テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。｜リアクション

テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。

【ネコジマ・チャーハン・ビッグウェイヴ】

　とある10月中旬のテスト準備期間、下校時間の最中にその騒動は起きた。
　寝子島の中高生を中心に、唐突なチャーハンへの欲求が急激に高まったのだ。
「……周りが炒飯炒飯うるせぇ」
　如月庚は道行く同年代の「チャーハン食べたい」に首を傾げた。
「どうやら皆、炒飯に飢えているらしい……。つーかなんで炒飯限定なんだ……？　そんな気分になる時もあるだろうが……それにしたって多すぎやしねぇか？」
　疑問を思わず口にした如月の頭の中に、テオの言葉が届いた。
　そして如月は理解した。
「また厄介事か……、しかもメシ絡みの」
　彼の表情が一気に引き締まった。
「さて……と、テストも近いがそんな事より炒飯だ……もとい……炒飯事変の調査だ……。一応美食クラブ会員だしな……メシ絡みとなっちゃ捨ておけねぇ……」
　如月は「やれやれだ」と呟きながら、事件解決への取っ掛りを掴むための方法を模索し始めた。
（炒飯に身近なヤツといえばクラスメイトの畑中だ。まずはあいつに当たってみよう……）
　畑中華菜子はラーメン店『猫島軒』の一人娘で如月の同級生である。
　ラーメン店ならばチャーハンも馴染み深いと考えたからだ。
（次にその友人である薄野も、何か知ってるかもしれねぇ……。あと何となくだが……シーサイドタウンに行ってみるか、寝子高から近いしな）
　薄野五月は蕎麦屋『すすきの』の長女でこれまた如月の同級生である。
　如月は周囲で溢れる「チャーハン」という単語の海の中をかき分けながら歩を進めていく。
「どいつもこいつも炒飯炒飯……、炒飯がゲシュタルト崩壊しそうだ」
　あまりのチャーハン欲求の過熱ぶりに眉をひそめながら、彼は畑中に連絡を取るべくスマホをタップした。

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