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【滲む慕情】
「ふう……」
美術館の入り口をくぐったところで、
桜 月
は日傘をたたむと、ほっと一息。
昼間に出歩くのには、未だ慣れません。明るくまぶしい日の光は、色の薄い彼女の肌に、少々強すぎるのです。
その上で、月がそれを押してでもこの場を訪れたのには、理由がありました。
(さて……良い刺激を受けられると良いが)
この秋に、季節に見合った服のデザインを考えていた彼女。けれどこのところは、何だか煮詰まってしまっている感がありました。
若林 沙穂
先生がくれた『四季彩展・秋』のチケットは、そんな現状を打破するためのきっかけなるかもしれないと月に予感させる、嬉しい機会だったのです。
(まずは……『紅葉狩り』、だったかな。それを見に行こう)
その絵を見たいと思ったのは、目玉の作品として挙げられる中でも、唯一の人物画であったからです。月の興味は、主にモデルである女性の身に付ける衣服、そのデザインや着こなしにこそあり、それは服飾を専門とする月だからこその、彼女独特の着眼点でした。
(……ん、あれは)
目的の一角に着くと、そこには件の沙穂先生と、
屋敷野 梢
、
宮祀 智瑜
の三人の姿。楽しげに、それぞれ感想を述べ合ったりしているようです。
軽く会釈をすると、沙穂先生はこちらに気付き、小さく手を振ってくれました。
月も三人の中に混ざり、意見のひとつも述べてみるのも一興ではありつつ……ひとまずは一人、じっくり。その絵を鑑賞してみることにします。
(これが、彼女の服か。……?)
絵の中で微笑む女性は、あまり飾り気もなくシンプルな、暖色系のワンピースを身につけていました。紅葉狩りというだけあって、いかにも秋の装いといったものであり……更に月の持つ知識からすると、彼女が生きた時代においてはそう高くも無い、ありふれた品であることが読み取れます。
けれど。月にはどこか、彼女にとってはこの服が、着慣れないものであるようにも思えました。
(秋のさなかに、彼女は何を想い、この場所を訪れたか。その状況を、彼女は予測していたのか。もしそうなら、彼女の服装には、それに見合った相応の意図が込められているはず)
彼女は、何を思ってこの服を選び、作者とどんな言葉をかわし、この表情を浮かべたのでしょうか?
そんなところへ、こうして思いを馳せるだけで。月は、次々とインスピレーションが湧き上がるのを感じます。
(それだけ、この絵に込められた感情は、強いものだったのだろうな……激情と言ってもいいほどに)
月が向き合う名画は、袋小路に入ってしまっていた彼女の感性を、良い具合に刺激してくれたようです。
「どうやら、チケットを渡した甲斐はあったみたいね?」
「やあ、若林先生。ありがとう、おかげで、先へ進むことができそうだよ」
話しが一区切りついたのか、話しかけてきた沙穂先生。その後ろからはひょっこりと、智瑜、梢の二人も顔を覗かせています。
「こんにちは。服のデザインをされているそうですね、すごいです!」
「どんな服を作るんですか? 今度、見せてもらいたいところですねー」
そんな風に言ってくれる二人に、月は口元を少しばかり緩めると、
「ありがとう。そうだな、機会があれば」
と。月は先ほど感じた疑問を、沙穂先生に尋ねてみようと思いつきました。
「若林先生。彼女の着ている、服のことなんだが……」
「服? なるほど、あなたらしい着眼点ね」
尋ねると、沙穂先生は再度、先ほど梢や智瑜に聞かせた話を、月にも聞かせてくれます。
「……政略結婚、か」
「実は、この女性を描いたと思われる絵は、他にもいくつかあるんだけど……彼女、良家のご令嬢でしょう? どれも、すごく身なりの良い格好をしているのよね」
親の都合で、恐らくは望まぬ結婚を強いられたであろう、この女性。着るものにはそう困らないはずの彼女が、この『紅葉狩り』の中では、いかにも既製品といった何気ない服を身につけていることに、月は改めて疑問を抱き……そして。
はっと、その可能性に思い至りました。
「つまり……彼女は恋人であるこの絵の作者に、自分の身の丈を合わせようとしていた?」
「……! そうだわ、彼女にとって瀬島は、相当に身分の違う相手だったはず。そう……そうなんだわ!」
興奮した様子で、沙穂先生は言います。半ば叫ぶような声に、周りの客たちが、少しばかり妙な視線を寄越してきたものの。
梢も、ぽんと拳で掌を叩くと、
「あ、そっか! 彼女、この時初めて、この服を着てきたんですねー!」
「だから、こんな風に恥ずかしがりながらも、恋人である瀬島さんへ笑顔を……?」
智瑜の言葉に。彼女たちは、女性がいまひとつ釣り合わない服を身につけながら、それでも幸せそうな笑顔を浮かべている、その理由を確信しました。
裕福な家に産まれた女性は、きっとプライドも高かったことでしょう。時に、気難しくも見えたかも知れません。それでも恋しい相手に見合うよう、自分を変えようと必死だったのでしょう。
見慣れないその服を、瀬島はちょっぴり、笑ったのかも知れません。でも、そんな彼女の努力が嬉しくて。恥ずかしがる彼女が、愛しくて。
思わずこぼれた素晴らしいはにかみの表情を、絵として残そうと思ったのでしょう。
描き上げる前に、それが二人の別れを象徴する絵へと変わってしまおうとは、夢にも思わないまま。
そう、考えたとき。
「……うん。とても、似合いの服じゃないか」
月のそんな小さなつぶやきを、誰も否定することはありませんでした。
もはや止め処なくあふれ出てくるアイディアに背を押され、急かされるように。月は、足早に出口へと向かいます。この高揚感を消さないまま、一刻も早く星ヶ丘寮の自室の机に座り、思うさま筆を走らせたい。そんな衝動が、彼女の胸には満ちていました。
「あ、月詠さん、あの絵! あの絵は何ていうんですか?」
「ああ、あれは……うん?」
歩を進める月とふいに目が合ったのは、
時高 クレオ
を伴った、
旅鴉 月詠
でした。
「やあ、旅鴉さん、こんにちは。君とは、どこかで会えるんじゃないかと思ってたよ」
そんな予感はありました。お互い進む道は違えど、同じ芸術を志す間柄。美術館で出会ったとして、何ら不思議は無いのです。
「月詠さんのお知り合いですか?」
「まあね。月、その様子だと、収穫はあったようだね」
怪訝そうに首を傾げたクレオにうなずいてから、月詠はそんな風に言いました。
今の月の表情は、確かにいつもより、いくらか自信に彩られていたかも知れません。何せ、行き詰って悩んでいたのが嘘のように、思考が冴え渡っているのです。
「うん。『紅葉狩り』に、素晴らしい刺激をもらってね。君たちはもう見たのかな」
「いや、これからだよ。なるほど、君が言うなら、期待して良さそうだ」
「名画なんですよね、クレオも楽しみだわ……!」
待ちきれないといったクレオを案内しながら、月詠たちが奥へと向かうのを見送ってから。
「……よし」
自分に言い聞かせるように小さく言って、月は、美術館を後にしました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ★(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年10月28日
参加申し込みの期限
2014年11月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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