秋風ボートレース！｜リアクション

秋風ボートレース！

　甲高い音と閃光。
　ハンガーが青白い光に照らされた。
　八神修の秀麗な顔が、機械油に汚れて映える。
　修のボート改造はかなり荒々しい。
　こびりついた錆は容赦なく弾き飛ばす。
　歪んだスクリューをハンマーで修正、キャブレターを上馬力のものに交換。これでは駆動力に不安が残るので、シアーピンも特別性に交換。　トランスミッション系を組み替えて、効率よくガソリンを行き渡らせるため注油口の口径を広げる。
　強引極まりない、軽自動車にスポーツカーのエンジンを載せるような荒業だ。
　並みのメカニックなら恐れをなすその改造を、修は練達の外科医のように、粛々と行っていく。
　仮説、そして検証。少しでも不安なところは修正。
　修は、数日前の海を思い出していた。

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