テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。｜リアクション

テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。

「いててて……」
　頭をさすって、ぶつけた部分を確認する少女。
　彼女の名は恵御納夏朝――ではなく、転んだ衝撃で顕在化した別人格の『夏夜』が呟いた。
「これで何回目だ？　いい加減、夏朝の脳の損傷が心配だよ。中間テストも近いのに……」
　自分の表人格の心配をしていると、テオの声が頭の中に響いてきた。
　咄嗟に夏夜は周囲を内心警戒し見回す。
　テオの声を注意深く耳をすませると、状況を把握した。
（一般人、多数……。隔離はされていない、か）
　そこまでの変異ではないようだが、先程からやかましく聴こえてくるチャーハンという単語が夏夜は気になって仕方がない。
「怪しい……。少し調べてみよう」
　夏夜は人目を気にしながら女子トイレの個室へ駆け込んだ。
「ここならカメラに狙われることはない」
　早速、夏朝のスマホ『Nyaphone』で「寝子島　チャーハン」を検索。
　……確かに、数時間前からチャーハンに関する発言やトピックが乱立していた。
「絞り込み検索で、『シーサイド』も加えるか？」
　夏夜が絞り込み検索を行うと、一件の中華飯店の店の名前が浮かんできた。
（『日本海』……？　シーサイドタウンの中華料理店……、チャーハン絡みの風評被害？）
　ますます怪しく感じた夏夜は、更に検索して店主のブログを発見した。
（写真撮影が趣味のおっさん？　……ますます怪しいな）
　情報はある程度揃った、と感じた夏夜は、オッサン攻略のために物資調達を行うべく、トイレの個室から飛び出していった。