【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！｜リアクション

【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！

　そして放課後。
　後木と桜崎の後ろに付いてきた響タルトが元気よく八神の前へ飛び出してきた。
「真央ちゃんと巴さんから話は聞いたよ！　サガミ大佐、よろしくね！」
「待て、まだそのネタを引っ張るのか！？」
　以前から人気ロボアニメの希望戦士ニャンダムに出てくる登場人物にそっくりだと言われ続けていた八神。
　響はそれに気付いて以来、時折八神をキャラ名で呼ぶのだった。
「引っ張るもなにも……仮装マラソンの時、ノリノリで軍服コスプレしてたって噂を僕は聞いたけど、それって……」
「よし、作戦会議を始める！」
　八神、危うく黒歴史を掘り起こされそうになった。
「……ほう」
　それをみて桜崎が「閃いた」と悪い顔つきに。
「……巴さん、あまりからかってはいけませんよ」
　察した森が牽制するまでが様式美といえよう。
「真央ちゃん頑張るのだ作戦会議楽しみなのだ♪」
　やる気まんまんの後木。
　だが、このあと、彼女の思考回路がショートする事態が起きてしまう。

「……だから、『左』は前進、『右』は後退だ。真央、もう一回だ」
「ま、待つのだ修ちゃん……！　真央ちゃん脳みそ１つしかないのだクアッドコアじゃないのだ～！」
　八神の符丁――つまり暗号の説明に後木の理解力が既に追い付いていない。
　イラストも加えて説明するが、なかなか指示通りに動くことが出来なかった。
　これには桜崎、溜息を吐いて呆れ返っていた。
「真央がアホなのは最初から知ってたが、これはちょっと難儀じゃないかい？」
　というか脳みそ４つある人間はいやしないけどね、と思わず彼女は苦笑い。
「真央さん、ゆっくり１つ１つ覚えていきましょう」
　森も後木に非常に協力的で、どうにか覚えやすいように工夫できないか思案する。
「このままじゃな嫌なのだ真央ちゃん足引っ張りたくないのだ～！」
　涙ぐむ後木。そんな彼女に響から提案が。
「サガミ大……じゃなかった、八神くん、真央ちゃんの好きなものを使って符丁を作れないかな？　……例えば、猫とか？」
　この提案に八神と後木の目の色が変わった。
「「その発想はなかった！」」
　猫好きの提案に猫好きが乗っかった瞬間である。
「なんにせよ、うまくいくならあたしは何でもアリさね」
　桜崎は腕を組んで頷いた。
「私も賛成です。それと、今回の騎馬戦、ルールに穴があると思うのです。例えば……」
　森は既成概念にとらわれず、自由な発想を生み出すべくメンバーとブレインストーミングを開始する。
　すると現状のルールでは触れられていない行動がいくつも浮き彫りになったのだ。
「……これはひょっとしたらイケるかも？」
　響が思わずワクワクしてきた。
「これは本当に奥の手、だな」
　八神も目から鱗と言わんばかりに感心した。
「蓮ちゃん天才なのだ発想の転換なのだ！」
「……蓮、あたしはあんたを見る目が変わったよ」
　後木と桜崎も感嘆の言葉を漏らした。
　こうして思考と実技の作戦会議と特訓は、本番前日まで毎日行われることになった。

　――そして、いよいよ本番！

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