北欧から来た少女　～うさぎさんオーヴァードライブ～｜リアクション

北欧から来た少女　～うさぎさんオーヴァードライブ～

【その後のこと】

　八神修はねこったーのうさぎ脱走の終息宣言を読んでホッと胸を撫で下ろした。
　立てた教科書の影でタブレット端末操作し、学生向けの地図や利便メモを作っていた修である。
　ねこったーの情報を気にしつつも、ゆっくりと転校生へのフォローを考えていたのであった。
　どうやら聖らが食事会を開く予定らしいからその時渡そうと思った。
　そして、おもむろに財布の中身を確認する。
「……よし」
　どうやら、色々と差し入れで食べ物や飲み物をもっていけそうだ。
　ノートに走り書きしたメモを見る。
『Hauska tutustua.Nimeni on 修・八神.Ystävä Haluan olla.』
　上出来である。あとは発音。頑張って考えた自己紹介である。
　そして、もう半分としてやることがある。
　それは転入生というホットなネタに対しての取材である。
　昭和の日の新聞でついた勢いをできればこのまま維持できたらと思いつつ、取材内容をまとめる。
　趣味や、特技、あとは日本のどこに惹かれたのか……。
「取材か……」
　個人的にも友人になってみたいと思いつつも、手早く内容を考えていく。
　どうやら、シーリは日本語ができるらしい。
　つまり、いろいろ取材もできるということだ。
　修は立ち上がると飼育小屋へと向かった。

　……。

　飼育小屋では、一部を除いた生徒が揃っていた。
　聖が提案していたちょっとした昼食会のようなものである、みんなそれぞれ持ち寄ってそれぞれがシーリやほかの生徒たちと楽しそうにおしゃべりしている。
　あれは大変だったとか、これはちょっと怖かったとか……。
　あの先生がいいらしいとか、誰それがいいやつだ、悪い奴だなどなど。
　まるで日常の風景を切り取った特殊な空間があるように修には思えて仕方がなかった。
　そして、同時に思う。
　自分も含めて皆が写真の中に収まるこのシーンこそ、青春であり日常なのではないか……？
「シーリというのは君か？」
「モイ！　そうなのですよ！」
　さて、修の自己紹介は果たしてうまくいったのであろうか……？
　少なくともその場にいた生徒たちは、面白い！　と思ったような、そんな気がする。
　こうして、今日も過ぎていくのであった……。

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