グッドモーニング・ハグハグ☆｜リアクション

グッドモーニング・ハグハグ☆

●トラブルは突然に

「校内が騒がしいな。何事だ？」
　休み時間に図書室で何を読もうかと本選びをしていた八神修は、いつもより騒がしい校内が気になった。
　賑やかなのはいつものことだが、今日は特に騒がしい。
　静かな環境で本を読める状況じゃないと判断し、図書室を出た修が見たのは、ハグしている生徒達だった。
「これは、神魂の影響による異変だな」
　巻き込まれは毎度のことだと割り切っているのか、ハグ状態を見ても冷静な修だった。
「ハグは外国では挨拶だが、日本だとセクハラになりかねない」
　自分の心を他者に干渉されることを好まない、好きな子以外の女性とハグするのはいろいろ困る。
　周囲を見ているとハグしたいかも……と複雑な気持ちに。
「誰かにハグされないうちに教室に戻ろう」

　その途中、誰か手伝ってほしいのだー！　と廊下を走り回っている後木真央にぶつかった。
「真央、何かあったのか？」
「修ちゃん、いいところで会ったのだ。ちょっと来てほしいのだ。早くなのだ！」
　どういうことか説明しろ、と言う間もなく、修は真央に手を引かれてどこかに連れて行かれた。
　真央に連れて行かれたのは、立ったまま眠っている邪衣士にハグされたままの浅井先生がいる場所だった。
「浅井先生、何をしているんですか？」
「邪衣に抱きつかれたんだけど、そのまま寝てしまって身動きできないんだ。どうにかしてくれないか？」
「真央ちゃんだけじゃ、幸太ちゃんセンセーを引き離せないのだ。だから手伝ってほしいのだ」
　眠っているが、士の力は相当のものだったので、修と真央が力を合わせて引き離せなかった。

　途方に暮れていた時、ハグ相手を探している尾鎌蛇那伊が走っているのを見かけたので、ふたりは彼の力を借りることに。
「尾鎌、ストップ！」
「止まるのだ！」
　ふたりに通せんぼされたので、蛇那伊は急停止。
「どうしたの？」
「力を貸してくれ。邪衣が浅井先生から離れてくれないんだ」
「眠っているから、どうにもならないのだ。だから、蛇那伊ちゃんの力を貸してほしいのだ！」
　浅井先生を引き離した後、ハグできそうね。そう考えた蛇那伊は、士と浅井先生を一気に引き離した。
「あらあら、士ちゃん、まだ眠っているわ。仕方ないわね、保健室に連れて行きましょう」
　士を肩に担ぎ、蛇那伊は保健室へ。

「た、助かった……ありがとう、八神、後木。あ！　もう次の授業が始まっているじゃないか！」
　ふたりにお礼を言うと、浅井先生はダッシュで次の授業があるグラウンドに走って行った。
「なんだか困った現象だ。なあ、真央」
　と言いつつ、いつの間にか真央をハグし、頭をナデナデしている修だった。
「修ちゃん、真央ちゃん、ハグの幸せが止まらないのだ～。朝から幸せなのだ～」
　しばらくほわ～んとしていたふたりだったが、浅井先生の「次の授業が始まっているじゃないか！」という言葉を思い出し、各々の教室に戻ることに。
　
　教室に戻る間、修はハグ射程圏内にいる女子生徒に捕まるまえに逃走を試みるも追いつかれた。
「何故、追ってくるんだ！」
「八神くんが逃げるからよ！」
　あ、そうか、と納得していると、すぐ追いつかれた。走力は女子に劣る、というのは修談。
（体力だけでなく、走力もつけておこう）
　追いついた女子生徒は「つっかまーえた！」と背後から修にハグ。
　それを見た他の女子生徒達も、彼女に続け！　と言わんばかりに修に抱きついてきた。
（好きな子以外の女性とハグするのは色々困るし、複雑だ。すまない……）
　ハグされながら、クラスメートの好きな女の子に謝る修は情けなくなってきた。

　その頃、真央はハグのお裾分けをすべくハグ相手を探し回っていた。授業、受けなくてもいいんですか？