this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
満月の夜に
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
…
31
つぎへ >>
飛び入り参加の最後の一組が演奏を終える。
舞台が整えられるまでの間を司会が繋ぎ、そうして、寝子島クラシック同好会の名が呼ばれる。
「行こう」
NCC代表代理の響也を先頭に、メンバーは月明かりの舞台に向かう。拍手に迎えられ、それぞれの配置に位置し、揃ってお辞儀。
「待ってたわよー!」
白髪の青年の明るい声援が飛ぶ。
(ネコフェスの時も楽しかったけれど)
演奏の前に、響也は一呼吸する。あの夏の日とはまた違う、静かに煌々と輝く満月を仰ぐ。
(このステージも楽しいものになればいい)
ゆったりとヴァイオリンを構える。
響也の動きを合図に楽器を手にするメンバーに遅れず、智もサックスをしっかりと抱く。
響也の視線につられて月を見上げていた青の瞳を正面へと戻す。月と炎の光が揺れる舞台から、客席へと視線を広げる。
(今日は本当に月がきれい……)
白銀に降り注ぐ月の光は、まるで夢のように美しかった。
トロイメライの意味するところは、夢。『子供の情景』と名付けられた全十三作品の内の一曲。
この綺麗な景色にトロイメライの曲を自分達の演奏で響かせて、幻想的な雰囲気を届けてあげたい、智はそう願う。
(でも、何度やっても人前で演奏するのは緊張する……)
客席に見つけた高校生らしいカップルを少しだけ羨ましく思って、今は演奏に集中、とサックスに視線を落とす。これから皆で奏でるトロイメライの旋律を心に辿る。ピアノで演奏されることが多い曲だけれど、今回はメンバーの色々な楽器の音で聞くことができる。それがとても新鮮だった。
(僕のサックスでも)
サックスはピアノと比べて渋くて大人っぽい音だと智は思う。だからこそ、
(サックスらしいイメージを膨らませたいなぁ)
客席に広がる静寂を読み取り、征一郎が背筋正しヴァイオリンの弦に弓を伝わせる。神に奉納するが如く、音に荘厳な雰囲気を纏わせゆったりと弾く。夢のはじまりの旋律が奏でられる。
響き渡る、どこか艶めいて情熱的な征一郎の音を、日和の天真爛漫でいて懸命な音が追う。
(月下の演奏会にはぴったりの曲だよね)
征一郎の音に音を重ねて、日和は斜め前に立つ征一郎の自信に満ちた横顔を見つめる。彼のように弾けたら、と憧憬に近く思いながらも、今は、
(ヴァイオリン、頑張って弾かせてもらうね)
一途に音をなぞる。
みんなの素敵な演奏に私も音を重ねたい、そう願う。
月の綺麗な夜に似合う音楽を奏でるから、そう思う。
征一郎と日和の音に、響也の端整で繊細な音が並ぶ。楽譜をどこまでも正確に読み取り、旋律に籠められた作曲家の想いを自分になりに読み取り解釈し、響也は音に情景を込める。
秋月の境内に三挺のヴァイオリンの音が歪むことなく逸れることなく、それぞれに合わさり重なり調和する。
月を目指して力合わせて伸び行くヴァイオリンの音を支えるのは、エリカのチェロの低く強靭な音色。
サナリアナの軽やかに澄んで響く、美しく儚げな月そのもののようなピアノの音を傍らに、エリカは上昇と下降を繰り返す音の底を支える。
(子供の情景……であったか)
夢は夢でも悪夢ではなさそうだな、と慰撫するような旋律の優しさに淡く微笑む。和ませた瞳に捉えるのは、観客席から舞台を見上げる人々の眼。
思っていたよりも多い観客の数に、けれどエリカは一切怖じない。
(……うむ、良い)
むしろ一層気を引き締める。己の奏でる音に、仲間の奏でる音に集中する。様々の楽器で奏でられる、『夢』。
堂々とチェロを弾きこなすエリカが望むのは、観客に己の弾くチェロの魅力を気付かせたいということ。
例えば、チェロも良いなと感心させられるような、そんな演奏がしたかった。
(……まあ、そこまでの実力が私にあるかは知らないが)
そう思いながらも、エリカはどこまでも強気な笑みを唇に刻んで己の音を舞台から客席へと響かせる。
最後の旋律を歌い上げたピアノの余韻が夢の終わりを告げる。
夢の色湛えた月の雫が落ち、砕けて消える最後の音に耳澄ませるため、客席を静寂が満たす。舞台を囲う境内の杜から虫の声が、舞台から離れた参道の屋台から人々のざわめきが、遠く微かに届いて、直後。
客席に拍手が沸く。
一曲めを終え、奏者達は揃って立ち上がり礼をする。目配せを交わして再び配置に付き、二曲めにとりかかる。
(こちらは英国の民謡……だったか?)
チェロを抱え直して、エリカは次の演奏を待って静まり返る客席を見遣る。よく知られた曲でもあるため、知っている人も客席にきっと居るだろう。
(トロイメライもそうだったが、こちらも幻想的で良い)
その良さを、己は伝えられるだろうか。
(伝わるような演奏が出来ればいいな)
舞台を囲う篝火の炎を見つめて深く呼吸をする。炎の熱を胸に取り込み、空に輝く月を見上げる。
(音楽を楽しむ月見も良いものだ)
心からそう思う。
逢莉のハープと日和のヴァイオリンの囁き合いから始まる音の広がりに耳を澄ませ、智はトロイメライよりも更に幻想的な音色に瞳を細める。
(さっきの繊細な曲とはまた違った荘厳な曲だね)
重なり合い、響き合って広がり行く音の漣に連なるべく、サックスに息を吹き込む。NCCには色んな楽器の奏者がいる。様々の楽器の様々に違う音は、上手く重ね合わせれば、心地よい厚みとなる。その厚みを活かした音を観客席の人々に聞かせてあげたい。
(僕達の音楽を聴いて、そして)
クラシックのことをいいなと思ってもらいたい。その想いを伝えたくて、智は幾つもの旋律をサックスで歌い上げる。
節が過ぎる毎、新しい楽器が加わる毎、曲は雰囲気を違える。変わり行く音を逃さぬよう抑揚に気を配りながら、一曲の中に混ざり合う幾つもの楽器の音に瞳を和らげる。こうして色んな音を楽しめるのが、
(アンサンブルの醍醐味だしね)
日和の陽だまりのような音色に応じてハープの弦をそっとなぞり、逢莉はふたつの楽器を起点として環のように繋がり広がる楽器の音に微笑む。
ハープとヴァイオリンだけの囁きから音色が広がる、その美しい流れが、逢莉は好きだった。
どこか懐かしく、もの悲しく、青く碧く広がって行く音の世界。
(でも)
この曲には愛する人がいない悲しさがある。逢莉はそう聞いている。原曲の歌詞は恋人との別れを嘆くようなものであると。
(みなさんはどんな想いを本番にこめるのでしょう?)
例えば、大好きな人を失った悲しみを感じているのなら。
(わたくしはやさしさでつつんであげれるような、)
この曲を弾いている人も、聴いてくれている人も、悲しいばかりではなく優しい気持ちで思い出を振り返られるような、皆とやさしい月夜を奏でるような、
(そんな演奏を――)
心を籠めてハープの弦に触れながらも、けれど今はまだまだ楽譜通りに弾くのが精一杯。
旋律に混ざる違和感に、征一郎は瞳を気難しげに顰める。音の外れた方へちらりと視線を流せば、悄然とした顔で、それでも懸命に音を繋ぐ逢莉の姿。最年少者の失態をカバーしようとした瞬間、グリーンスリーブスの旋律の一節が耳に触れた。今はここに居ないはずのフルート奏者の音を聞いた気がして、けれど弾かれたように周囲に視線を走らせても、フルート奏者の姿はない。姉の姿は、どこにもない。
いるはずがない、と瞳を伏せる。
(だからこの選曲は)
苛立ち紛れに心中に舌打ちする。選曲にこの曲が上がった時点で、表には出さないまでも内心酷く複雑だった。
この曲は、姉が一番最初に征一郎に聴かせてくれた、姉の得意曲だった。姉の演奏を聴いたから、姉が合奏しようと言ってくれたから、己はヴァイオリンを始めた。
だからこそ、姉以外のフルート奏者と合奏する気はなくて、――正直なところ、舞台に立つ人間の内にフルート奏者がいないことに安堵した。同時にそんな自分自身に心底嫌気がさした。
過去、同じ楽曲を姉と協奏した時の姉のフルートの音が耳に蘇る。あの頃はまだ、技術も技巧も足りなかった。姉のようにもっと上手くなりたいと気持ちばかりが先走っていた。
(昔のように一緒に……)
また一緒に同じ曲を奏でたかった。上手くなったねと褒めて欲しかった。
(僕もあの頃のように“心の底”から楽しく弾けるだろうか)
心の底からふと湧き出た呟きは、連鎖的に中学で吹奏楽部に所属していた頃をも引き連れてきた。思い出したくない記憶を思い出して、途端、気分が沈んだ。眉間に深い皺が刻まれる。
征一郎の奏でる音色にほんの僅かな動揺の色を感じ取り、響也は視線だけを征一郎へと向ける。同じ音を繰り返し練習し、正確な音を耳に叩き込んでいた響也だからこそ捉えることの出来た、微かな音程の差異。
どこまでも澄み、どこまでも沈んでゆけそうな蒼を征一郎の音に感じ取り、響也は征一郎に気付かれぬよう、征一郎の音に寄り添う。
月の白銀を目指して広がる仲間の音を眼で追う。
音を色としても感じる響也の瞳に、仲間が奏でるグリーンスリーブスの音の世界が広がる。逢莉のハープは温かな朝陽の色、エリカのチェロは大地に根ざし凛と蒼穹目指す新芽の銀色、智のサックスは伸び行く柔らかで強靭な若葉の色、サナリアナのピアノは儚い月を映す鏡の白銀、日和のヴァイオリンは優しい木漏れ陽の金。
様々の色が、皆の心が混ざり合い、人々を惹きつける旋律となる。
正確に音を奏で、正確に一拍一拍を刻む響也の表情が柔らかに和む。月下の集った人々に少しでも届くよう、心をこめてヴァイオリンを弾く。皆と音を合わせる。
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
…
31
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
満月の夜に
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月01日
参加申し込みの期限
2014年12月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!