バトル～ＶＳ暗黒魔帝リッカルド～｜リアクション

バトル～ＶＳ暗黒魔帝リッカルド～

　暗黒騎士の数は、あと七体。
　その内の五体と御剣刀、来栖棗、屑利執（＋沼田氏）、尾鎌蛇那伊、恵御納夏朝が対峙し――残る二体と戦っていた八神修がそこに合流する。肩で息をする。
「自分の……体力のこと、忘れてた……」
　致命打以外ほぼ再生してくる敵は体力も無尽蔵だ。むしろ二体相手によく凌いだといったところだろう。
「とにかくこれで、七対七ね」
　蛇那伊の言葉に沼田さんがぎょっとするが、そもそも執は自身を頭数に入れてもいない。数が増えて不利になったのはもれいびたちの方だ。棗が舌打ちする。
「畜生、雑魚のくせにきりがねえな。根こそぎにすんならこっちも組んだ方がいいか」
　共闘はガラではないが、背に腹は代えられない。夏朝も頷き、剣や身体に新たなシールを貼った。
「そうだね。まとめてケリをつけたいけど」
「なら、囮作戦だな」
　執が言った。彼の口調に沼田さんは嫌な予感を覚える。
「あの屑利くん、何の話を……」
「こういうことです」
　言うなり執が指を鳴らす。直後、沼田氏の身体が炎上を始めた。
「必殺・沼田さんファイヤー」
「ぎゃああああああああ！？」
　自然発火現象に悲鳴を上げ、走りだす沼田さん。仕留める好機と、騎士たちがそこに群がった。
「さあ、沼田さんが体を張って集めたところを一網打尽に」
「面白い方法だね」
　夏朝が薄く笑い、沼田さんを狙う騎士たちにねこシールを投じる。
「いや、おい……」
　ツッコミかけた棗だが、見殺しにするのも寝覚めが悪いと、ヨーヨーを纏う電撃の出力を最大限にして、放つ。同時に夏朝がシールを爆発させた。
　爆風が沼田氏とその火を吹き飛ばす。衝撃で動けなくなった騎士たちへと、棗のヨーヨーが雷撃を生み出しつつ襲った。
　感電した騎士たちがその身を震わせ、閃光が迸る。四体の騎士が破壊され倒れる中、夏朝は蛇腹剣を手に駆けた。振るった刃は、先ほど彼女を切りつけた鎧騎士の剣とかみ合っている。
「さっき斬りつけてくれた御返し、してあげるよ」
　邪笑する夏朝に騎士が斬りつけた時には、彼女の身体は軽やかに宙を舞っている。
「どこを見てるの？」
　ろっこんにより体を軽くした夏朝が軽業師のような動きを見せ、着地。騎士の死角から放った刃が鎧に巻きつく。
「じゃあね」
　短い言葉とともに剣を引いた彼女の前で、騎士はいくつにも分断されて砕け散った。
　あと、二体。
　刀と蛇那伊が間をおかず迫った。
「ねえ刀ちゃん」
「なんだ尾鎌」
「イイ筋肉してるわね」
「！？」
　思わず蛇那伊を見た刀の剣が騎士剣を弾き、蛇那伊もまたウィンクを返しながら剣の腹を拳でいなす。
　その程度で凌げる相手ではないが、今回は三対二だった。体の流れた騎士たちが逃れるよりも早く、修のろっこんが鎧ごと、中身も含めた全てを『分解』してしまう。
「そういえば、詠唱が止んでるな」
「北原が上手くもちあげて、時間を稼いでくれてるはずだ」
　刀の疑問に、修が返す。リッカルドに取り入ったふりをして、詠唱を邪魔する――それが北原みゆきの狙いだった。
「自慢話をすれば、長く語りそうだからな」
「ええ、おかげでついつい、昔を思い出してしまいましたよ」
　リッカルドの声が聞こえた。見れば、相変わらずの不敵な笑みを浮かべている。

　――その足元で、みゆきが息絶えていた。

　少し時間は遡る。

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