this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
秋の日の海は、なんだかとても水色で
<< もどる
1
2
3
4
5
…
14
つぎへ >>
習慣というのは、よくなじんだ上着のようなものです。
意識していないと、いつの間にか選んでしまう。歩き始めてようやく、今日もなじみの上着で外出していることに気がつく……といったような。
鴻上 彰尋
は今朝も、早くに目覚めてしまいました。習慣です。
休みなのですから、早起きする必要はなかったはずです。
兄妹たちはまだ寝ています。朝食は簡単なものですませばいいでしょうし、弁当を作る必要もないのです。
それなのに歯を磨いて顔を洗って、そこでやっと彰尋は自分が今、取り立ててすることもない状態であることを認識したのでした。
それならそれで、過ごしかたというのもあるものです。
タオルで顔を拭って着替えると、誰も起こさないようそろそろと歩みを運んで、そっとドアを閉じ彰尋は外に出ました。
荷物はひとつだけ、手にした書籍です。
飾り気のない真っ黒な表紙にはタイトルと作者名、中央に、真っ赤な薔薇が一輪。
読みかけのミステリーなのでした。
部屋で読んでもいっこうに構いません。けれど今日は、夏を思わせる好天です。午後は暑くなりそうなので、涼しい朝のうちに外で読書するというのは、ちょっとした贅沢といっていいでしょう。せっかくの早起き、この、カバンの底に偶然入っていた五百円玉のような幸せを、こうやってかみしめるのもまた、良いものです。
頬に潮風を感じながら、彰尋は海岸沿いの道を行きます。
ちょうどシュロの木が木陰を作っており、しかもそれが連なっているのを幸いとして、彰尋は本を開いていました。落ち着ける場所を探すより、ページをめくりたいという衝動が上なのでした。
歩きながらもう、彰尋は小説の世界の中にいます。
読みかけの本はいよいよ佳境、一番いいところにさしかかっていました。トリック満載の物語ゆえ、一文一文、いえ、一文字一文字にすら、地雷満載の荒野を歩むかのように集中してしまいます。
この本を購入したのは彰尋の兄です。彼は本書の映画版を偶然鑑賞していたく気に入り、原作小説である本書、それにDVDも購入していました。それを「舞台版もあるそうだから」と言って弟の彰尋に貸してくれたのです。
それなら――と原作小説のほうを先に手にした彰尋はたちまち、蜘蛛の巣にかかった蝶のごとく、物語の世界に囚われてしまったのでした。
昨夜は就寝時間を厳守すると決めて、やっと本に栞を挟んだというのに、開いてみれば再び、魔法の時間のなかに彰尋は陥っていました。
内容を鑑賞することだけが、彰尋の読書ではありません。
物語を追いながらも、彼は心の中に舞台を設定していました。芝居の舞台です。無機的な最近の建築よりは、漆喰とワックスの匂いがするような古びた劇場がいい。規模としては、五十人も入れば一杯程度のものがベストでしょうか。
その劇場では今、彰尋が読んでいる小説を舞台化したものが演じられています。
といっても客席は空で、まだリハーサルの段階です。
ここで彰尋は脚本家兼舞台監督として、話をどう『見せる』のか思案しています。役者に命じて演技させ、それが最良に活きる流れを考え、照明の当てかた、演者の動きにも気を配ります。
もちろんすべては彰尋の想像の産物にすぎないのですが、普通の読書に比べ二倍楽しい鑑賞方法と言えるのではないでしょうか。
夢中になってそんな読書体験をしていたせいでしょう。
彰尋が、誰かにぶつかってしまったのは。
「えっ?」
物語の盛り上がりに合わせるようにして歩を早めていたせいか、彰尋は見知らぬ少女の背中にぶつかっていました。
「あ……えっと、ごめんなさい!」
想像の世界から瞬時にして現実に戻って、彰尋は上ずった声をあげていました。
乱暴にぶつかったわけでもないので倒れるには至らなかったものの、相手は驚き、怪訝そうな顔をしています。それはそうですね。
とにかく自分が悪いのは明白と考え、しかも不審感を抱かれても困るので、慌てて彼は言い添えました。
「俺、いや、僕は寝子高一年の鴻上といって、決して怪しいものじゃないんです。歩きながら本を読んでいて、つい……」
言いながら彰尋は相手を見ました。
くりっとした目をした、とても可愛い子でした。
ワンピースを着た同じ歳くらいの少女です。もしかしたら年下かもしれません。
けれども彼女は言ったのです。
「寝子高一年!? 私もだよ」
と。
問われるより先に彼女は名乗りました。
「私、
七夜 あおい
。五組の普通科ね」
あおいはまったく怒っている風もなく、そればかりかフレンドリーだったので、彰尋は内心安堵しつつ口調を素に戻して、
「俺は普通科三組……本に夢中になっていて、うっかりぶつかってしまったんだ。改めて謝罪したい」
「気にしないでいいよ。歩きながら本を読んでいたの? 二宮金次郎みたいだね」
これも決して非難がましい口調ではありません。かといって小馬鹿にするような口調でもなく、ただただ、友達に語りかけているようにやわらかな言葉でした。
「二宮金次郎……はは、そうかもしれないな」
彼の本を見てあおいは言います。
「あ、その題……知ってる知ってる! ちょっと前に映画になったやつだよね? 私は原作も映画も知らないけど、けっこう話題になったから」
「うん。そうだな」
「面白い?」
「もちろん。すごく、と言ってもいいくらいだよ」
「そっかー。よかったら今度貸してね……って、あはは、私、今日会ったばかりの人に何言ってんだろ」
自分で口にした言葉に照れたように笑って、あおいは、
「ごめんごめん、忘れて。じゃあまた」
と小走りで去って行ったのでした。
本を持った腕を下げたまま、彰尋はただ、あおいの背中を見送っています。
――七夜さん、か……。
不思議な子だと思いました。
ほんの数十秒であおいは、するりと彰尋の心に入ってきたような気がします。
彰尋には心を閉ざしていたつもりはありません。けれども、それでも、これだけナチュラルに心に入ってくる人はそうはいますまい。
――高校の人なら今度会う機会もあるかもしれないし、改めてお詫びをしないとな。
むしろ会いたいとすら、考えたりもしました。
なんだか調子が狂ったような……読書の続きは、家に戻ってからにするとしましょう。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
14
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
秋の日の海は、なんだかとても水色で
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月12日
参加申し込みの期限
2014年12月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!