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【標】
「じゃ……こんなのはどうかな。『事件はキャンバスの中で起こっていたんだよ』!」
ででん!
新井 すばる
のぶち上げたそんな論調は、
神野 美野梨
には確かに、魅力的に聞こえました。
研究者気質で理系タイプの彼女に、分析と称して、絵の技法や色使い、モチーフなど、最も人の琴線を捕らえるのは、統計的にどんなところなのか……とか。筆を払う方向や線の長さから読み取れる、作者の利き腕や、年齢による筆圧の変遷についてとか。そんな風に、すばるなりの切り口で攻めてみるのですけれど。
「生物的にとか、化学的にとか、そういう美しさは分かるのだけど……」
とは、実にらしい彼女のコメント。
それならば! とすばるが打ったとっておきの策が、つまりは冒頭の言葉なのでした。
「それで、すばるくん。事件って?」
「うん、実はね……」
と言ってすばるが示したのが、目の前の絵。瀬島作太郎作、『紅葉狩り』です。
もったいぶった口調で美野梨の興味をあおりつつ、すばるは言いました。
「この絵のモデルになった女性は、エノコロ岬で亡くなった、という噂があるんだよ!」
ででん! 衝撃の事実に、美野梨は思わず息を呑みます。
「エノコロ岬で……?」
「そう。死因は溺死、一説には、身投げだったそうだよ」
「解説には、彼女は気難しい女性だった、とあるわね。へえ、興味深いわね……」
「そうだね、誰かに似ているかも」
「……私は別に、気難しくは無いわよ?」
なんて、ちょっとしたやり取りも挟みつつ。ともかくすばるの言葉は、美野梨をぐっとこの絵へ惹き付けたようです。すばるにとっても、それは嬉しいこと……何やら絵の鑑賞というよりは、推理や謎解きの場になってしまっておりましたが、それも一興というものです。
そうして議論を交わし、様々な角度から考察を深めていくうち。
「……! ちょっと待って」
「どうかした?」
美野梨がはっとして、何かを思いついたように眉をひそめたのに、すばるは怪訝そうな顔を浮かべました。
「ねえ、すばるくん……さっき、あっちにエノコロ岬を描いた絵があったわよね」
「ん? ああ。アマヨイカヲル作、『灯台と秋雲』だね。あの絵が何か……」
「……気になるわね。ねえ、ちょっと来て」
「え、気になるって何が……神野さん?」
美野梨はすばるの腕を引っつかむと、ぐいぐい、引っ張りながら歩いていきます。普段は物静かな彼女、けれど一度興味を持てば、凝り性な性格も手伝って、目的に向かって一直線なのです。
先ほど鑑賞した『灯台と秋雲』の前に、再び立った美野梨とすばる。
美野梨はこの絵にも、さほどの興味は示さなかったはずだったのですけれど。
「やっぱり……ほら、ここ。すばるくん、ルーペあるわよね」
「もちろん!」
いわゆるシャーロキアンであり、『ちくわをくわえたホームズ』とも称されるすばるのこと。当然ルーペも常備していて、それを取り出す仕草も、どれどれ、と絵の中の美野梨が示した箇所を覗き込む様も、実に堂の入ったものです。
美野梨が指差したのは、灯台の白い壁に記された、ちょっとした落書きのようなもの。
「……相合傘?」
「さっき見て、気になっていたの。ほら、ここ……読めない? 『さくたろう』、って」
「んん……小さくて良く分からないけど。確かに。そうとも読めるね、おもしろいな」
それは本当に小さくて、こうして拡大して見なければ分からないほどの、些細な走り書き。そう読もうと思えば読めるかも、という程度ではありました。
けれど、そこから広がる考察。思いがけない推理に、美野梨の興味は俄然、増していきます。
難しい顔をして考え込む彼女……と。
「この絵の作者は、『紅葉狩り』の作者と関係があった? そして、モデルの女性の亡くなり方。これって、偶然にしては……なんだか、事件の匂いがするわね。ね、そう思わないかしら、すばるくん?」
「そうだね、まぁさっきの噂っていうのは、冗談なんだけどね?」
ひとり盛り上がる美野梨に。唐突な、すばるのネタばらし!
ぽかん、美野梨の口が大きく開きました。
「……えっ。冗談なの……?」
「本当は、誰かが死んだなんて噂は、この絵にもさっきの『紅葉狩り』にも無いんだよ」
「そんな……完璧な推理だと思ったのに……」
上目遣いに、ちょっぴり恨みがましい視線を送る美野梨。
けれどすばるは悪びれず、朗らかに笑うのです。
「あはは、ごめんね神野さん。でも、全く違う二つの絵に、実は繋がりが……! なんていうのは面白いよね、浪漫があって。それに、楽しかったでしょ?」
悪戯っぽく言うすばるの言葉に。美野梨はいささか悔しげながら、こくり、小さくうなずきます。
こんな風に独自の推理を広げている時間には、どこか胸が躍るような感覚があったのも、確かでした。
「……そうね。ちょっと残念だったけど、楽しかったわ。絵を見るっていうのも、なかなか面白いかも知れないわね」
「うん、そう言ってくれて嬉しいよ……それに案外、全く的外れってこともなくてね?」
すばるが示した先には、絵に併設していくつかのパネルが掲げられている、作者についての小さな紹介コーナー。アマヨイカヲルは現役作家ということもあってか、ちょっとした特集が組まれているようです。
「この人の作品には、他にもエノコロ岬灯台を題材にしたものがあってね。ほら……この彫刻。見て」
一枚の写真パネルを覗き込めば、岸壁を模った土台に立つ、精緻な灯台の彫刻作品。
画題は、
「『母の墓標』……? 『紅葉狩り』のモデルになった女性の娘は、芸術家を目指してたらしいって、さっき言ってたわよね」
「意味深だよね。ひょっとすると、ひょっとするのかも……? なんてね」
入り口は何でも良いのだと、すばるは言います。絵について純粋に興味を抱くでも、何かしら独自の推論を展開してみるでも、それによって美野梨が、少しでも美術に興味を持ってくれれば。すばるにとっては、それこそが重要なのです。
そうなったら、あるいは……二人一緒に、芸術鑑賞を楽しむなんてことも、出来るかも知れません。
「そうだ。神野さん、今度その灯台へ、スケッチをしに行ってみない? そう、二人でさ」
そう言って手渡したのは、一枚の絵はがき。館内の土産物屋で売っていた、『灯台と秋雲』をプリントしたその裏側には、彼の書き入れた、『Q.E.D』の文字がありました。
「神野さん、ボクのモデルになってくれるかな? キミが、そう。気難しい女性でないのなら……ね」
ぱちり、茶目っ気たっぷりにつぶった片目に。
「……もう。でも、そうね。それも悪くは無いかも知れないわね……ただ、いいの? 私なんてモデルにしても、面白くないわよ?」
美野梨は困ったように、照れたように微笑みました。
すばると美野梨の背を見送りながら。
(……面白いことを考えるものだね)
木原 一颯
は、そっと物思いに耽ります。
目の前を通り過ぎていくのは、初々しい学生たちの一団。
宮祀 智瑜
は、
「鷹取先輩、良いインスピレーションを受けられるような、何か。見つかりましたか?」
「ああ、素晴らしい刺激を受けられたとも」
「俺は先輩と、『猫』と『秋』を題材に、何か作りたい……なんて思ってしまいましたよ。例えば俺が絵を描いて、先輩は作曲。バイオリンとピアノでセッション、なんてね」
八神 修
のそんな提案に、おお、それも面白そうだな、とほくほく顔の
鷹取 洋二
。
「皆、楽しんでもらえたようでなにより。私も嬉しいわ」
「おかげで、楽しめたのですよー!」
そう言う
若林 沙穂
や
屋敷野 梢
、その仲間たちの手には、智瑜がプレゼントした、名画をモチーフにした記念の栞が握られています。
一颯は今日、この美術館という場所、そして作品たちとの邂逅を通じ、あちらこちらでくるくると巡っていく……そんな若者たちの様々な表情を、目の当たりにしてきました。
どこか憂鬱そうに顔をうつむけた
朝鳥 さゆる
、その伏せられた瞳。
後ろがつかえてしまうほど真剣に見入り、あわてて場所を譲った
岡野 丸美
の苦笑い。
今はまだおぼろげな夢を追う、
芹沢 梨樹
。
東城 六
。
ロベルト・エメリヤノフ
といった、有望な芸術家の卵たち。
(北美浜氏のお嬢さんも、来ていたようだね)
著名な彫刻家の名は、一颯も良く知っていました。
北美浜 薫子
の夢が実現するよう祈ることに、一颯とてやぶさかではありません。
一方で、
姫上 雪兎
の純粋で率直な感想にはどこかはっとさせられ、思い悩む
三宅 葉月
の言葉は、自身の遠い落日を想起させました。
十二月晦日 杏
の賑やかさも、印象的。少しでも彼が美術に興味を抱いてくれたのなら、それもまた先達として嬉しく思うのです。
(そうそう、あの子たちは、良く知っていたな。あの年頃で、大したものだ)
時高 クレオ
の微笑ましい背伸びっぷりに目を細めつつ、
旅鴉 月詠
の歳に似合わぬ達観した感性、それに
服部 剛
の卓越した知識量には、舌を巻きました。
桜 月
。彼女の、静かな表情の内に秘めた情熱は、いつしか自分が失いかけているもののようにも思え。羨望と憧憬に疼く胸を、一颯はしばし、ぎゅうと押さえつけました。
そして、
秋ノ宮 こまち
。
(……運命は時として、残酷な罠を仕組む)
ここに掲げられた作品たちに秘められた真実は、結局のところ、誰にも分かりません。
ただ、多くの困難や障害に心を苛まれ……あるいは、思いがけない喜びに心を震わせて。多くの人々が翻弄され、悩み、考え、そうして搾り出された想いの結晶が、ここには集っているのでしょう。
だからこそ、こんなにも心を動かされるのでしょう。
(こまち君。君が優しい悪魔に魅入られ、道を誤らぬよう……そして若者たちが、信じた夢へと続く道標を、違わず辿らんことを)
一颯はそう、願って止まないのです。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『寝子島の四季彩展・秋』のリアクションをお届けいたします~。
絵画を鑑賞するシナリオということで、絵に詳しい方、そうでもないなりに楽しんでらっしゃる方、絵を通じて答えを見つけたり悩みを深めたりする方、と様々でしたね。
それぞれに、より皆さんのキャラクターが深まったり、そのきっかけや材料になっておりましたら、嬉しいなと思います。
今回、お題となった三つの絵について、こちらで事前に設定していた情報は、ガイドのほうに掲載したものが全てでした。最低限のことを書いたのみで、あとはいただいたアクションの中から、面白い案があればピックアップさせていただこうかなーと。
そんなことを考えながら、実際拝見してみるとどれも面白かったもので、結局全部採用させていただきましたけれど。おかげで墨谷が想像する以上に、何だか深いドラマが生まれてしまいました。
アマヨイカヲルは、瀬島作太郎の血縁者なのか?
機会がありましたら、いずれそんな謎にも迫ってみたいところです。
それでは、今回もご参加ありがとうございました!
またの機会にお目にかかれますことを、心よりお待ちしております~。
お疲れさまでした!
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定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年10月28日
参加申し込みの期限
2014年11月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!