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秋の日の海は、なんだかとても水色で
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遅い夏休みが、ようやく
斑鳩 遙
のもとを訪れていました。
盛夏の間、寝子島水処理センターがどれほど忙しかったかは、読者の皆さんにも容易に想像が付くと思います。まさしく白衣を脱ぐ間もないような毎日でした。
仕事だけではありません。過ぎ去った夏、遙には仕事以外にも、心労がかさむような出来事の連続がふりかかっていました。
将来彼がこの夏のことをいつか思い出すことがあれば、忙しかった、の一言で終わるかもしれません。
さて、いずれにせよ過ぎたことは過ぎたことです。今、遙の足は浜辺にありました。
砂を踏み、潮風を吸い込み、さざ波の音を楽しみます。リフレッシュするにはいい環境ではないでしょうか。オフシーズンということもあって人はまばらで、静かな情景なのもいい気持ちです。
そういえば――と遙は思いました。
秋ノ宮 こまち
の別荘が、海沿いにあったはずです。
すぐに見つかりました。もしかしたら彼は、無意識のうちにこまちの別荘に向け歩いていたのかもしれません。
「……ああ、いた」
別荘の裏手にはガレージがあります。
そこにはこちらの背を向け、何か作業しているこまちの姿がありました。
ちょうどこの日この時間に、彼女がこの場所にいたというのは、ある種運命的な偶然なのかもしれません。
「奇遇だね」
声をかけると、すぐにこまちは振り返り、はにかんだような笑顔を見せました。
「斑鳩さん、こんにちは」
立ち上がったこまちの手には、軽やかな籐籠があります。
「おっと、邪魔じゃなかったかな?」
「いいえ。今から海岸に、作品の材料を集めに行くつもりでした。貝殻です」
「貝殻集めか……手伝わせてもらっていいかい?」
「ありがとうございます、ではお言葉に甘えて」
遙が手を伸ばすと、こまちは空いたほうの手を伸ばしそうになり、すぐ気がついて籠のほうを差し出しました。
「あ、籠……ですね」
「ああ、うん。籠は俺が持つよ」
遙は籠を受け取ります。元よりそのつもりでした。
でも……その白い手を差しだしてくれても、そっと握ったと思います。
遙とこまちは並んで、波打ち際を歩きます。
道々、綺麗な色の貝殻を拾い、他愛もない会話を交わしました。
「そうですか。水処理センターは夏が一番忙しいんですね」
「研究をするにはいい時期だからね。それに、研究所は涼しいから居心地だけはいい」
話しながらも、自分とは別に客観的な視点をもつ第二の自分がいて、空から自分たちを見おろしているように遙は感じていました。
第二の遙の目にはきっと、一回り以上も歳が離れた男女が映っていることでしょう。
親子というのは言い過ぎですが、兄妹と呼ぶには離れすぎです。
ましてや恋人同士などとは……。
――何を考えているんだ、俺は。
遙は心を鎮め、その考えを遠ざけようとしました。
正直遙は、こまちにどう接していいかわからないのです。
こまちは、遙の周りにはいなかったタイプの女性でした。
彼女には透き通った、水晶のような印象があります。年齢は十歳以上離れており、彼からすれば子どもといっていいはずなのですが、どこか大人びた部分があり、ときとして同年代、いえ、年上とすら錯覚してしまいそうな言葉を発することがあります。
その謙虚さを好ましく思っているのは事実だが――遙は己に問いかけました。
――それ以上の感情はあるのか?
自分でも、よくわかりません。
とはいえ、こまちと過ごす時間が心地良いものであること、それは事実でした。ともに歩くだけで、すさんだ心が癒されていくような気がします。
「!」
このとき、遙は反射的にこまちをかばっていました。
腕で彼女を抱き寄せ、背中を海に向けます。
一瞬、時間が止まったように感じました。
遙も、こまちも、です。
けれども、
「危なかった」
と遙が言葉を発したとき、魔法が解けたようにして、また時間が動き出したのでした。
「大丈夫ですか……!」
慌ててこまちはそう告げていました。
高波が大きく、こまちに押し寄せていたのでした。
「なに、少し濡れた程度だ。こまち君が濡れていないなら、それでいい」
「でもこんなに水をかぶってしまって……」
言いながらこまちは遙の、海水がはねた袖をまくります。
「その腕……!」
こまちが小さな声を上げました。
むきだしになった遙の左腕、そこに大きな傷痕を見たのです。
刃物でつけられたような痕です。昨日今日ついたような傷ではありません。少なく見積もっても、十年は前に受けた傷のようでした。
こまちはその傷痕から、目が離せなくなってしまいました。
こまちにとって、傷痕というのは大きな意味を持ちます。
数年前、ある人が彼女をかばい、半身に大怪我を負ったことを思い出したのです。
無言で遙は袖を下ろしました。唇をじっと、噛みしめています。
この傷は、遙が大学時代に負ったものです。友人の時任彼方を襲ったストーカーから、彼を守ろうとして受けたのでした。
「……ごめんなさい」
こまちは俯いてしまいました。
傷の理由をこまちは知りません。ですがそれが遙の、不快な記憶に直結していることはすぐに理解できたからです。
――また、垣間見てしまった。
普段見せない遙の姿、その片鱗を。
以前もこういったアクシデントがありました。あのときも彼は、今のように辛そうな表情をしていました。
胸が痛みます。針の束を呑み込んだかのように。
――私は彼と特別な関係なわけじゃない。彼の心の内まで知る権利はない、けど。
針は細いのですが、確実に心臓に届くほどの長さがあるような気がします。
――けど、私に何かできることはないの?
沈黙が流れました。
ほんの少し前までの、なごやかな空気は、高波によって押し流されてしまったかのようです。
これを破ったのは遙でした。一歩彼女に近づくと、
「これを」
と、小さな貝殻を手渡したのです。
「さっき拾った。君の小指の爪によく似ている」
「ありがとうございます」
それは透き通った桜貝でした。可憐な桃色をしています。
――これが斑鳩さんから見た私?
ふと、そんなことをこまちは考えました。
胸の中の針玉が、溶けていくような気持ちも感じていました。
一方で遙はこまちから目をそらし、空を見上げていました。
彼女の姿を直視できなかったのです。
――もし今ここで能力が発動したら?
恐怖に似た感情を抱きます。けれどもそれは、赤黒い欲望と一体でした。
いっそのこと、能力が鎌首をもたげるに任せてはどうか、とすら思います。
力ずくで彼女を押し倒し、その瞳を凝視してすべを暴きたい、汚したい――そんなことを遙は考えてしまうのです。
遙は、そこにいるはずのない姿を頭上の空に探していました。
客観的な視点をもつ第二の自分、そう感じていたものを。
けれどその姿は、きっと遙の顔をしてはいないでしょう。
時任彼方の顔をしているはずです。
時任は冷笑しているのではないでしょうか。「なにをやっているんだ」と氷の目で告げているのではないでしょうか。左斜め前を向いた、ぞっとするほど美しい顔で。
強烈な憎悪と、劣等感を遙は抱いています。
同時に、真実を求める葛藤を。
さらには、それを知ることへの怖れを。
――ぐちゃぐちゃに乱し汚したい。
こまちを。あるいは、時任を。
――俺自身と同じ泥沼に引きずり込んで溜飲をさげたい!
その衝動は飢えた獣のようでした。ともすれば鎖を引きちぎり、外に飛び出しかねない遙の中の獣でした。
ですが理性が勝りました。首を振ると、遙は歩き出したのです。まるで、最初から一人で海辺に来ていたかのように。
そのとき、
「斑鳩さん、別荘で休んで行かれませんか?」
とこまちが、彼に呼びかけました。
「体を拭かないと風邪を引いてしまいます」
そうして彼女は、彼に並んで微笑みかけたのでした。
今は、遙もこまちを見ることができます。
いつの間にか遙の中の獣は、姿を消していました。
別荘でタオルを借り、休息した遙は、こまちにガレージへと案内されました。
「ごめんなさい、すごく散らかってて」
「いや、気にならない」
実際、ガレージは大変にケイオティックな状況でした。けれどもそこに美学というか、一幅の絵に収めるとちょうどいいバランスの色彩感覚を見て取ることもできました。やはりこまちは、根っからの芸術家のようです。
「今はこういうのを作ってるんです」
壁際にいくつも並んでいるのは、研磨した貝殻やシーグラスを重ねて作ったランプシェードの数々でした。
「納得いくものはほんの一握りですけど」
とこまちは言いますが、遙は素直に心を動かしていました。
夢見るようなその色使い、細やかな造形、それでいて、うんと大胆なデザインのものもあります。
「君は凄いな」
この称賛の言葉は、けっしてお世辞ではありません。
「そんな……恐縮です」
照れたように言って、そのひとつをこまちは手に取りました。
深い青色をしたランプです。
「斑鳩さん、受け取ってくれますか。この前頂いた蜻蛉玉のお礼です」
こまちは火を灯しました。
火が入れば、ますます美しいランプなのでした。たとえるならばその色は、海の底にさした月光のよう。
「ありがとう」
と受け取って、しばし、魅入られたようにその灯を遙は見つめるのでした。
――君は凄いな。
心の中で、さきの言葉を繰り返します。
――今の俺には遠すぎる。
一方でこまちの心にも、告げきれなかった想いがありました。
――あなたの心の夜に、光が灯りますように。
それはこのランプに彼女が、密かに込めたものなのでした。
遙のことを考えながら作った作品だということも、秘密にしておきましょう。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月12日
参加申し込みの期限
2014年12月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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