和装パーティへようこそ！｜リアクション

和装パーティへようこそ！

煌びやか、という表現がぴったりな２人組が会場内に姿を現した。
上品な青地に藤柄という着物に金髪が綺麗に映えていた。うなじを魅せるように
かんざしでまとめ上げた丑都渡紗姫と、オフホワイトに唐獅子牡丹という
凛としながらも自身の可愛らしさが出ている添木牡丹の２人だ。

「けっこーいっぱいあんのね。びっくり」
「そうですねぇ。でも紗姫さんが一番似合ってますよぉ？」
「あはは、ありがと」

そう言ってはいるが牡丹の着物姿も相当似合っていた。普段よりも挙動が抑えられ、
立ち振る舞いにも目を見張るものがある。
着付けの作業を手伝った紗姫も、牡丹の普段との違いに内心感嘆していた。

「あれ、あそこにいるの屋敷野じゃん」

紗姫の目線の先には着物を抱えてうろうろしている屋敷野梢の姿があった。

「よっすー屋敷野。あんたなにうろうろしてんの？」
「ひぃっ！」

背後からの一声に喉から声が漏れる梢。
あわてて振り向き、声をかけてきたのが紗姫だとわかりほっと息をついた。

「う、丑都渡先輩、こ、こんにちは」

全く知らない人でなかっただけ安心したが、普段ギャルな姿を目にしているためか若干目が泳ぐ梢。

「着付けすんの？手伝おっか？」

いきなりの申し出に返答に戸惑う。自分で着付けはできないし、全く知らない人には頼みづらい。
かといって紗姫ともすごく仲がいいわけでもないし……、と考えているうちに
紗姫に手を引かれて、着替えスペースに連れてこられる。
着付け用の小物を借りに紗姫が席を外したところで、梢と牡丹の間に沈黙が流れた。

梢は沈黙を破ろうと口を開きかけるが、牡丹の視線がしっかりと自分の方を向いているのを確認しては口ごもるを繰り返す。
先に言葉を発したのは牡丹の方だった。

「……屋敷野さんですよねー？」
「は、はい！」
「ウフフ、私は添木牡丹と申しますぅ。よろしくお願いしますね？」
「添木先輩……、はい！屋敷野梢です。よろしくお願いしまーす！」

２人の空気が若干和らいだところで紗姫が戻ってくる。
梢の選んだ着物は薄い紫に花籠と蝶が描かれたもの。併せて、背中の太鼓に大輪の菊が咲くように
紗姫によっててきぱきと着つけられた。
最後に牡丹が髪を結い蝶のかんざしを挿して完成。

「すごいですー！お２人ともありがとうございますー！」

姿見の前でくるくる回りながら梢は感謝の意を述べた。

「いいって、別に。慣れてるし」
「そうですよぉ。フフ、よくお似合いですよ、屋敷野さん」
「ありがとうございます！」

梢の姿を見て満足げな２人。

「よかったらお茶も点てよっか。屋敷野、やってみる？」
「いいですかー？少し触ったことはあるんですけどほとんど覚えてなくて」
「いいよ、教えたげる」
「ウフフ、紗姫さんの淹れてくださるお茶、楽しみですぅ。羊羹もありますから一緒に食べましょうねぇ」

そう言って歩きだした３人の前に金髪碧眼の男子が立ちはだかる。