テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。｜リアクション

テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。

　桜庭円はテオの「ネギ抜きチャーハン寄越せよ」の最後の言葉に黙っていられなかった。
「テ、テオー！　チャ、チャーハン！？　だ、駄目だよ塩分高い、健康に悪いよ」
　猫を飼う者として、そこは譲れないポイントである。
　部活はテストでお休みだが、桜庭はボクシング部の自主連として自宅周辺でのロードワークに励んでいた。
　勿論、愛猫のにゃーくんも一緒だ。
　しかし、神魂事件となれば話は別。
「じゃあ、真面目に事件の解決に動こう！　にゃーくんお留守番できる？」
　にゃー、とひと鳴きして返事をするにゃーくん。
　桜庭は一旦帰宅したあと、にゃーくんを預けて早速、行動開始。
「ねこったーも変な感じ……」
　タイムラインはチャーハンという言葉で埋め尽くされていた。
「テオはカメラって言ってたし、ろっこんの媒介はカメラでいいと思う。あとはシーサイドタウンで聞き込みかな？」
　ロードワークがてら、桜庭は旧市街の自宅からシーサイドタウンを目指し始めた。
　すると、ちょうどそのその途中で、御剣刀と橘舞が仲良く連れ添って歩いているのを見ていた。
　桜庭は素早く御剣の背後に忍び寄り、彼の膝の裏を押してかっくんとさせた。
「うおっ、びっくりした！」
「やっほー、刀くーん。まだまだ鍛錬足りないねー？」
「仕方がないだろ桜庭、俺は腹が減ってボンヤリしていたんだ」
　相棒のイタズラには慣れっこなのか、御剣は冷静にツッコミを入れた。
「舞ちゃんもこんにちわ！　今日はどうしたの？」
　隣にいた舞にも桜庭は挨拶した。
　挨拶はとても重要だ。
　舞は微笑みながら挨拶を返しながらお辞儀をした。
「まぁ、円さん、ごきげんよう」
　頭に『超』が付くほどのお嬢様である舞の立ち振る舞いは、間違いなく上流階級のそれであった。
「私たち、これからチャーハンを食べに行くのですよ。円さんもいかがかしら？」
「えっ？　チャーハン！？」
　桜庭は早速チャーハン被害者に遭遇したことを幸運に思えた。
　だが、それが自分の身近の者である事実に悔しさを覚える。
「ねぇねぇ、何処あたりでチャーハン食べたくなったか教えてよ」
「えっと……どこでしたでしょうか、御剣さん？」
　桜庭の質問に小首をかしげて思い出そうとする舞だが、なかなかうまくいかない。
　代わりに御剣が質問に答えた。
「確か……」