北欧から来た少女　～うさぎさんオーヴァードライブ～｜リアクション

北欧から来た少女　～うさぎさんオーヴァードライブ～

【一方その頃、裏山では……？　中継その４】

　汐崎キミは、必死で走っていた。
　昔、小さい頃街中ですれ違った人と写真で見たシーリの面影がどこか似ていたからだ。
　同じフィンランド育ちとはいえ、キミは都会っ子である。
　田舎出身のシーリの方が山の中の歩き方や、体力においては一日の長があるようだ。
　探しても探して、一向にシーリの姿は見えない。
「彼女はいったい、どこにいるのかな？」
　ボソリと母国語でつぶやきながら。考える。
　その瞬間、木々を横切って白いジップパーカーが現れた。
「はぅぅぅ……ようやく逃げ切れました！」
「あっ……？」
　まるで、強大な何かの追跡を振り切ったかのようなシーリがいた。
「もしかして、君、フィンランド人？」
「えっと、そうだけど？」
　キョトン、と、うさぎをもったまま呆然と立ち尽くすシーリだったが、突然、うさぎが暴れ始めるとシーリの腕からうさぎが飛び出していった。
　なんだかわからないけど、いきなり母国語で会話を始める二人だったが、シーリの方がうさぎを追って走りはじめた。
「あ、ちょっと待ってくれ！」
「お腹すいたので、急ぎます！」
　そう言って、どんとんとキミを離していくシーリ。
「は、早い」
　そう言いつつ、キミはねこったーの書き込みを見る。
「ほかのところはうさぎをかくほできたみたいだね」
　そうつぶやいてから、キミはシーリを追って走り始めた。