ざーざーてるてるぴっかぴか｜リアクション

ざーざーてるてるぴっかぴか

（うん、清純な白もいいよな……）
　実はタイミングよく目撃していた亨は僅かににやける。それに気付かない咲はびしっ、と傍らで竹刀を桃坊主へと突きつけた。
「桃坊主……貴様の破廉恥な行いは許しがたい！　成敗するっ！」
　そう言ったそばから桃坊主がぶわり、と強風を吹き付ければ咲の引き締まった太ももが露出。更には愛らしいピンクのショーツが見えた。
「ゴチです、姐さんっ！」「クールビューティーにキュートなショーツ、アリだね！！」
　亨と下心が思わずハイタッチして喜ぶ傍をすり抜け、トモエが桃坊主へと飛び掛る！
「もぅっ！　おとなしくしてっ！」
　それをひらり、と交わしてもう一度強風攻撃！　だけど翻ったスカートから見えたのは動きやすそうなスパッツ。
「スパッツだから恥ずかしくないもんっ！」
「でもそのぴったり感もなかなかそそるよ！」
　下心の発言に思わず困惑するトモエ。一方簾は赤くなりつつ璃亜を庇ってレンチを手にしていた。
「なんか赤坊主の前にこっち倒した方がいいのかな？」
「ともかくっ、こんなことはやめなさいっ！　ほかの人も迷惑しているでしょ？」
　まゆがいつに無く厳しい表情で注意しながら近づけば、ぽい、とバナナの皮を投擲。思わず踏んで前のめりにすっころぶ！
「危ない、まゆ先生！！」
　竜司が受け止めるも、落ちていた別のバナナの皮で転び、まゆは竜司の背中に倒れこむ。なんかやわっこいものが背中に当たって竜司的にはちょっと幸せだったが、まゆは「ごめん、竜司君！」とちょっと慌てていた。
「貴様……、今、咲のを見たな……。それに他の女子生徒にも破廉恥な真似をするなど言語道断だっ！　そこの男子生徒共々覚悟しろ！」
　咲が再び攻撃を繰り出そうとするも、下心と桃坊主は爽やかに笑った。
「それじゃあ、僕らは失礼するよ。まだまだお楽しみはこれからだからね！」
　そういって速やかに退散する１人と１体。怒りと正義感に燃えた咲とまゆは顔を見合わせると頷き合い、すぐさま追いかける。竜司とトモエも共に行き、亨は少し考えてから
「やっぱり、こうでないとな！」
　と、１人動き出すのであった。
「「……」」
　取り残された簾と璃亜。なんともいえないおいてけぼり感を覚えつつも顔を見合わせる。
「どうするんですか？」
「いや、桃坊主は人が足りてそうだし……」
　なんて言っている傍からゆらり、とくる影。簾が戦おうと思っていた赤坊主が姿を現した！　なんというタイミングっ！！
「くっ、こんな時に来るなんて……」
「これが、赤坊主なんですね？！」
　簾は再び璃亜を背後に庇い、手にしたレンチを構える。これでなんとか目潰しをしている間に璃亜だけでも逃がせないか……と考えていると、ジャージ姿にマスクとゴーグルという姿の小柄な女子生徒が現れた。夏夜である。彼女は璃亜を教室に入れるとぴしゃり、とドアを閉めた。
「ありがとう、ええと……」
「僕は夏夜。っと、自己紹介している場合じゃないよ！」
　１人逃げた事で面白くない、というように赤いミストを吐く赤坊主。どうにかゴーグルのお陰でダメージは少ないが、２人で相手になるだろうか……？
「やいこらてめぇ……、うちの学校で暴れてんじゃねぇぞ！」
　簾がそう言ってソケットレンチを両手で挟み、ろっこん『Titan's Toolbox』を発動させ、巨大化させようとした。けれども赤坊主は顔面めがけてミストを噴射する！
「危ないっ！」
　夏夜がひっぱることで直撃を免れるも、レンチを落としてしまう。急いで拾い上げた簾はあたりを見渡し、舌打ちする。
「ちっ、ここじゃ戦りづらいな……」
「袋小路に追い込みたいんだけど……。僕が観察したとおりなら」
　夏夜が何か言おうとすると、再びミストを噴射する赤坊主。仕方なく２人は赤坊主を誘うように外を目指す。途中で夏夜は懐からビニールを手渡す。
「これ、簡易合羽。これを着て！」
　簾は礼をいい、手早く装着すると好戦的な笑みを浮かべた。
「っしゃあっ！　赤坊主、こっちだ！！」