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【紅】
(やっぱり、すごいのね……)
秋ノ宮 こまち
の得意分野は彫刻ですが、絵もまた一通り嗜んでいます。それだけに彼女には、飾られている作品たちの優れている点が鋭敏に読み取れる……と同時に、自分の未熟な部分もまた目に付いて。思わず、圧倒されてしまうのです。
(来て良かった。若林先生には、感謝しないとね)
この企画のチケットを譲られたことは、こまちにとって、二つの意味がありました。
一つは単純に、芸術を志す者として、素晴らしい作品に出会えることへの興味。喜び。
そして、もう一つは。
(……できるだけ。こういうものは、見ておきたいの)
そう、時の許す限り。
こまちは、並んだ絵画たちを順に鑑賞していきながら、ふと、そういえば。と思い起こし、
(お母様の知り合いも、この中にはいたのかしら……?)
今は亡き母は、学生時代、この寝子島で芸術を志していたといいます。多くの仲間たちと共に、競い合い、助け合いながら、母は芸術家という夢を胸に抱いていたのだそうです。
ここに飾られた作品の中には、そうして母と深く関わった誰かのものも、もしかしたらあるのかも知れない。そう思うと、こまちには何だか、感慨深いものもありました。
ふいに。こまちは、ゆっくりと歩んでいた足をぴたりと止め、それに見入ります。
(『紅葉狩り』……)
色使いや筆使い。そういったものに心惹かれたのも、確かです。
けれど、そんな技術やタッチのことをさておいたとしても、こまちの目を惹き付けてやまないのは……この女性の、表情。
紅に染まった頬。柔らかい微笑み。彫刻に比べれば、絵画に造詣が深いわけではないこまちであっても、ありありと感情が伝わってくるかのようです。
解説を読んでみるに、一説ではこの女性は、作者の若い頃の恋人ではないか、という説が有力視されているそうで、それもうなずけるというもの。何しろ絵の中の彼女は、素晴らしく魅力的な笑顔を浮かべているのです。
(……どれだけ相手に焦がれれば……こんな表情が、できるのかしら)
何故なのでしょうか。こまちがこんなにも、目を離しがたいのは。この絵に惹きつけられてしまうのは。
どこか胸が騒いで、ひどくざわつくのは……一体、何故なのでしょうか?
「情念迸る、この大胆な筆致。その中に見え隠れする、瑞々しい繊細さ……さすがは、大家の最高傑作と称されるだけはある」
あまりにも、真剣に見入っていたからでしょうか。
微笑みながら話しかけてきた、老紳士。品があって、美術館という空間に、これ以上に無く似合いの佇まい。優しそうに細められた目。
「お嬢さん。知っているかい?」
怪訝そうに振り返ったこまちに、
木原 一颯
は、静かに語り出します。
「作者の瀬島作太郎は、若い頃はひどく貧しくてね。絵は売れず、生活は困窮していた。そんな時、氏を傍らで良く支えたのが、当時の恋人……つまりは、彼女さ」
一颯が視線で指し示す先を見れば、紅色に彩られた、あのはにかみ。
「なかなかに気難しい女性だったと言われているが、それには理由があってね。良家の令嬢であった彼女と、売れない貧乏画家の瀬島。二人の出会いは定かではないが、女性は初め、瀬島に、それは冷たく当たっていたそうだよ。住む世界が違ったのだろうね」
「でも……」
こまちの疑念を読み取ったのか、一颯は言葉を繋ぎます。
「うん。詳しいところは伝わっていないにしろ、それでも瀬島は女性と仲を深め、いつしか彼女からこんな素晴らしい笑顔を引き出せるほどにまで、二人の絆は深まった」
「それが……なぜ?」
問うこまちの瞳は、やけに真剣な光を帯びています。
「なぜ、二人は別れてしまったんですか? こんなにも……彼女は、心を許していたのでしょうに」
「……政略結婚、というやつさ」
ぴくり。こまちの眉が震えたのに、一颯は気がついたかもしれません。
「旧家の名士であった彼女の両親にとっては、その娘もまた、手段の一つであっただろうね。それが当たり前の時代でもあった……遠方へと嫁ぐことが決まった彼女は、程なくして瀬島の元から去っていった」
絵を、次いでこまちへと向けた一颯の瞳は、やっぱり優しくて。そこには、どこか沈み込んだようなこまちを慮る、労わりの色が覗いて見えました。
彼は続けます。
若い頃、瀬島作太郎は、女性に絵を贈ったのだと言います。愛した女性の最高の笑顔を切り取った、一枚の絵を。
「それこそが、氏の最高傑作……誰も見た者はいないのだけどね。多くの者が今も捜し求める、幻の名画……けれど、見ずとも分かるのさ。なぜなら僕たちは今、彼の生涯、二番目の傑作を目の当たりにしているのだから」
今、こまちと一颯の目の前にあるこの絵は、瀬島が晩年を迎えた際、改めてそれを自ら複製したものなのだそうです。
「二番目の……不思議ですね。これほどに、彼女の笑顔は素晴らしいのに」
「それも、瀬島が評価される所以の一つでね。記憶を頼りに描いたこの絵が、こんなにも、僕たちを惹き付けて止まない……それに、この画題。これもまた、僕は気に入っているんだよ」
『紅葉狩り』。秋の季節に描かれたらしいことに加えて、普段は気難しい女性がふいに見せた、照れ笑い。赤く染まった頬を、瀬島がそう表現したものだと、解説には書かれています。
「紅葉狩りとは、草木が枯れ落ち、黄や赤に色づく葉の彩りを、目で見て楽しむことだ。だが、僕たちは紅葉を眺めはすれど、実際に手に取ることは無い……」
そっと静かに、半ば独白するように。一颯は言いました。
「彼は、いつ気付いたのだろうね。彼女が、手に入ることのない紅葉、その葉の一枚だったということに。……瀬島は、生涯を独身で通したそうだよ」
胸がざわつくのは、こまちにとって絵の中の彼女が、決して遠い世界の存在ではないから。
母と……そして自分に。どうしようもなく、重なって見えてしまうから。
こまちの母が、確かな才を持ち、将来を有望視されながらも芸術の道を諦めたのは、父に見初められて嫁いだためでした。
(だから……こんなにも、私は……)
だから。こまちの胸は、かきむしられるように疼くのです。
「秋ノ宮……こまち、というのか、お嬢さんは。可憐な名だね」
「ありがとうございます」
こまちが名乗ると、一颯は一瞬、何かに気付いたようなそぶりを見せたものの。特に聞きただすことも無く、代わりに、
「君も、芸術の道を志しているのかね?」
「ええ……今は、まだ。木原さんは? 随分とお詳しいですし、何か、そういったことをされているのですか?」
「似たようなものかな。と言っても、昔のことだが……僕は、職人上がりでね」
聞けば一颯は、かつてはピアノ職人だったといいます。これにはこまちも興味を惹かれたようで、瞳をほのかに輝かせました。
そんな彼女を、一颯は……微笑ましそうに、眺めて。
「……こまち君。夢を見るのは、若者の特権だよ」
「夢……?」
「その夢を現実にできるか否かは、確かに、才能と努力次第だ。しかし……何事も、まずは行動せねば始まらない」
どこか、見透かしたような。心へ響くような、そんな言葉。
「迷うこともあるだろう。きっと君の中にもあるのだろうひたむきさを、忘れて欲しくないと……僕は、そう願わずにはいられない。お節介とは思いながらも、ね」
こまちはしばし……そっと目を伏せて。
「……いいえ。ありがとうございます」
そう言って、優しい老紳士へ、微笑みを返しました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年10月28日
参加申し込みの期限
2014年11月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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