テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。｜リアクション

テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。

　普段、薄野五月は蕎麦屋『すすきの』の手伝いをするため、下校は気持ち早めを心掛けている。
　しかし、テスト期間中は学業優先という事で、店の手伝いはお休みだ。
「ということで、いつもより下校の時間が緩やかですね」
　ひとり呟きながら帰路に着く薄野。
　だが、そこらじゅうに交わされる『チャーハン』の単語に、薄野はぼんやり考えた。
「何故か皆様がチャーハン、チャーハンと言い出しておりますが今日はチャーハン記念日なのでしょうか？」
　勿論、そんな記念日など存在しないのだが、あまりのチャーハンの人気ぶりに彼女は１つの結論に至った。
「何故、皆様がチャーハンを求め始めたのかは分かりませんが、きっと今のブームはチャーハンなのでしょう。……ならば、私もそのブームに乗らねばなりますまい。蕎麦屋だってチャーハンに便乗です」
　そうだ、蕎麦屋だってチャーハンを出してもいいじゃないか。
　むしろ融合して新たなステージを切り開くべきだ。

＼蕎麦飯チャーハン如何ですか／

　薄野の頭の中に新メニュー案が爆誕した。
　ちなみに、蕎麦飯チャーハンは、大抵だと焼きそばの麺を指すことが多いのだが、細かいことは気にするなの精神である。
　薄野は更に考える。
　ラーメンのセットでよく見かける半チャーハンなるもの。
　同じ麺類の蕎麦で、同様のセットメニューが実現するのではないか？

＼半チャーハンと一緒に蕎麦もお召し上がり下さい／

　再び薄野の脳内に新メニュー案が浮かんできた。
　サイドメニューに半チャーハン。イケる。
「帰ったら祖父に提案してみましょう。ちなみに私は猫島軒のチャーハンが一番好きです」
　自分の好みをしっかり述べたあと、テオの声が薄野の頭の中に届いた。
「さて、ちょうどテオさんからの指令も飛んで来た訳ですし、このチャーハン事件を調べに行きましょうか」
　と、ここで如月から連絡が入る。
『……よう薄野、テオの声は聞いたか？』
「はいですー、聞きましたよー。ふっふ、もしかしなくても、如月君もチャーハン事件を調べるのですかー？」
『ああ、そのつもりだ……。それと畑中がチャーハンにやられた』
「なんですと？」
　薄野はおおっと受話器越しに眉を僅かに動かした。
『あいつは日本海へ行くと言っていた……。心当たりないか、薄野？』
「うーん、残念ですが心当たり無いですねー。テオさんはカメラを構えたオッサンが犯人と言っていましたから、すこし聞き込みしようと思いますー」
『……そうか。俺もシーサイドタウンで聞き込みしようと思ってる。お互い、何か分かったら情報交換しようぜ』
「了解ですよー。ふっふ、私はその日本海というのが怪しいと思うのですよー」
　薄野と如月はここで手を組むことになり、２人で調査に当たることになった。