グッドモーニング・ハグハグ☆｜リアクション

グッドモーニング・ハグハグ☆

●自分の意思で思いを伝えたい

（咲先輩を抱きしめたい……！）
　いてもたってもいられない哀坂極夜は、授業を抜け出し、ハグしている生徒を引き離し続けている矢萩咲を探しに行った。
「哀坂、まだ授業は終わってないぞ！　どこに行くんだ！」
　１年4組男子も体育館で授業をしているので、浅井先生もいる。
　極夜の腕をつかんで引き止めようとするが、腕を振り払った極夜は、体育館を飛び出した。
　男子も、女子と同じような状況なので、真面目に授業を受けている生徒は少ない。
　ハグしている生徒達を見ると、今朝のことを思い出してしまう。
　近くに高野先生がいるので、突き刺さるような痛い視線も感じる。今朝のことをまだ怒っているようだ。
（今日は厄日だ……）
　浅井先生は、ますます気が重くなった。

（咲先輩、俺の思いを受け止めてください！）
　咲求めて一直線！　な最中、生徒の何人かにハグされそうになったが、咲一筋な極夜は目もくれず。
　潔癖症な彼だが、誰かにハグされたら強引に振り払うだろう。
　その頃、咲はハグしている生徒達を「不純異性交遊は、咲は絶対にさせない！」と引き離していた。
　ハグを阻止しているが、誰かにハグしたい、されたいという気持も。
　ハグのことを忘れようと、躍起になって孤軍奮闘している咲に声をかける人物が。
「見つけましたよ、咲先輩」
「極夜君……」
　会いたい人にようやく会えた。あとは、自分の気持ちをつたたえるのみ。

「あの時以来、だな、その……元気にしてたか？」
　もじもじする咲を見て、たまらなくなった極夜は神魂の影響と恋心で、すぐ抱き締めてしまう。
　手をまわした瞬間、咲の腰とお尻に手が触れたが、恋心が勝っているので気に留めていない。
（今度は神魂の影響ではなく、自分の意思で）
　極夜は、おもいきって咲に告白する。
「咲先輩、私は……あなたのことが好きです。あの時から、ずっと……」
「……ッ！？」
　ハグされただけでなく、真摯な告白をされたことでドキドキする咲。
「そ、それは……嬉しいけど……」
　この温もりとドキドキ、高揚感は恋心なのか？　と久々の異性のハグに顏を赤くして考えてしまう。
「良い……ですか？」
　断ってからキスしようとする極夜のペースに流されるかのように、咲は思わず受け入れかけた。
「……や、やっぱりダメ！」
　キスの寸前で顏を赤くし、咲は初々しく手で阻止。
「咲は……まだ二人に対して答えを出してない……こんな健全じゃない状態ではダメだ……」
　不純異性交遊は絶対に認めない、恋愛は健全に、というのが信条の咲にとって、あの時も頬のキスも、今の極夜のキスも突然のことだ。
「だから御免、まだその告白は受け入れられない…… 済まない……」
「突然過ぎましたね。では、これなら良いですか？」
　そう言うと極夜は咲の前に跪き、主に忠誠を誓う騎士のように、優しく咲の手の甲にキス。
「……これなら、良い……咲のわがまま、聞いてくれてありがとう……いつか答えを出すから……」
「わかりました。答え、待っていますよ。咲先輩……」
「極夜君……」
　見つめあったふたりは、自然にハグしていた。
（……ん？　何かが咲のお尻を……）
　甘いムードのハグを中断し、咲は、お尻に触れているものは何かを確認する。
「極夜君……ハグは良いが……お尻を触るのはやめてくれないか……」
「す、すみません……！」
　口ではそう言うが、気が付いた時には、豊満な咲の胸にも触れていた。
　神魂がさせた行為なのか、極夜の抑えきれない咲への思いがそうさせたのか。
　それは、触れた本人にもわからないことだろう。
「……今度、こういうことをしたら……容赦なく鉄拳制裁だからな……」
　優しく微笑み、そう忠告する咲。
「肝に銘じておきますよ、咲先輩」