寝子島高校の体育祭、今年のテーマは虹だ。
学食のおばちゃんは7色のてるてる坊主をつくって、食堂の窓に吊ってにこにこしていた。
「これで当日はきっと晴れることでしょ……あれ?」
見ると7体あったはずが、5体しかない。
「どこかに遊びに行ったのかな~?」
のんきなおばちゃんは、ぼんやりとしていた。
午後の授業が終わって生徒たちが外に出てきた頃、雨がざーざー降ってきた。
南校舎の生徒玄関ではざわざわしている。
見上げると雲がない。天気雨か?
巫部 紫苑はてのひらで受けてみる。
すると手がどんどん紫に染まっていった。
「あれ? 絵の具?」
するとそこに現れたのは、灰色の猫、
テオだ。
「絵の具じゃねえ。雨だ」
「紫の雨……?」
「どうやらおかしなことになっちまったようだな。ひとまず切り分けといたから頼むぜ」
テオの解説によると、学食の7色のてるてる坊主が神魂の影響を受けているらしい。
そのおかげで、きちんと元の位置に吊しておけば当日は晴れるという。
ただ、7色のうち2色が逃げ出してしまった。
しかも、不思議な能力を持ってしまった。
紫坊主はかくれんぼが大好きで、どこかに隠れてしまったらしい。
隠れたくせに寂しがって、紫の涙を雨として降らせている。
赤坊主は好戦的で、あっちこっちを飛び回っている。
すすーっと紫苑の前を通っていく。
「うわっ。血を吐きましたよ?」
それは血ではなく、激辛唐辛子ミストだった。
吹きかけられると、からい。目に入ると、あつい。既に苦しんでいる生徒の姿もあった。
そして、何故かもう一体、桃色の坊主がふわふわとんでいた。
紫苑は思わずテオに問いただした。
「ピンクは、虹とは関係ないはずですよね?」
「迷いこんだんだろ。俺の知ったこっちゃねえよ……」
桃色坊主は女子の足元にバナナの皮を落としたり、風を起こしたりするらしい。
呆れたテオは「頼むぞ」と言い残して、紫の雨を避けるように、校舎の中に入っていった。
テオは背後で誰かが転ぶ音を聞いた。
とある女子がバナナの皮を踏んでつるんと転んで倒れた。
それが紫苑なのか、他の誰かなのかは、わからないが……。
ども。体育祭では運動音痴なのに無駄にはしゃいだ口、菊華です。
これもまたいわゆるひとつの体育祭準備シナリオです。
なんとか問題を解決して、体育祭をいい天気で迎えましょう。
難易度:★★
◆舞台と時間帯
テオの切り取った世界にある、寝子高の構内すべて。
かくれんぼ以外では、特にこだわりのない場合は場所の指定は不要です。
午後の授業が終わった頃。
異世界のため、解決までその時間帯が半永久的に続きます。
◆3色のてるてる坊主
なぜか人間の言葉がわかります。自分たちは喋れません。
元の体長は20センチ程度で、白いハンカチをそれぞれの色に染めて作ったものです。
ふわふわ浮いて、高く飛ぶこともできます。
そのまま移動可能です。結構速いので、追いかけっこすると人の負けです。
紫 :かくれんぼ好きの子どもっぽい子です。
隠れたのはいいが、寂しくて泣いてしまっています。やさしくしてあげてください。
涙が紫の雨となって降り注いでいます。
赤 :好戦的で短気です。体長50センチくらいに膨らんでます。
激辛唐辛子ミストを口から吐き出します。目に入ると大変。皮膚についてもからくて熱いです。
説得不可能です。物理的な攻撃で負けを認めさせると元のサイズになって、大人しくなります。
桃 :ふざけた奴です。何故か関係ないのにまぎれこんでしまいました。
スカートの女子の足元に、絶妙なタイミングでバナナの皮を落としたり、風を起こしたりします。
どうしたら捕まえられるか、よくわかりません。
捕まえたら、ついでに吊すといいそうです。天気がよりよくなります。
激辛唐辛子ミスト、バナナの皮、風は、アクションで防御策をしっかり書いておかないと、まず食らいます。
「目がああ~」となったり、転んでパンツ丸見えになったりします。気をつけましょう。
アクションは、3色のうちどれか1色を指定してください。
2色以上との絡みを指定することはできません。
ただし、ストーリーの展開次第では2色以上の坊主と絡んでいただくこともあります。
この現象に関係していれば、坊主と絡まないアクションも可能です。
たとえば紫の雨にうたれてるだけ、放課後の教室で紫の雨を見つめるアンニュイな自分……など。
◆NPC
以下のキャラクターのみ登場する可能性があります。
・牛瀬 巧(状況を理解している。ろっこんは紫の雨でも発動する模様。赤坊主絡み)
・相原 まゆ(生徒のイタズラだと思いこんでいる。桃色坊主絡み)
バトルというよりはコメディです。気楽に楽しみましょう。
はたして紫の雨が止むと、虹は出るのでしょうか?