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秋の日の海は、なんだかとても水色で
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音羽 紫鶴
が
藤音 鈴桜
を誘ったのには、それほど深い意味はありません。
退屈だったということもあって、ふとこの時期の海を見に行きたくなり、彼は彼女に電話をかけたのです。鈴桜は、二つ返事で出てきました。
真夏の頃の海岸と、秋の気配が忍び込んできた今の海岸、色合いとしてはそれほど極端な変化はありませんけれど、やはりどことなく、切ない雰囲気があるのは事実でした。海風にも心なしか、冷たいものが混じっています。
「秋の近しい海もいいものだね」
恋人というよりは、友人に呼びかけるような口調で紫鶴は言います。
いえ、さすがにただの友人よりは、親しい雰囲気ではありましょうか。多少古くさい言葉で言えば、友達以上恋人未満というのが一番近いようです。
「そうね」
と返す鈴桜の声にも、甘えるような色合いは希薄です。
お互いにもう少し親密にするべきなのかもしれませんが、なかなかうまくいきません。
なぜなら、いまだに実感はありませんが、鈴桜と紫鶴は婚約しているからです。といってもこれは名家の親たちが、二人が生まれるより前から決めていたものであり、本人同士の意志などまるで介在していない『決まりごと』でした。
寝子島に来るまで、紫鶴と鈴桜はほとんど顔を合わせたことがありませんでした。大きなパーティなどで何度か同席したことがある程度、揃って寝子島に来るまでは、ほとんど意識したことすらなかったのです。
紫鶴にとって鈴桜は、ただ自動的に割り振られた『婚約者殿』にすぎず、鈴桜にとっても紫鶴は、『よくわかんない人』にすぎませんでした。いや、過去形ではなく、今もそうかもしれません。
ただ……このところ親しく言葉をかわすようになって紫鶴は、鈴桜のことをいくらか気にかけるようになっていました。正直に告白すると、一緒にいると、意外にも楽しいのです。
彼が鈴桜を可愛いと思うようになったのもこの頃からでした。
とはいえ紫鶴はまだ一三歳で、鈴桜にいたってはたったの十歳です。可愛いといってもそれが、恋に直結するものではありません。小動物に感じるような可愛さです。
一方、鈴桜はまだそこまで、紫鶴への評価を劇的に変化させてはいませんでした。しかし今日、彼に誘われて迷わず応じ、弾んだ気持ちでお気に入りのワンピースを着てきたのは事実です。
紫鶴と行くのであれば……と、簡単に家から外出許可が出たことも嬉しい。
それに、なんというか彼の前では、良い子を演じなくてもいいんだという解放感もあります。
「もっと近くに行ってみない?」
そう言うや鈴桜は砂浜に下り、砂を踏んで波打ち際まで駆けていきました。そして、
「もっと暑かったら海には入れるのにね……でも足だけなら今でも入れるかも!」
と、靴と靴下を脱ぎ捨て、浅瀬に素足をひたしたのです。
「行動が早いね」
彼女に追いつくと、紫鶴は目を細めます。ぱちゃぱちゃと水を跳ねてはしゃぐ鈴桜を見ているだけで、なんだか自分も嬉しくなってくるのでした。
寝子島に来るまで紫鶴は、鈴桜のことを、もっと物静かで従順な人形みたいな少女だと思っていました。ところが実際は、こんなに無邪気で、少し勝気なところもあります。どことなく、仔猫を見ているような気持ちもします。
「気持ちいいよ! 紫鶴も入――らないよね」
「あー……遠慮しとく」
紫鶴は肩をすくめました。自分はそんなに子どもじゃないぞ、という見栄が出たのかもしれません。あるいは、彼女を見ているほうが楽しい、という気持ちが出たのでしょうか。
「ふぅん」
と年相応の表情を見せて、それでも気にせず鈴桜は、波を蹴立てぴしゃぴしゃと水飛沫をあげ、砂の感触を足で味わいました。
ややあって、
「あ! これ綺麗!」
と鈴桜が声を上げたのです。
「これって?」
近づいてきた紫鶴に、鈴桜はなにか、透き通ったものを手渡しました。
薄緑色で小石ほどのものです。硝子の破片が波に研磨され、宝石のようになったものでした。
受け取ったとき紫鶴は、甘い匂いを嗅ぎました。硝子の破片に香りがついているはずもないから、これはきっと鈴桜の……女の子の香りでしょう。すっと心をとらえる芳香。どきっと心臓が一つ高鳴りましたがその驚きは、顔に出るまえに消えました。
なので鈴桜は紫鶴の心に起こった小さな渦巻きに気がつくことなく、笑い声を上げるのです。
「ほらほら、陽にかざすとキラキラ光るよ!」
「へぇ、綺麗なものだね。宝石みたいだな」
「同感! もっとたくさんないかな……?」
薄緑の透明なものを返してもらい、鈴桜はこれを陽に透かして見るのです。
もちろん、これがただの硝子であることを鈴桜も知っています。そもそも宝石のことであれば、世間一般の十歳よりずっと詳しい彼女なのです。財界の大物が集まるパーティなどで本物の宝石を身につけたことは数え切れないほどあるし、多分親に頼めば、宝石なんていくらでも買ってもらえるでしょう。
けれども、ただの宝石よりも、この硝子のほうが、鈴桜は気に入りました。
――紫鶴と一緒に見つけたこっちのほうがとっても価値があるように思えるのは何でだろう?
「だったらたとえば……」
このとき、紫鶴はなにか拾い上げていました。
「こういうものもあるよ。ほら」
それは綺麗な桜貝、淡い色あいですが光沢がありました。紫鶴はごく自然に鈴桜の手を取って、これを握らせます。
「これもいいなぁ……浜辺って、宝物でいっぱいじゃない?」
「かもしれないな」
二人は微笑みあうと、しばし背を屈めて、落ちている宝物を探すのでした。
宝物でいっぱい――その通りでした。
綺麗な硝子の破片、つるつるした石、巻き貝の貝殻、そして、生きているヤドカリまで!
オフシーズンの海というのも、いいものです。
それに、よく探せば泳いで遊んでいる人たちもいるようですし。
ワカメみたいな頭をした少年が、少女を横抱きにして走って行くのも見えました。(※実はこれ鷹取洋二と、気絶中の鬼河内萌だったりするのですが)
ふと紫鶴は茶目っ気を起こしました。
鈴桜の耳に唇を寄せ、そっと告げます。
「鈴桜、僕と一緒に空の散歩をしないかい? 扇子は持っている?」
「え?」
鈴桜は驚きましたが、心はすぐに決まっていました。
「素敵!」
やがて人気(ひとけ)のないところまで移動すると、紫鶴は右足で地面を三度叩きました。
するとたちまち、その背に白い、鶴のような翼が生えたではありませんか。正確には直接生えているのではないので衣服は無事です。二三度羽ばたかせて具合をたしかめると、
「行こうか」
と、幼児が秘密を打ち明けるときのような顔をして、彼は鈴桜を抱き上げました。
ちょうどさきほど、鷹取洋二が鬼河内萌にしていた姿勢です。これを見て思いついたのです。
横抱き、もっとロマンチックな言い方をするならば、お姫様抱っこ。
ふわりと浮遊感がありました。そのときにはもう、鈴桜の体は空にありました。
「一気に上空まで行くから、しっかりつかまってて」
「うん……大丈夫」
紫鶴の、切れ長の瞳がすぐ近くに見えます。鈴桜はこんなに近い距離で、彼の顔を見るのは初めてです。抱かれている時点でもうドキドキするというのに、息がかかるほど近いこの状態を意識して、恥ずかしくて、頬が熱くなってきて、思わず彼女は彼から目をそらして自分の周囲を見渡しました。
「わ、わぁ……すごい綺麗!」
水色です。
真下の海も、真上の空も。
パノラマのような光景です。
「鈴桜、花吹雪を頼むよ」
紫鶴が言いました。
「そうだ扇子……」
鈴桜は手にした扇子を片手で広げました。そしてこれをぱたぱたと扇いだのです。
すると鈴桜のろっこんが目覚めました。
青紫した藤の花びらが、そこから舞い散ったのです。
たくさん、たくさん、それこそ花吹雪のように。
本日鈴桜が手にした扇子の模様と、同じ花です。
花びらは風に舞いつつも、ゆっくりと舞い落ちていきます。
――この花は下の人たちにも届いているかな。
紫鶴も、鈴桜も同じことを思いました。
地上の人たちには、ちょっとしたサプライズになりそうですね。
指先にきた花びらをそっと手で優しくつつむと、紫鶴は笑みを見せました。
「君のろっこんは本当に綺麗だね」
「ありがとう……でも、空を飛べる紫鶴も格好いいよ」
「そうかい?」
「うん」
またいつか一緒に飛ぼう――口には出さなかったものの、紫鶴はそう決めました。
紫鶴も、喜んでくれてるかな……だったら、嬉しいな――そう思っている自分に気がつき、なぜだろう、と鈴桜は不思議に感じました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月12日
参加申し込みの期限
2014年12月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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