職業体験学習でお仕事しよう！｜リアクション

職業体験学習でお仕事しよう！

●うさぎ屋でのお仕事

　体験学習の生徒達が頑張ったおかげで、開店準備はいつもより早く終わった。
「清掃良し！　座布団の天日干し良し！　さぁ開店だよ！」
　ひと通りチェックし終えた満月の号令で、うさぎ屋の仕事が始まった。

　開店時間になると、うさぎ屋にお客さんが次々とやって来た。
「いらっしゃいませ！」
　職業体験学習の小中学生達が、明るい笑顔と大きな声のご挨拶でお出迎え。
「この子達は職業体験学習の子達さね。注文とか気軽に言っとくれ！　皆、頼んだよ！」

　お昼時にもなると、うさぎ屋は忙しくなり一休みする暇もないほどに。
「豚玉と海鮮お好み焼き、頼むよ」
「あいよ！　ちょいと待っとくれ！」
　職業体験学習の生徒達に「アンタらも作るかい？」と満月は言ったのだが、誰も作るとは言わず。
　失敗したらお客さんに出せない。そう考えてのことだろう。
（すぐ焼けるよう、あの子達が下拵えしてくれたからアタシは大助かりさね。それだけでもありがたいよ）
　満月の負担を減らすべく、生徒達はキャベツや豚肉、エビの殻むきといった下拵えを積極的に。
「お客さんが多いと作る量も多いねぇ。でもオレ、頑張るよぉ」
　キャベツを切っている曖浜瑠樹は、厨房で満月のサポート役に徹している。
　瑠樹だけでなく、三角巾を貸してもらった女の子、接客や後片付けの生徒も笑顔を絶やさず働いている。

「豚玉と海鮮、できたよ！　テーブル２番さんに持ってっておくれ！」
「２番さんですね。お待たせしました！」
　豚玉と海鮮お好み焼きを乗せた皿を、生徒のひとりが両手に持ちお客さんに運ぶ。
「職業体験学習、頑張れよ」
「ありがとうございます。熱いうちにお召し上がりください」
　接客態度、笑顔良し、と対応した生徒を評価しながら、満月は次々と注文されたものを作っていく。

「カウンターの下げ膳頼むさね！」
　指示された生徒は素早く皿やグラスを下げ、カウンターを拭き、綺麗になってから次のお客さんをご案内。
　お客さんが帰った後は、皿洗いの仕事も。
「食器洗いもお仕事だしねぇ」
　ゴム手袋をしての食器洗いは初めてだったが、瑠樹はひとつずつ綺麗に洗っていく。
　レジ打ちに手間取っている中学生の女の子がいたので、満月はお好み焼きを焼きながら助け船を出す。
「お会計かい？　豚玉とミックス合わせて１２５０円だよ！　釣りは要らないって言ってくれると嬉しいんだけどねぇ」
　ゲラゲラと笑いながらの満月の言葉に、お客さんはまいったねと苦笑。

　職業体験学習の生徒達は、時々、下拵えと接客を交代している。
「いらっしゃいませー」
　ゆるゆる笑顔でお客さんを出迎える瑠樹は、品物を運ぶ時は落とさないよう気を付け、お客さんが席を立つこともあるので、周囲にも気を配る。
（お好み焼き屋さんは、こんなに頑張ってるんだねぇ。笑顔で気さくに話してくれて、細かい心配りもしてくれて……）
　そのおかげで、楽しい雰囲気で美味しいお好み焼きを食べられる。
　働くことで、そのことがわかった瑠樹だった。

　てんてこまいな体験学習は、あっという間に終了。
「ありがとうございました！」
　慣れない労働で疲れたが、皆、感謝をこめて笑顔でお礼を。
「お父さんお母さん、叔父さんと一緒に食べに来たいねぇ」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか。皆、お疲れさん！　ちょいと待っとくれ」
　そう言った満月が持ってきたのは、お好み焼きの生地と豚肉、エビといった具。
「好きな具を入れて、自分で焼いとくれ。頑張ったご褒美だよ！」
　小中学生達は、帰宅前に好きなお好み焼きを焼いた。
　上手く焼けたものもあれば、焦げたり、不恰好だったりといろいろなお好み焼きができあがったが、自分で焼いたお好み焼きはとても美味しかった。

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