らしいわ」
「うん……ありがとう、アリーセ……」
心からの友人の賛辞に、ちくりと胸は痛んだかも知れない。しかしナルはとうに、心を決めていた。
キサメによって胸にかけられたその宝石を、彼ら二人へと捧げることを。
怪盗たちへと、本来あるべき場所へと、それを還すことを。
まさに、その時である。照明が、ふ、と消え失せたのは。
「な、何だ? 誰か、早く明かりをつけたまえ!」
キサメの叫びに答えたのは、彼の部下たちでは無かった。
それは、美しい笛の音であった。どこからともなく届く音色を合図に、宝石は目覚めた……還るべき持ち主の手を呼ぶかのように、輝いたのだ……!
見よ! 青き星空の中に抱かれた、まばゆくオレンジに瞬く、天秤座の星の光を!
「特殊な音階に反応し、自ら輝きを放つ『天秤座のエコーライト』……間違いない」
「……確かに。いただくよ」
そして現れた怪盗たち、暗闇から伸びる手が自身の首元へと届くのをはっきりと目にしていながら。ナルは、それを遮ろうとはしなかった。
代わりに彼女は、笑ったのだ。
亮悟の照明のタイミングは、完璧でした。
(何度も練習してきたんだ、やれる……!)
鳴の首にネックレスがかけられた直後に、亮悟は全ての明かりをシャットダウン!
次いで空の流した笛の音に合わせて、直治がスイッチを入れれば……アリーセが宝石の中に仕込んでおいた電飾が、きらびやかに輝くのです。
暗闇の中へ灯る、天秤座のライン。美しい光!
「……綺麗だな」
「ああ……」
亮悟と直治は思わず、ぽつりとそうつぶやきました。
やがて優とシルヴィアの声と同時に、亮悟は再び照明を、スイッチオン!
ぱ、と明るくなった舞台へ一瞬にして、黒と白、二人の怪盗が現れておりました。
すかさず、煽が声を張り上げ、叫びます。
「怪盗よ! 怪盗が現れたわ!」
観客のひとりが、混乱のさなかに叫ぶ。
「黒の怪盗シュヴァルツ、白の怪盗ヴァイス。予告の通り、参上した!」
「……宝は、この手の中に……」
「確かに、宝石は頂いた。それでは御機嫌よう! 生真面目な番犬諸君!」
「またね」
どこへ潜り込んでいたものか、探偵や警察たちには尻尾の先をも掴ませず、怪盗はまんまと宝石を手にして、逃走へと転じた……去り際に歌姫へ、ぱちり、片目をつぶって見せてから。
微笑んだナルには、それで十分であったのだ。彼女は、自らの役割を果たしたのだから。
「せ、先生、捕まえないとあ痛ー!?」
真っ先に動き出したのはシノザキの助手ユメミヤであったが、彼女は怪盗を追おうと飛び出したところで柱に頭を強打し、硬質な音を戸惑う客たちのざわめきの中へと響かせた。
「思ったとおりだ。逃がすか!」
呆気に取られた人々を置き去りに、鋭く駆け出した探偵シノザキの顔は、不敵な笑みに彩られていた。彼は、この成り行きを予測していたのだ。
先回りすべく一人別路を辿るシノザキを尻目に、飛び出した刑事ユヅキとアマデラは怪盗の潜った扉を抜け、駆ける。置いてきぼりにあったユメミヤも、仕方無しに彼らへと加わり、怪盗たちを追う。
「今度こそ、絶対に逃がさない……!」
「あれっ? ユヅキ先輩、あれは……!?」
と。その時であった。
三人の行く手を阻むように、彼が、立ち塞がったのは。
「ユヅキ刑事。一つ、お伺いしたいことがあるのです」
それは、レンであった。刑事達にとって、彼はパーティーへ音楽という彩りを添える役を担うだけの、単なるヴィオラ弾きでしかない。しかし彼は道を塞ぎ、ユヅキへと問いかける。
「奴らが逃げる。そこを退いてもらおうか?」
「私は知ってしまったのです。あの宝石は、彼ら怪盗たちにとっては何にも代えがたきもの。両親の残した、形見なのです」
「……何だと?」
ユヅキは訝しげに眉を寄せる。怪盗の盗みにそのような理由があるなどと、彼も、それにアマデラもユメミヤも、思ってもみないことだったろう。
「彼らが盗み出す宝石はいずれも、怪盗たちの下から、不当な手段によって奪い去られたものだと言うのです。幼くして両親を亡くした彼らに、その遺産を巻き上げようと思い立った悪辣な者の手を阻む力は、まだ無かったのでしょう……だからこそ今、彼らはそれを自らの手で取り戻そうとしているのです」
レンは穏やかな微笑を浮かべ、諭すようにユヅキへ語る。
「刑事さん。合法と倫理は、必ずしも一致しないでしょう……私は彼らの理由を知ってしまい、そしてそれが至極正しく、真っ当なものであると思えるのです。彼らの理由は、彼らの良心に基づいている。お考えを、刑事さん。ユヅキさん……善なる良心に反する憲法や法律があるとするならば、盲目的にその法へと従うことは、悪に加担することにはなりませんか?」
怪盗たちは、自身の中に宿る良心に従っているに過ぎない。元より宝石たちは、彼らのものだったのだ。それを縁も無い簒奪者が正当でない手段で巻き上げたことに、時を経て抗おうと彼らが奮起したとて、誰が彼らを責められようか?
しかし、どのような経緯を経たとして、天秤の輝きを宿すあの宝石の、現在の正当なる所有者は、キサメである。彼とて後ろ暗い手段でそれを手に入れたわけでは無く、何らかの要因により市場へ出たところを、あくまで正しい手段で買い入れたに過ぎない。
そしてひとたび法律というものに照らし合わせるならば、怪盗たちの行いはまごう事なき、犯罪である。
レンはこれを良しとしない、と言っているのだ。
「不当な法で奪われた、親の形見。思い出の品……そういったものを盗み返すことは、善い行いではないでしょうか?」
例えば。
諸君らであるならば、この問いに、いずれの答えを見出すであろうか?
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墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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