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秋の日の海は、なんだかとても水色で
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海は水色から、茜に。やがて、インクの色へ。
月の姿はくっきりと、空の銀幕に浮かび上がっていました。
もう誰もいません。友人同士も、恋人たちも。最初からいなかったかのように。
今、この場所に見いだせるのはただひとり、白いブラウスに真っ赤なスカートを合わせた装いで、ヒールを濡らし海岸線を歩く
維都月 茉菜
でした。
どうして茉菜は今、家を単身抜け出して、高台目指して歩いているのでしょう。
理由は色々あります。
けれど一番しっくりくるのは、考えごとをするために、というものでしょうか。
最近、家にいてはできないことですから。
先日の小人の事変、あの騒動が終わってから、茉菜は髪を伸ばし始めました。
すると茉菜の父親は、過干渉なほど彼女の行動に口を出すようになったのです。
髪型ばかりが理由ではないでしょうけれど、彼女が髪型の変更を自分の区切りとして使っているように、父親のほうも娘への接し方に区切りをつけたもののようです。
それまでは前は互いに無干渉だったのに、最近の父親は彼女の、帰宅の時間にまで口うるさくなりました。すぐに激昂するような父親ではないもののひとたび怒れば、口吻は静かなれど長く、ずっと、うんざりするほどに説教してくるのです。
こうやって家を抜け出たことが露呈すれば、また父親からのエンドレスな叱責を受けることになるでしょう。いえ、今ごろはもう父親はとうにこの事態に気がついており、面白くない顔をして玄関に座り込み、腕組みしたまま彼女の帰宅を待っているのかもしれません……。
薄めた闇のようにブルーの吐息を、茉菜はふうと吐き出します。
ちくちくと痛むのは胸でしょうか。それとも頭のほうでしょうか。
波音も心の慰めにはなりません。潮の香りも届かない。
けれども出てきたことは後悔していません。今の茉菜には、父親に邪魔されない時間が必要でした。人形の家から出て考えるだけの短い時間が。
――世界が元に戻ったら……もれいびでなくなって、ののこさんとテオがまた維持神として天上人に戻ったら……きっともう病院や家から出られない。
ふっと影が差しました。
見上げれば月は、にわかに出てきた濃い雲に隠されてしまっています。
今さらどうして、金の籠の小鳥に戻ることができましょう。
ひとたび自由な空を知った小鳥が、籠に連れ戻されて再び歌を唄うでしょうか。
そもそも、与えられた餌をついばむかどうかすら疑わしい――。
髪を伸ばすのと前後して、茉菜は自分を変えました。せめてもの親孝行をと、すっかり忘れていた勉強にかかり、素行を色々直したところ、父親のほうも変わりました。それがいい意味でも変化でなかったことは前述の通りです。作用反作用の法則を見るかのようです。
――やってられないよね。
ふっと、投げやりな笑みが茉菜の口元に浮かび上がりました。
――こっちは、猫や鴉を何とかできないかなとかと必死に考えているのに。
赤いヒールが砂浜を踏みます。
スカートが濡れるのも構わず、茉菜は波打ち際に座り込み、砂浜に人差し指をつけました。
湿った砂ゆえ、軽く引くだけでざりっと線が引けます。
まっすぐに引っ張ってこれを支柱とし、左右均衡にアームをつけます。
やがて彼女の人差し指は、簡単な天秤の絵を描き上げていました。
海風にあおられた前髪を直しながら、黙って彼女は、天秤の絵を見つめていました。
――皆、どんな世界を望んでいるんだろう?
それは、鴉が望む享楽的な世界でしょうか。
元通り猫が天上にいた頃の世界でしょうか。
立ち上がった彼女の膝に、海水に濡れたスカートが貼り付いていました。その冷たい感触が呼び起こしたのは、ほんの少し前、けれどももう二度とは戻らぬ時代の記憶です。かつて茉菜はスーパーサンマ大祭を、全力で楽しんでいたものでした。それは懐かしい、大切な記憶です。
――それでも、うつろうのね。
変わっていくのです。どんなものも。例外はない。
その変化の速度が、早いか遅いかの違いしかありません。
そんなことを考えていたら茉菜の目の前にさっと波が寄せ、天秤の絵をさらいました。
波が引いたとき、天秤はすっかり消えていました。
『秋の日の海は、なんだかとても水色で』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
マスターの桂木京介です。
多数のご参加、誠にありがとうございました。
シナリオガイド公開時は、ちょっと話が地味かな……と思っていたのですが、アクションが集まってみればびっくり、参加キャラクター様それぞれの魅力が最大限に発揮された素晴らしいものばかりでした。
地味なんてとんでもない! 派手なアクションあり、じっくり読ませるアクションあり、胸がときめくようなアクションもあって、読むのをとても楽しめました。
らっかみ!の秋もそろそろ本格化しますね。またこの季節のうちに、何度か皆様と再会の機会があることをお祈りしております。
また来て下さいね。桂木京介でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月12日
参加申し込みの期限
2014年12月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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