ねこでんのある風景｜リアクション

ねこでんのある風景

＝＝放課後　星が丘駅＝＝

「わーい、新聞部でのお出かけ久しぶりなのだ～♪修ちゃんラッセルちゃん護ちゃん今日は宜しくなのだ♪」
　後木真央が元気に言います。
　放課後、秋の旅行特集号の取材を兼ねて小旅行するため、新聞部４人で星が丘駅にやってきました
「よろしくお願いします。電車あんまり乗らないから楽しみだなー」
　小柄で気の弱そうな遠矢護が言います。
「よろしく！　楽しさ満載記事つくりてぇな」
　金髪三つ編みが目立つ桜井ラッセルが明るくウィンクします。
「こちらこそよろしく。まず写真は欠かせないよな、皆並んでくれ」
　クールな表情でカメラの準備をしながら、部長の八神修は真央の荷物が気になっていました。
　真央はお洒落ジャージ上下に陸上部Ｔシャツ、いつもの赤猫リュックといういでたち。
　それはいいのですが、手に何かがいっぱい入った大きな手提げを持っているのです。
（もしかして、アレなのか？）　

「真央ちゃんは護ちゃんの虹も、お友達と描いた寝子島発フンドシスト行きも両方乗ってみたいのだ♪特にフンドシストはフンドシ啓発にピッタリだと思うのだ～♪」
「後木さんと僕のラッピング電車がちょうど見られるといいなあ……あっあれ！」
　自分がデザインした電車を見つけた護がこれ幸いと話題を変えました。
「電車はあんま乗る機会ねーけど、へええ。綺麗にラッピングしたもんだな！　これ遠矢のデザインしたやつだろ。圧巻だなーいいなー」
　ラッセルが電車に駆け寄りました。普段は自転車や、カナリアに変身して移動することが多いのです。
「前で写真撮ってもらってもいいですか」
　照れながら言う護に修は笑って頷きます。
「遠矢はイラスト上手いなあ。俺も真央も出品参加してるから、新聞部の参加率凄いな。制作の思いや方法を聞かせてくれないか」
　三脚を使用し、護のデザインしたねこでんをバックに４人は写真に納まりました。
「うまいなんてそんな……寝子島と言ったらやっぱりサンマさんと猫さんかなー、と思ったんです。サンマさんは前にマスコットを作ったとき一生懸命描く練習をしたから、その時のデータを使いました」
「すごいのだ、いったい全部で何匹いるのだ？」
「あ、青い目のサンマさんが１匹だけいるのですよー。分かりにくいかもですが……あのサーフィンしてるサンマさんです。サンマさんの数は……僕も数えてなかったりして」
「他にも走行してっか？　よし、走行中や上空からの写真はまかせろ」
　ラッセルがきょろきょろとあたりを見回します。
「まだ発車まで時間があるし、此処も見てほしいな」
　修は駆動部分に近づき説明を始めます。
「そうそう、寝子電の車両番号は何かな」
「車両番号って何なのだ？」
「他の車両との区別のため、管理上の必要から付されるものだ。キハとかクモハとかのアレだよ」
「へえー、さすが八神はよく知ってるな～」
　感心するラッセル、そして真央。
「すごいのだ、修ちゃんは鉄ちゃんだったのだ♪」
「……って鉄ちゃんじゃないから」
　無邪気な真央のコメントに冷や汗を浮かべる修でした。