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寝子島図書館から
御剣 刀
が軽い足取りで出てきた。館内は冷房が効いているのか。白い半袖シャツのボタンはきっちりと上まで留められていた。早速、指が上部のボタンを外す。
少し遅れて
小山内 海
と
橘 千歳
が続いた。
「今日は二人とも、勉強を手伝ってくれてありがとう」
振り返った刀にスケッチブックを胸に抱えた海が口元に笑みを作る。名前の通り、水玉の青いワンピースは夏の情景を思い起こさせる。
海は慣れた手付きで、さらさらと画用紙に文字を書いた。
『ぶじにおわってよかったね、かたなくん』
「本当に助かった」
軽く頭を下げる刀に海は言葉を書き足した。
『こんどからはちゃんと、けいかくてきにやらないとダメだよ』
「そうだな。それと千歳、いつもすまないな」
「今回はいいとして。でもね、刀君」
千歳の目が鋭さを増した。ポニーテールを黒い鞭のように振って口を開いた。
「夏休みの宿題を今頃になって慌てるなんて、おかしくない? 今まで何をしてたのよ」
「部活が忙しかったんだ。神社で早朝の自主練も欠かせないしな」
そう、と軽く返した千歳は腕を組んだ。黒いチュニックに負けない色の瞳で刀を見据えた。
「私も刀君と同じ剣道部なのよ。忘れてはいないよね」
「もちろんだ。千歳も夏休みの間、クラブ活動とかで忙しかったと思う」
「それなりに動いていたわ。でも、夏休みの宿題が終わらないような忙しさではなかったわね。前のテストの時も勉強を教えたけど、結果は散々だったよね」
少し困ったような間を空けて刀は鼻先を掻いた。
「うん、確かにテストもアレだったし、やる気がないと思われても仕方ないな」
「別にテストで高得点を取って、とは言わないわ。せめて平均点ぐらいはないと、教えている身としては辛いわね」
『きょうのかたなくんは、がんばったとおもう。ちとせちゃんのおしえかたがよかったから、がんばれたんだよ。これでつぎのテストはあんしんだね』
海はスケッチブックの文字を二人に見せた。緊張した顔は口角を上げて笑顔にした。千歳は上体を斜めにして歩き出す。
「次のテストが楽しみね」
「勉強の成果を活かせるようにがんばるよ」
刀は千歳と並んだ。海は刀の隣に付いて三人は揃って図書館を後にした。
海の顔はほんのりと色付いていた。歩きながら横目で刀をちらちらと見て、止まらない手がスケッチブックに文字を書き込んでいく。
『カッコよくてたのもしくて、でもどんかんで、ちょっとエッチで』
海は何かを思い出したかのような表情で笑う。刀の横顔を目にした。青い瞳に強い感情が揺らめいた。
画用紙に顔を伏せる姿で書き込んだ。鉛筆を操る手が止まらない。白い無垢な部分に想いを刻み付けていく。
『きづいたときにはスキになっていた。このあばれるおもいをぶちまけたい。いとしいひとにおもいをつたえたい。だきついて、キスをして』
「どうしたんだ?」
横からの突然の声に驚いた海はスケッチブックを胸に強く押し当てた。何でもない、という風にサイドテールを振り回す。そうか、と刀は安心した顔で言った。
会話の切っ掛けがないまま、三人は横並びで通りを歩く。
千歳は視線を下げて刀の揺れる手を見た。目立った傷はない。甲に薄っすらと浮いた骨の筋が男らしさを感じさせる。
竹刀や木刀を握っていない刀の手は、どこか寂しそうに見えた。千歳は揺れる手に合わせて指先を伸ばす。大気の中を指が泳ぐように動いて、触れる寸前で引っ込めた。
急な動きに刀が顔を向ける。
「千歳、俺の手がどうかしたのか」
「な、何でもないわ。危ないから前を見て歩いてよね」
わかった、と一言で前を向いた。隣にいた海がスケッチブックを刀に見せると、すぐに視線は移っていった。
千歳の足が少し遅くなった。二人の仲の良さを羨むような目となり、厳しい表情で頭を振った。改めて前を見ると、海がスケッチブックを見せてきた。
『ちとせちゃん、ぐあいでもわるいの?』
その内容を目にした千歳は僅かに目尻を上げた。
「違うから心配しないで。ただ、小山内さんは私と違って可愛いなって」
『そんなことないよ。ちとせちゃんは、りりしくてまじめで、ひとにやさしいけれどじぶんにはきびしくて。わたしにはないものをたくさんもっている、すてきなひとだよ』
頬っぺたを赤くして海はスケッチブックを見せた。
その遣り取りを見ていた刀が海の頬に触れた。掌に収めて、そっと上に向かせる。目が合うと、自然な動きで顔を近づけていった。
海は完熟トマトのような顔で後ずさる。
「あ、いや、これは違う。胸が急に熱くなったと思ったら妙な気分になって、知らない間に手が出てたんだ」
「便利な手よね。私の胸の時もそうなのかしら?」
「あれはわざとではなくて……ごめん」
千歳の凄味のある笑みに刀は説得を諦めた。
「キャットファイトにはならないのか」
三人の後方の自動販売機に身を隠していた月詠が呟いた。手元のスケッチブックにはサイドテールとポニーテールの二人が髪を振り乱して争う絵が描かれていた。
「ふむ、もう少し様子をみるか」
三人の動きに合わせて月詠は物陰に隠れながら尾行を続ける。その最中、赤い瞳が怪しい動きを捉えた。
「なるほど、恋愛に疎い御剣でも影響を受けるのだね」
刀は二人の腰に手を回そうとして思い留まる。落ち着かない様子で頭を小刻みに動かすと、突然に止まって斜め前を指差した。
「そこの喫茶店に寄っていかないか? 今日の勉強のお礼に俺が奢るよ」
『かたなくんがいいなら、わたしはいってもいいよ』
スケッチブックの内容を見せたあと、海は千歳に目を向けた。
「千歳もきてくれるか」
唇を引き結んで少し視線を下げる。ちらりと海の方を見て頷いた。
「ここまできて、その、誘いを断るのも悪いからね」
「決まりだな。俺が先に行って店内の様子を見てくる」
力んだような表情で刀は見つけた喫茶店に足早に入っていった。残された二人は顔を見合わせて微妙な笑みで付いていく。
唐突な方向転換に月詠は電信柱から前のめりで現れた。注意が散漫になったのか。道に落ちていた空き缶を派手に蹴り飛ばしてしまった。
音の方に振り向いた海が月詠を見て手を振った。千歳は警戒した様子で眺めている。
月詠は手持ちのスケッチブックに絵ではなく、大きな文字を書き入れて万歳のような格好で掲げた。
『命短し恋せよ学生。カップル報告、撃沈報告、どんとこい』
目にした瞬間、二人は顔を真っ赤にした。逃げるようにして喫茶店に飛び込んだ。
「初々しいではないか」
周囲には手を繋いだ若い男女が多く見られる。月詠は気になる相手だけを描き込んで、ゆったりとした動作で移動を始めた。
喫茶店の中は明るい上に広く、淡い色を基調にしたテーブルやイスで統一されていた。窓際の奥に当たる長方形のテーブルに三人はいた。
イスに座った刀が抹茶ケーキの先端にフォークを入れる。漆喰の壁を背にした千歳と海は二人掛けのソファーに腰掛け、対面の刀の動きを目で追った。
「抹茶の香りが良くて美味いな」
刀の様子を受けて千歳は手前のパフェにスプーンを伸ばす。クリームが付いたラズベリーを掬って口に入れた。
口を動かしながら窓の方に目を向ける。竹が程良い日陰を作り、隙間からは青い空が覗いていた。
「あの、刀君。今日は、その、いい天気でよかったね」
「天気は関係あるのか?」
「そ、そうだよね。図書館で勉強してたのに外の天気とか、全然関係ないよね」
刀の眼差しに千歳は身を捩りながら萎れていった。隣にいた海は急いでスケッチブックに文字を書き込んだ。
『あめよりも、はれのほうが、きぶんてきによくて、べんきょうもはかどるよね』
「……ありがとう」
千歳は少し赤い顔ながらも座り直した。海はほっとしたような顔で手前のレモネードのストローを咥えた。一気に中身を吸い上げると、笑顔で上体を起こした。
海の身体が瞬間的に震えた。少し照れた様子で立ち上がる。
「小山内、トイレか」
「そういうことを女性に聞くのは失礼でしょ!」
千歳は凛とした声で言った。そうだな、と刀は素直に非を認めた。
「千歳には叱られてばかりだが、感謝している。これからもよろしく頼む」
「な、な、なによ。ヘンに改まって言わないでよ。私が言い過ぎた時も、たぶんあるし……」
赤ら顔で俯く千歳に刀は困ったように笑う。そんな二人を残して海は席を離れた。
晴れやかな顔で海が手を洗っていると、やあ、と背後から声を掛けられた。びっくりした顔の海に月詠は微笑んでスケッチブックを差し出した。
「トイレにスケッチブックを持ち込む人間は、そうそういないからね」
海はハンカチで手を拭いてスケッチブックを受け取った。真っ新な頁を探していると、髪を乱した二人の女性が争う絵に行き着いた。
海は自身と絵を交互に指差す。その慌てた様子に月詠は赤い瞳を細めた。
「朴念仁を奪い合う二人を描いたのだが、今のところはそのような展開になっていないね」
『そんなことにはならないとおもう』
「本当に、そうなのかな。多くのカップルが誕生しそうな日を利用して、積極的にアタックしてもいいと思うよ」
月詠の言葉に海は即座に言葉を返せなかった。画用紙に想いを書いては止まり、また書き進めて心情を明かした。
『まけたくないひとがいる。でも、まけてもなっとくできる。じぶんでも、きもちがわからなくて。ただ、わたしはかたなくんがすき。だれにもまけないくらいに、だいすき』
「悩み多き青春だね。いいことだよ」
恥ずかしそうに笑うと、海はスケッチブックを月詠に返した。
「海の想いは私の胸とスケッチブックの中に閉まっておくよ」
月詠は白い髪を靡かせて出ていった。
独りになった海は鏡に向かった。赤くなった顔に両手で風を送る。通常の顔色になったところで店内に戻っていった。
海を目にした刀は爽やかな笑みを浮かべる。
「長かったが、小ではなくて」
「さっき、私が言ったよね」
千歳が握り拳を作る。ごめん、と刀は慌てた様子で頭を下げた。
いつまでも立っている海に千歳が声を掛ける。
「どうかしたの?」
左右に頭を振ると海は笑顔でソファーに着いた。
店内に月詠の姿はなかった。
その後、三人は会話を楽しんだ。時に語られる刀の失敗談に千歳は怒り、海は顔を赤らめた。海が刀にした膝枕の話では千歳が動揺して手に持っていたスプーンを落としてしまう。床に落下する前に刀がテーブルの下に潜り込んで掴み取った。
やった、と刀が顔を上げた。そこで海のスカートの中を覗いたと争論になったが『かたなくんだからしかたないよ』と生まれつきの運を理由に場は収まった。
話の最後は決まって笑みが零れ、三人は仲睦まじい姿で長い時を過ごした。
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3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
12人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月29日
参加申し込みの期限
2014年10月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月06日 11時00分
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